新人さんらしき方の投稿があったり、相も変わらずのオタオタした投稿などがあったりと虚無交換日記の盛況っぷりは非常に喜ばしい限りです。
将棋パート担当ということで今回も前回と同様に質問があった局面についてわかる範囲で答えていこうと思います。
図1、▲65歩まで
図は先手が▲65歩と角交換を挑んだ局面です。
ここで後手はどうするか?
パターン1:△44銀・・・実戦で指された手。角交換を拒否した意味がある。
パターン2:△77角成・・・今回、図1でこう指せばどうなりますか? と質問された手。
それぞれ順を追って見ていきたいと思います。
(パターン1、図1で△44銀)
実戦ではここから△44銀▲64歩△同金▲68飛(変化1図)と進展しました。
変化1図、▲68飛まで
まだ落ち着いていない局面ですが、この瞬間の形勢判断をしてみます。
1、玉の固さ・・・先手の玉は高美濃の堅陣に納まっているのに対して、後手の玉は囲いに納まっておらず、金銀の連結もあまりよくありません。
2、駒の働き・・・先手は飛車・角が抑え込まれさえしなければ全軍が躍動する形です。
一方後手は効率の悪い駒が存在します。それは84の銀です。浮駒になっているので狙われやすくなっています。
3、駒の損得はありません。
という風に総合的に判断すると先手がよさげだなぁ、という感想を持てると思います。
具体的には変化1図から先手は角交換を目指しながら(角交換すると後手のほうが角の打ち込みが多い)6筋の攻略を目指していけばよいでしょう。
しかし、あまり気を抜くと先手の攻め駒が少ないので攻めが切れてしまう場合もあるのでそれだけに気をつけて指せばいいでしょう。
多少の無茶は通る局面です。
(パターン2、図1で△77角成)
後手が角交換に応じる場合です。
以下は▲同桂△22角▲66角△同角▲同銀△22角▲68飛△65桂▲同桂△同歩▲同銀△64歩▲56銀△99角成(2図)
図2、△99角成まで
細かい変化はあるかもしれませんが2図まではだいたい一直線でこのように進むところです。
後手は角交換によってできた隙を補いながら、先手の飛車のこびんを攻めるために△22角を執拗に打ちます。
では図2の状況を分析してみます。
1、玉の固さ・・・先手のほうが安定しています。
2、駒の働き・・・後手の84銀が浮いている状況は変わりませんが、その他に遊んでいる駒はなさそうです。ただ、後手の馬が消えた時の先手からの▲22角の打ち込みは気になるところです。
3、駒の損得・・・後手が歩切れではありますが香得しています。
この3つの点からの分析では、1は先手が良く、2は同じぐらいで、3は後手がよいということでなかなか判断できないかもしれません。
この種の分析は多くの局面で役に立ちますが、この種の分析では答えを出せない局面もたくさんあります。
(局面の優劣を確実に判断できる機械的基準が考案されたらプロですらコンピュータに勝てなくなるでしょう)
その場合は、具体的な手順を読み、その読んだ先の局面でまた形勢を判断していくことになります。
図2から先手はどう指していくべきでしょうか?
後手の狙いは先手の飛車などの攻め駒を封殺して受け切りを狙うことです。
そのような展開になると、今まで「少しいい」とか「互角ぐらいだな」とか思っていた局面から一気に敗勢へと急転直下してしまいます。
というわけで、先手がやるべきことは攻めることだけです。
どんな細い攻めでも、自陣が安泰なので繋がっていればよくなります。
1、▲45桂
2、▲66角
3、▲65歩
ぐらいが候補手でしょうか。
1、▲45桂・・・
後手が△44銀などとすると▲65歩とし、42と22への角の打ち込みを含みにして攻めればよくなります。
しかし△42銀▲65歩△73銀▲64歩△同銀と進むと継続の攻め手が見つかりません。
2、▲66角・・・
以下△同馬▲同飛△22角▲69飛△77角成▲66角△同馬▲同飛・・・
となり千日手模様になります。
読んでみて自信が持てない場合や、もう一局やっても勝てそうだと思われる場合はこの選択肢も悪くはないのかもしれません。
3、▲65歩・・・
以下△同歩▲64歩△同金▲65銀△同金▲同飛△63歩・・・
が変化の一例です。まさに攻めきるか、受け切るか、という展開になります。
3度の飯より受けが好き、という方や、愛読書が「入玉大作戦」であるという方はもしかしたら後手を持ちたいと思われるかもしれません。
質問への回答としては後手は図1で△77角成としたほうがよかった。ということになります。
図1の局面を見てみると後手の方は、32にいた飛車を31に引いてさらに81まで回り先手の8筋に襲いかからんとする非常に壮大でロマンチックな構想を狙っていたことがわかります。まさに飛車の大転換です。
僕もこういう手は好きなのでよくやろうとしますが、ロマンが実現する前に攻められて頓挫してしまうことが多いです。
壮大な計画は実現するのに時間がかかりがちなのです。
ただし、狙いに気付かずに漫然と構えているといつの間にか全身に毒が回っていてロマンを防げない状況になってしまう場合もままあります。
とにかく、相手が何を狙って駒組みをしているのかは常に考えておく必要がありますね。そしてロマンを完成される前に動くことです。
以上でいただいていた質問には全て答えることができたと思います。
この局面に関するさらなる分析などはコメント欄にお願いします。
将棋パート担当ということで今回も前回と同様に質問があった局面についてわかる範囲で答えていこうと思います。
図1、▲65歩まで
図は先手が▲65歩と角交換を挑んだ局面です。
ここで後手はどうするか?
パターン1:△44銀・・・実戦で指された手。角交換を拒否した意味がある。
パターン2:△77角成・・・今回、図1でこう指せばどうなりますか? と質問された手。
それぞれ順を追って見ていきたいと思います。
(パターン1、図1で△44銀)
実戦ではここから△44銀▲64歩△同金▲68飛(変化1図)と進展しました。
変化1図、▲68飛まで
まだ落ち着いていない局面ですが、この瞬間の形勢判断をしてみます。
1、玉の固さ・・・先手の玉は高美濃の堅陣に納まっているのに対して、後手の玉は囲いに納まっておらず、金銀の連結もあまりよくありません。
2、駒の働き・・・先手は飛車・角が抑え込まれさえしなければ全軍が躍動する形です。
一方後手は効率の悪い駒が存在します。それは84の銀です。浮駒になっているので狙われやすくなっています。
3、駒の損得はありません。
という風に総合的に判断すると先手がよさげだなぁ、という感想を持てると思います。
具体的には変化1図から先手は角交換を目指しながら(角交換すると後手のほうが角の打ち込みが多い)6筋の攻略を目指していけばよいでしょう。
しかし、あまり気を抜くと先手の攻め駒が少ないので攻めが切れてしまう場合もあるのでそれだけに気をつけて指せばいいでしょう。
多少の無茶は通る局面です。
(パターン2、図1で△77角成)
後手が角交換に応じる場合です。
以下は▲同桂△22角▲66角△同角▲同銀△22角▲68飛△65桂▲同桂△同歩▲同銀△64歩▲56銀△99角成(2図)
図2、△99角成まで
細かい変化はあるかもしれませんが2図まではだいたい一直線でこのように進むところです。
後手は角交換によってできた隙を補いながら、先手の飛車のこびんを攻めるために△22角を執拗に打ちます。
では図2の状況を分析してみます。
1、玉の固さ・・・先手のほうが安定しています。
2、駒の働き・・・後手の84銀が浮いている状況は変わりませんが、その他に遊んでいる駒はなさそうです。ただ、後手の馬が消えた時の先手からの▲22角の打ち込みは気になるところです。
3、駒の損得・・・後手が歩切れではありますが香得しています。
この3つの点からの分析では、1は先手が良く、2は同じぐらいで、3は後手がよいということでなかなか判断できないかもしれません。
この種の分析は多くの局面で役に立ちますが、この種の分析では答えを出せない局面もたくさんあります。
(局面の優劣を確実に判断できる機械的基準が考案されたらプロですらコンピュータに勝てなくなるでしょう)
その場合は、具体的な手順を読み、その読んだ先の局面でまた形勢を判断していくことになります。
図2から先手はどう指していくべきでしょうか?
後手の狙いは先手の飛車などの攻め駒を封殺して受け切りを狙うことです。
そのような展開になると、今まで「少しいい」とか「互角ぐらいだな」とか思っていた局面から一気に敗勢へと急転直下してしまいます。
というわけで、先手がやるべきことは攻めることだけです。
どんな細い攻めでも、自陣が安泰なので繋がっていればよくなります。
1、▲45桂
2、▲66角
3、▲65歩
ぐらいが候補手でしょうか。
1、▲45桂・・・
後手が△44銀などとすると▲65歩とし、42と22への角の打ち込みを含みにして攻めればよくなります。
しかし△42銀▲65歩△73銀▲64歩△同銀と進むと継続の攻め手が見つかりません。
2、▲66角・・・
以下△同馬▲同飛△22角▲69飛△77角成▲66角△同馬▲同飛・・・
となり千日手模様になります。
読んでみて自信が持てない場合や、もう一局やっても勝てそうだと思われる場合はこの選択肢も悪くはないのかもしれません。
3、▲65歩・・・
以下△同歩▲64歩△同金▲65銀△同金▲同飛△63歩・・・
が変化の一例です。まさに攻めきるか、受け切るか、という展開になります。
3度の飯より受けが好き、という方や、愛読書が「入玉大作戦」であるという方はもしかしたら後手を持ちたいと思われるかもしれません。
質問への回答としては後手は図1で△77角成としたほうがよかった。ということになります。
図1の局面を見てみると後手の方は、32にいた飛車を31に引いてさらに81まで回り先手の8筋に襲いかからんとする非常に壮大でロマンチックな構想を狙っていたことがわかります。まさに飛車の大転換です。
僕もこういう手は好きなのでよくやろうとしますが、ロマンが実現する前に攻められて頓挫してしまうことが多いです。
壮大な計画は実現するのに時間がかかりがちなのです。
ただし、狙いに気付かずに漫然と構えているといつの間にか全身に毒が回っていてロマンを防げない状況になってしまう場合もままあります。
とにかく、相手が何を狙って駒組みをしているのかは常に考えておく必要がありますね。そしてロマンを完成される前に動くことです。
以上でいただいていた質問には全て答えることができたと思います。
この局面に関するさらなる分析などはコメント欄にお願いします。
先輩の方から機関誌「神将」掲載の棋譜について質問をいただきましたので、それに対して回答したいと思います。
<局面1-1>△35馬まで
図の局面は後手が79にいた馬を△35馬と引いた局面です。
実戦では<局面1-1>から▲66銀△44馬▲57金直△35歩▲46歩△34銀・・・と進みましたが、
質問は後手が△44馬のところで△56銀とすればどうか? とのことでした。
なるほど、△56銀は先手の金銀の57への進路を塞ぐと共に一歩入れば△65歩で銀が殺せるということで含みの多い手ですね。
この対局はかなり前にあったので詳しく覚えていませんが、この手は対局中見えていなかったと思います。
<局面1-2>△56銀まで
さぁ、先手はここでどう指しましょうか?
僕も明確な答えを持たずに書いています。書きながら考えています。うむむ・・・。
この局面を切り取って見てみると、先手は三歩も駒得しています。
局面が落ち着けば優勢になる。という考え方は大筋で正しいと思われます。
しかし、△53馬~△64馬で歩を取り返されると難しくなってしまいます。
(先手からの十字飛車の筋も見えますが・・・)
・・・とにかくこの局面で見える手を羅列してみます。
▲54歩、▲97桂、▲57銀、▲46歩、▲16歩・・・
やっぱ一回▲16歩かなぁ・・・。
中央でドンパチやって後手が攻めきるか、先手が受け切るか? という時に効いてきそうです。
皆さんならどう指しますか? 形勢判断はどうでしょうか?
僕は先手優勢だとは思うのですけどね。
戻って、<局面1-1>で▲57金直で優勢に見えるのは目の錯覚でしょうか・・・。
もう一局面、質問をいただいているので近日中に載せます。
わからない局面、見てもらいたい局面について、このブログに局面を載せてお互いの棋力向上をはかるという活用法もいいと思います。
多目的に使っていきましょう。
参考:柿木の将棋ソフトウェア
<局面1-1>△35馬まで
図の局面は後手が79にいた馬を△35馬と引いた局面です。
実戦では<局面1-1>から▲66銀△44馬▲57金直△35歩▲46歩△34銀・・・と進みましたが、
質問は後手が△44馬のところで△56銀とすればどうか? とのことでした。
なるほど、△56銀は先手の金銀の57への進路を塞ぐと共に一歩入れば△65歩で銀が殺せるということで含みの多い手ですね。
この対局はかなり前にあったので詳しく覚えていませんが、この手は対局中見えていなかったと思います。
<局面1-2>△56銀まで
さぁ、先手はここでどう指しましょうか?
僕も明確な答えを持たずに書いています。書きながら考えています。うむむ・・・。
この局面を切り取って見てみると、先手は三歩も駒得しています。
局面が落ち着けば優勢になる。という考え方は大筋で正しいと思われます。
しかし、△53馬~△64馬で歩を取り返されると難しくなってしまいます。
(先手からの十字飛車の筋も見えますが・・・)
・・・とにかくこの局面で見える手を羅列してみます。
▲54歩、▲97桂、▲57銀、▲46歩、▲16歩・・・
やっぱ一回▲16歩かなぁ・・・。
中央でドンパチやって後手が攻めきるか、先手が受け切るか? という時に効いてきそうです。
皆さんならどう指しますか? 形勢判断はどうでしょうか?
僕は先手優勢だとは思うのですけどね。
戻って、<局面1-1>で▲57金直で優勢に見えるのは目の錯覚でしょうか・・・。
もう一局面、質問をいただいているので近日中に載せます。
わからない局面、見てもらいたい局面について、このブログに局面を載せてお互いの棋力向上をはかるという活用法もいいと思います。
多目的に使っていきましょう。
参考:柿木の将棋ソフトウェア