2002年12月16日
午前1時50分、力尽きる。
午前8時30分、起床。
午前10時30分、出社。
自分が何を求めて仕事をしているのか。
誰一人欠けても成り立たないほどに小さな会社では、各自それを明確にする必要があるだろう。
金。経験。生きがい。居場所。別に何でもいい。違っていてもかまわない。
ただ、それを手に入れるためにはどうすればいいか。真剣に考え、話し合えば、すべきことはおのずと見えてくるはずだ。
希望を持たなければ絶望することもない。
しかしそれでは、あまりに虚しいではないか。
午後3時頃、2回目の追加発注。
この調子で伸びてくれればよいのだが。
午後7時、退社。
午後8時、帰宅。
『スーパーテレビ』を見つつ食事。
久々に夢を買ってみるか。
午後11時20分、望月女史からメール。
少しずつ、だが着実に、輪は広がってゆく。
午前0時、就寝。
2002年12月17日
午前7時、起床。
望月女史氏にメール。
午前10時30分、出社。
先輩が風邪で欠勤。
望月女史から返信。打ち合わせの予定日時について。
新企画が動き出すかどうかは、女史との打ち合わせにかかっている。
正午過ぎ、3回目の追加発注。
いいペースだ。
午後3時30分、ヨドバシカメラへ。電気あんかを購入。
──ハズレ。
かかとをつければ指先が冷え、指先をつければかかとが冷える。
一緒に出かけたグラフィッカーY氏は電気ストーブを購入しアタリを引いていた。
午後6時、社長出勤。
午後7時20分、退社。
午後8時、帰宅。
『プロジェクトX』を観つつ食事。
家族に支えられ、仕事をやり遂げた男の物語。師の言葉が身に染みる。
時間は夢を裏切らない。
午前0時、就寝。
2002年12月18日
夢を見た。
私は天使だった。誰の目にも見えず、触れられることも、声が届くこともない、天使。
戦乱の世なのだろうか。家を持たず、大地に寄り添い眠る子供たちに、そっとボロ布をかけてやった。そんなことしかできない自分の無力さに、拳を握り締める。
天使は翼を持たなかった。私は空を見上げた。一羽の鳥が舞っている。その遥か高みを目指して、跳躍した。
追いつき、追い越し、足元に見下ろす。やった。そう思った途端、鳥は大きく羽ばたき、更なる上空へと翔けていった。翼を持たぬ天使は、地上に降りた。
地上には悪魔がいた。歪な人型をした闇の塊。私は気づいた。子供たちがいない。闇に喰われたのか。
闇が、迫った。
午前7時、起床。
望月女史からメール。返信。
午前10時30分、出社。
先輩は午後から出社するとのこと。
午後0時30分、望月女史と初顔合わせ。ほんわか系の可愛らしい女性。
メールの文面がそのまま地のテンションだった。音声認識ソフトを用いればデフォルトで語尾に☆や♪がつきそうだ。事前に電話で聞いていた声からおおよその予想はついていたが、ここまで高純度にキャラクターが保たれている女性と初めて出会った。
レストランで打ち合わせ。好感触。
食後、オフィスで社長と先輩を加えて打ち合わせの続き。新作候補を二本に絞り込む。
うち一本は私の企画。
午後4時、打ち合わせ終了。
OHPリニューアル。
JavaScriptの用い方に一考の余地あり。
午後7時20分、退社。
午後8時、帰宅。
歳暮に関するトラブル。レンの機嫌が非常に悪い。
午後10時、和泉氏HPの6時間ネット対談記録を読む。
今の私を支えている最大のインプットは、小学生時代に読破した世界文学全集。そして高校時代(90年代半ば)、バイト代にものを言わせてレンタルしまくっていたOVAだろう。
最近のOVAやテレビアニメに魅力を感じないのは、良質なインプットに恵まれた証拠であると信じたい。
午後11時、望月女史からメール。返信。
2002年12月19日
午前1時30分、就寝。
午前8時30分、起床。
望月女史氏からメール。返信。
午前10時30分、出社。レンがついてくる。
午前11時30分頃、間違いFAXが届く。土地抵当権に関する云々──いかにも重要そうな書類が十数枚。あのー、これはマズイんじゃないですか?
確認の為、送信者欄にある番号に電話。慌てた声。やはり送信ミスであった。
午後0時30分、レンが帰る。
新作候補企画を見直し。ヒロインを2人追加。
キャラクターを設定しプロットを立てる。
午後5時頃、送信ミスをした会社の大阪支局局長が直々に来訪、謝罪。我が社のFAX番号が、取引先のFAX番号と1番違いであったらしい。書類を引き取り菓子折りを置いていった。
午後7時、退社。
午後8時、帰宅。
師にメール。一定の関係図に基づき作成したプロットを提出。
2002年12月20日
午前1時、就寝。
午前8時、起床。
師からメール。媒介役の行動と設定に対する指摘。
午前8時30分、望月女史から電話。こちらが戸惑ってしまうほどに無欲な方。
午前10時30分、出社。
OHP更新。
新作候補企画メインシナリオのプロットに着手。プロローグと第一話のプロットを立てる。
午後7時、退社。
午後8時、帰宅。
喉が痛い。先輩の風邪をうつされたか。
午後10時、早めの就寝。
2002年12月21日
午前8時、起床。
喉の痛みが増している。やばい。
望月女史からメール。しかし返信の余裕なし。
一日休養。
熱はないようなので柚子湯に浸かり温まる。
たまには私の手料理が食べたいとレンが言いだす。
レンが失業し私が働くようになってからは立場が逆転しているが、元々はレンが働き私が家事をしていた。
とはいえ、休みの日にはレンと二人で家事をしていたから、その訴えはわからなくもない。
しかし何故、よりにもよってこんなときに。
やむなく夕食の用意。
ター菜と鶏肉のスープ。ベースはコンソメとチキンブイヨン、隠し味に椎茸。スパイスはホワイト&ブラックペッパー。
──会心の出来。
レンが梅雑炊を作ってくれたが、こちらも会心の出来だった。
『体育王国』を見つつ食事。
女の美しさと逞しさ、一部見苦しさを目の当たりにした2時間だった。
午後10時、就寝。
2002年12月22日
午前2時、あまりの喉の痛みに目が覚める。
バイト先に欠勤の電話。風邪だと伝えたが仮病と思われた様子。長々と愚痴を聞かされる。
すみません、悪いのは私です。わかってますから早く解放して休ませてください……。
やむなく体温計で熱を測るが、36度2分。どうやら喉に防衛線が敷かれ、激しい戦闘が繰り広げられているようだ。
しばらくしてから布団の中に潜り込むも、一時間おきに目が覚める。
午前7時、とりあえず起床。
睡眠時間だけはそれなりに確保できた。目は冴えている。
喉はまだ痛い。
先輩からメール。返信。
昨日の望月女史のメールに返信。
午後1時、海藤から電話。
一日休養。茶を6リットルほど飲み干す。
大量投与、大量排出で身体中の老廃物を追い出す作戦。これが功を奏したか、夜には喉の痛みが引く。
今度は鼻詰まり。戦場が移っただけか。それとも快方に向かっているのか。
『発掘あるある大辞典』を観る。我流のマッサージに多少の問題点を発見。
午後9時30分頃から記憶なし。
2002年12月23日
午前9時、起床。
頭痛発生。戦場が脳にまで拡大したか。
大量投与、大量排出作戦続行。
夕刻、頭痛の緩和を待ち風呂。
頭痛解消。ようやくモニタを見る気力が生まれる。
午後7時、先輩からメール。
望月女史からメール。返信。
父からメール。年末年始の帰省について。
日程調整の為、姉にメール。
夜、鼻詰まりもほぼ解消。まだ頭の芯にぼうっとしたものが残っているが、明日からの出勤には問題を残さずにすみそうだ。
連休が潰れたのは痛いが、通常風邪の完治に二週間かかる私としては奇跡的な快復劇だった。
午後11時、就寝。
2002年12月24日
午前8時、起床。病後のけだるさが残る。
望月女史からメール。摩擦を恐れていては真の信頼関係は築けないとの考えから戒めのメールを送っていたが、好意的に受け取ってくれたようだ。
午前10時30分、出勤。
望月女史に返信。
新作候補企画にヒロインを1人追加。これで5人。
午後8時、帰宅。
レンと二人で料理。ポテトサラダとローストチキン。
手料理のクリスマスパーティーというのも悪くない。
午後9時45分、姉に電話。眠そうな声。流石は早寝早起きの人。
起こしてしまったことを詫び、帰省日程の打ち合わせ。
午後11時、就寝。
2002年12月25日
午前8時、起床。
今日は自由出勤。病み上がりなので自主欠勤。たまっている細々とした用事をまとめて片付けることにする。
師に提出予定の新作プロットに着手。
午前10時30分、望月女史からメール。明日の打ち合わせについて。
昼食後、家賃支払い。
地元で有名な勝貴屋のポン酢を購入。
予約しておいた『ヤミと帽子と本の旅人』を購入。レンへのクリスマスプレゼント。
店頭で『アンリミテッドサガ』を見つけ購入。自分自身へのクリスマスプレゼント。
──少し寂しい。
午後8時、望月女史に返信。
午後11時、『アンリミテッドサガ』をプレイ。
禁断のルーレットシステム。疲れ目体質にはきつい。
2002年12月26日
午前0時30分、就寝。
午前8時30分、起床。
望月女史からメール。
午前10時30分、出社。
オフィシャルホームページBBSに的外れな書き込み発見。
前組織社長から「不愉快極まりないので即刻削除せよ」という輪をかけて的外れな命令のFAXまで届いている。経営者なのだから少しは先を読め。
双方放置。
午後2時、望月女史と再会。
午後4時、会議。望月女史の正式採用決定。新企画決定。私の企画は次回以降に持ち越し。更に練り上げる時間ができたのは喜ばしいことだ。
午後8時、退社。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
慣れればはまる。
2002年12月27日
午前2時30分、就寝。
午前8時30分、起床。
望月女史からメール。新年ご挨拶CGの提案。
出社直前、HP更新を忘れていることに気づくも時間なし。
午前10時30分、出社。
先輩と協議の末、私と望月女史に一任されることに決定。早速望月女史に返信。
午後3時30分、レン来訪。全員でオフィスの大掃除。
午後6時、忘年会で居酒屋へ。
──近年稀に見る大ハズレ。
以下、注文したメニューと出されるまでに要した時間。
・カリフォルニアロール×3 40分
・餃子(5個乗せ)×1 80分 ※消費時間20秒
・牛タンの塩焼き×2 30分
餃子は50分経過した頃にオーダーが通っていなかったことが発覚している。それまでに「餃子まだ?」「少々お待ち下さい」の受け答え3回。つまり最初の2回はオーダーの確認すらしなかったわけだ。
牛タンの塩焼きは鉄板に乗って運ばれてきたが冷めていた。「熱くなっておりますので……」と言いながらテーブルに置かれたが素手で持てる。
忘年会で嫌な思いをしては本末転倒だ。
午後9時15分、帰宅。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
2002年12月28日
午前0時30分、チャット。
午前2時、就寝。
午前9時、起床。
望月女史からメール。新年ご挨拶CGのラフ案。リテイク。
午後一時まで大掃除。部屋がやたらと広く感じる。
午後6時、レンの友人その1来訪。
午後7時、レンの友人その2来訪。なべパーティー開催。
午後8時、レンの友人その3来訪。
午後9時、先輩からメール。新年ご挨拶CGについて。意識にズレあり。仰っていることはもっともですが、先輩、今は時間がないのです。
現状を報告。
午後10時30分、師にメール。
新作プロットを提出し、来年の達成目標を明示。
2002年12月29日
午前2時、就寝。
午前8時、起床。
帰省準備。
午前11時、先輩からメール。意識のズレは広がるばかり。このあたりで修正をかけておかないと今後の作業に支障が出る。
望月女史にメール。現状報告と対策。
午後2時、古い友人から手紙。初公演の報せ。
数年前まで一人南米を旅していた男が、ついに役者としての第一歩を踏み出す。
午後4時、京都に到着。
学生時代のバイト先や友人宅を回る。変わった者あり、変わらぬ者あり。
午後6時、帰宅。姉夫婦に再会。
姉が以前ほど酷く痩せていない。義兄が心を砕いてくれているようだ。
午後8時30分、夕食。関西風すき焼き。
午後11時から午前2時まで義兄と話し込む。
プロ業界が低迷している理由と、同人業界の可能性について。
2002年12月30日
午前2時、就寝。
午前8時30分、起床。
午前10時、グラフィッカーY氏から電話。
昼食後、海藤(仮)と待ち合わせ、一年前にできちゃった結婚をした友人宅へ。赤ん坊は4ヶ月になっていた。
差し出した指をしっかりと握り締める力強さ。熱いほどのぬくもり。
午後2時、海藤(仮)を京都府立大学まで送り賀茂川沿いに南下。
途中、土手に寝転び昼寝。
午後3時30分、ジュンク堂書店へ。
柴田昌治『おかいしことを「おかしい!」と言えるサラリーマンになる!』を立ち読み。
情報にはデータ系と非データ系の二種類がある。前者は絶対的な基準に基づいた数値化が可能な情報であり、後者は数値化が不可能な情報だ。
データ系情報を細かく正確に把握すれば物事の骨格が見えてくる。しかしそのままでは、中身を伴わないスカスカの情報でしかない。そこに非データ系情報を加えることで、肉がつき、血が通い、初めて「生きた」情報となる。
例えば、ゲーム用のBGMを10曲、報酬額20万で依頼し、3週間で納品されたとする。交渉中の相手の表情や瞳の輝き。制作期間中、受話器越しの声やメールの文面からうかがえる余裕の有無。納品された作品のクオリティ。これらの非データ系情報次第で、先に示したデータ系情報は上限値にも下限値にもなるのだ。
先見力を持たない者は、前者のデータ系情報のみを重視する高度経済成長時代的思考に陥りやすい。
社長が幾度となく口にしていた台詞を思い出す。
一番大切なのは数値ですから。お金ですから。
そうではない。
そうでは、ないのに。
午後5時30分、姉と遊んでいたレンと合流。
30分で4.5kmを歩き帰宅。
午後10時30分、望月女史から電話。
午後11時、就寝。
2002年12月31日
午前9時、起床。
望月女史からのFAXを確認。新年ご挨拶CGの原画。見事。
グラフィッカーY氏に電話。彩色依頼。
午前10時30分、友人FSC宅へ。PCを借り先輩にメール。
午後2時、望月女史から電話。
午後2時30分、Y氏から電話。ビルそのものが閉まっておりオフィスに入れず彩色不可能。迂闊。元日掲載の予定が7日まで遅れる。
午後3時、レンを駅まで送る。
帰宅途中、実家近くの米屋で大掃除中の幼馴染みと再会。五つになる可愛らしい女の子も手伝いをしていた。バイト中、ホテルの式場でおなかを大きくした彼女と偶然再会したあの日から、もう6年が過ぎようとしている。
午後6時、父と姉と共にパソコンショップへ。
店舗販売品の値段設定に唖然。インターネット体験コーナーでSOTEC、DELL、DOS/Vパラダイス等の通販ページを開き父に説明。店員にはさぞ嫌な客に映ったことだろう。
午後11時30分、友人の山本が来訪。午前2時まで話し込む。