森の詞

元ゲームシナリオライター篠森京夜の小説、企画書、制作日記、コラム等

日々の生物(ナマモノ) 第19回

2008年11月30日 | 日々の生物(ナマモノ)

昆虫編-3


Q:「蝶々と蛾は何が違う?」
A:「見た目」

 昆虫の内、蝶と蛾は「鱗翅目」というグループに属します。
「羽(翅)にさわると粉(鱗粉)がつく」のが名前の由来で、イモムシ状の幼虫からサナギを経て、成虫になる特徴があります。この内の何種類かが蝶になります。
 普通、生物の種類というのは明確な基準があるのですが、蝶と蛾を明確に分ける基準というものは存在しません。蝶と蛾の境目は曖昧で、実際、両者の呼び名が同じである(分類していない)言語もあります。
 基準がないわけですから、見た目で「こいつは蛾っぽいぞ!」と思えば、「お前は蛾だ。決定~~!!」と決めつけても問題はないわけです。
 ですが、それでは嫌だという人のために一応の見分け方を幾つか。

①蛾の幼虫が毛虫、蝶の幼虫がイモムシ
 綺麗な蝶でも幼虫が毛虫というのはいるのでアテになりません。
 ただ、そこら辺にいる毛虫は大抵、蛾の幼虫です。

②羽を閉じて(壁とかに)とまるのが蝶、開いてとまるのが蛾
 これは結構当てはまるので、気をつけて見てみると面白いですよ。
   
③夜行性なのが蛾、そうでないのが蝶
④地味なのが蛾、派手なのが蝶
 夜、電灯に寄ってくる蛾を見てもわかるように、蛾は夜行性が多いのです。
 地味なのは夜行性だから派手にしてもしょうがないのです。

⑤触角がブラシ状なのが蛾。そうでないのが蝶
 夜行性の蛾は触角が精密なのか、蛾の触角はブラシみたいな形になっています。
 日本の蝶と蛾はこれで見分けられるそうです。


  左が蝶の触覚、右が蛾の触角


Q:「どうして鳥の羽は2枚なのに、トンボの羽は4枚?」
A:「もともと足の数が違うからです」

 昆虫と人間を含めた動物とは起源が大きく違います。
 動物はおおざっぱに言えば、魚→両生類→爬虫類→ほ乳類の順に進化しました。動物の手足は魚のヒレが変化した物なので、カエルから人間まで前後合わせて4本です。そして、爬虫類から分かれたのが鳥で、前足が「翼」になりました。

 昆虫の祖先については第8回の昆虫編-2で述べた通りです。
 進化の過程で足の数を減らし、あるいは別の器官に変化させていった結果、昆虫の体は「足が6本+羽が4枚(+触覚その他)」という形に落ち着きました。トンボは古い時代に現れた昆虫で、体は長めで羽が4枚という、もっとも基本に近い体の構造をしています。
 一部の昆虫は更に進化を進めています。カブトムシなどの甲虫では、体が短くなり、前の羽は体を覆うカバーになりました。ハエは小回りがきくように、更に羽の数を減らして2枚だけにしています(直線的な速度ならトンボが一番速いです)。
 アリはハチに近い仲間ですが、生殖を行うアリ(女王アリなど)以外は羽がありません。
 昆虫の進化は足の数を減らしていく方向に進むようです。

イラストを追加しました!

2008年11月29日 | Weblog
 美麗なイラストと愉快なお人柄で大人気の黒雛 桜さまより、またまた素晴らしいプレゼントをいただきました。
 長編ファンタジー【刻の詩(仮題)】のヒロイン。天才学者プライス博士によって生み出された至高の人形、プライスドールズ№24『トト』です。


 おお……可憐だ……。
 アイズとはまた違ったタイプの可愛らしさがありますね。
 黒雛さん、ありがとうございました!

 さて、本コンテンツについて現状報告を。
 頼れる友人やかわいい後輩の協力もあり、現在はいくつかの候補の中から新タイトルを選ぼうというところです。
 前回お伝えしたサプライズについては、もう少し準備に時間がかかりそう。連載開始は年明けになるかもしれません。

時間をくれ……

2008年11月28日 | Weblog

 えー、とりあえず色々時間が足りません。
 自宅や職場でパソコンにはさわれますが、落ち着いて更新できる状況になりません。
 ナマモノや刻の詩(仮)の新イラストなど、更新したいものは沢山あるのですが。

 多分、明日は更新できると思います。

 ……多分。

日々の生物(ナマモノ) 第18回

2008年11月26日 | 日々の生物(ナマモノ)

Q:「ネズミの尻尾には、どうして毛がないのですか?」
A:「とりあえず、リスの毛がなくなったものがネズミです」

 まず、生物にとって「毛がある⇔ない」というのは、かなり変化しやすいことなのです。たとえば、ペットの「犬」には毛が長い品種から短い品種まで様々なものがいます。そのほとんどは人間が品種改良したもので、短い歴史しかもっていません。
 更に身近な例で言えば、「体から毛がなくなったサル」が「人間」です。人類の祖先はそれまで住んでいた森林から平野に生活場所を変えた過程で毛がなくなったと考えられています。理由は不明ですが、とりあえず、毛がなくなったのは確かです。「更に毛がなくなった人間」をなんと呼ぶかは皆さんに任せます。

 ネズミは「げっ歯類」と呼ばれるグループに属します。物をかじっていないと前歯が伸び続ける特徴があり、ネズミのほかにはリスやモモンガ、ビーバーなどが属します。
 ここに属する生物は、体の大きさを除けば「尻尾の形」と「毛の長さ」以外はそれほど外見に差がありません。
 要するに「尻尾の毛が長いネズミ」がリスで、「尻尾の毛が長くて前足と後足の間に膜があって滑空できるネズミ」がモモンガです。

 モモンガの尻尾には飛行機の尾翼と同じく、木から木に滑空するときに方向を変える役割があるとされています。リスの尻尾も高いところから飛び降りる時に、パラシュートのように働く、との報告があるそうです(本当かなあ?)。ですから、森林に住むモモンガやリスにとっては尻尾の毛は必需品なようです。
 一方、ネズミは主に人間と共に住んでいますから、そのような機能は必要ありません。森に住んでいたサルが平野暮らしをするようになって毛がなくなったのが人類ですが、それと同じように毛がなくなったのがネズミと思われます。

 後、少々気持ち悪い話ですが、げっ歯類の尻尾には「皮がはがれやすい」という特徴があります。
 トカゲは敵に襲われると尻尾だけを切って、その隙に逃げますが、あれと同じでリスなどは敵に襲われると「尻尾の皮だけを残して」逃げます。あのデカイ尻尾はわざと敵の標的になるためで、敵が尻尾を攻撃したときに皮だけ残して逃げるのだそうです。ネズミもこの仕組みを持っています。
 ただ、森林に住んでいるリスにとっては囮に使える尻尾は有効ですが、平野に住んでいるネズミにとっては目立つ尻尾は邪魔でしかないでしょう。ネズミを駆除しようとする人間に対しても、尻尾の囮はあまり有効ではありません。
 ひょっとするとネズミの直接の祖先は尻尾の毛が長かったかもしれませんが、毛が長い個体が全て殺されて、たまたま尻尾に毛がなかった個体だけが平野で生き残り、それが今のネズミになったのかもしれません。

日々の生物(ナマモノ) 第17回

2008年11月24日 | 日々の生物(ナマモノ)

Q:「ウグイスは何故、ホ~ホケキョと鳴く?」
A:「ウグイスは、あの鳴き方がかっこいい、と思っているようです」

 鳥の鳴き声といえば短く区切るものが多いですが、ウグイスの鳴き声は特徴的に長く伸びたものです。しかし、生まれつきあの鳴き方ができるわけではないそうです。
 鳥に詳しい人の話では、春先には「鳴き方が下手なウグイス」がいるそうです。「ホキョ」とか「ケキョ」という感じで鳴いているのは若いウグイスで、しばらく経つと上手く鳴けるようになるようです。つまり、ウグイスは「練習しないと鳴けない」のです。
 何故わざわざ練習までして、あの鳴き方をするのかといえば、あの鳴き声の「難易度」が高いため、と考えられます。
 春に聞こえるウグイスの鳴き声は雄鳥のもので、異性を引き付けるために行います。繁殖期である春以外ではあの鳴き方はしません(もっと短い鳴き声です)。
 動物の雄は異性を引き付けるために派手な外見になったり、パフォーマンスをします。その際の行動は、より難易度が高いほうが効果的です。
 人間の世界でも難易度の高い技をする人って凄く見えますよね。スケートの四回転ジャンプができる人とか、バスケでダンクシュートできる人とか。「凄い!=かっこいい!」になるのは人間も動物も同じなのでしょう。
 そのためにウグイス達は春になると練習までして難易度の高い鳴き方を行うと考えられます。元々は短く鳴く鳥にとって、長く声を伸ばすのはかなり困難でしょうが、その困難を乗り越えないと異性をゲットできないわけです。
 ちなみに鳥には学習能力が高く、聞いた音を再現することができる種がいます。例えば九官鳥やオウムは、人間の声を真似ることができますね。
 ウグイスもある程度の学習能力があるようです。ウグイスは昔から鳴き声を鑑賞する目的で人間に飼われたりしていましたが、その際、綺麗な声で鳴かせるために、別の上手に鳴くウグイスと一緒に育てたのだそうです。
 ウグイスがいつから「ホ~ホケキョ」と鳴くようになったのかは不明ですが、どこかのウグイスがある日突然、長~~く伸ばして鳴くようになり、周りのウグイス達が「これ格好よくね?」と真似をし始め、時が経つにつれて長く鳴くようになっていった……という可能性もあるかもしれません。

日々の生物(ナマモノ) 第16回

2008年11月23日 | 日々の生物(ナマモノ)

植物編-5


Q:「葉以外でも光合成はできますか?」
A:「基本的に、緑色の部分では光合成ができます」

 これは私が大学生の時に教授から出された問題でもあるんですが、植物は葉緑素(植物が緑色に見える原因)があるところなら何処でも光合成ができます。ただ、効率的には葉で行うのが一番よいのです。
 面白いのが光さえ当たれば根でも光合成できるということです。
 これの身近な例は「ダイコンの緑色の部分」です。ダイコンが大きく育ったために地面の上に露出した部分が緑色になり、あそこでは光合成を行っています。
 植物は全身の何処でも光にさえ当たれば光合成ができるということですね。


Q:「光発芽種子は何故、赤色光で発芽するのか?」
Q:「植物は何故、緑色に見えるのでしょうか?」
A:「植物は緑色の光が嫌いだからです」

 植物の葉には光合成をするための「光を吸収するタンパク質」があります。このタンパク質は特に赤色の光を吸収します。光合成には赤色光が最適なのです。
 一方、緑色の光は光合成に使えないので吸収されません。だから、葉は緑色に見えます。森が緑色の光に満ちているのは、それが「光合成に使えない余り物」の光だからです。
 ややっこしいですが、「色が見える」というのはこういうことです。黄色の物は黄色以外の光を吸収して、黄色の光だけを反射します。その反射した光が目に届いて黄色として認識されます。

 さて、種子は大概地面の上に転がっています。
 そこに太陽光が当たるわけですが、
 
①赤色光が少ない
 →赤色光が光合成に使われている
 →種の上に他の植物の葉が茂っている
②赤色光が多い
 →赤色光が光合成に使われていない
 →種の上に他の植物がない

 と光発芽種子は判断します。上に植物が茂っているということは、競争相手が多いということです。植物は動物のように移動ができませんので、競争相手がいない状態になるまで待っています。全員が「鳴くまで待とう」の徳川家康タイプです。


植物怪獣(今回は怪人)の作り方 第三回「キノコモルグ」

 今も続いている「仮面ライダー」の敵役は、怪獣ではなく怪人です。最初の仮面ライダーでの怪人は、敵組織ショッカーの「とにかく凄い科学力」で作られた改造人間です。ただ、毎週出てくる怪人がどのように作られたかは30分の放送時間で語られることは滅多にありません。
 その中で、製造過程が明らかになっている数少ない怪人が「キノコモルグ」です。キノコ+モルグ(死体安置所)というネーミングも素敵ですね。今回は私が小さい頃に買った覚えがないのに何故か家にあった「仮面ライダー大百科」で読んで驚愕した製造過程をご紹介。

「キノコモルグは凶悪な犯罪者を一週間、毒キノコのエキスに浸けることで誕生した」

 ……漬け物か!?

 私はこの記述を嘘だと思っていたのですが、調べてみると実際の放送でも一週間漬け込んでいたそうです。凄いな、ショッカーの科学力。

 どうでもいい話ですが、昔は仮面ライダーも改造人間が多かったのですが、医療技術の進歩で体に機械を埋め込んだ人が増えたので、そのような人達への差別に繋がるということで、「改造人間」という言葉は使われなくなりました。最近は「変身アイテムがあれば誰でも変身できる」とか「鍛えるとなれる」とか「そもそも最初から人間じゃない」とかばかりです。
 ウルトラマンも昔は親のカタキのように怪獣を切り裂いたり、バラバラにしていましたが、それも残酷ということで、血が出るような攻撃はしなくなりました。特撮番組もなにかと大変ですね。

日々の生物(ナマモノ) 第15回

2008年11月22日 | 日々の生物(ナマモノ)

植物編-4


◆オーキシンと除草剤とベトナム戦争の話

 オーキシンは植物を成長させるホルモンですが、過剰な濃度になると逆に成長を抑制します。これを利用して、オーキシンは除草剤として用いられています。
 代表的なのが「2,4-D」(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸)と呼ばれる人工のオーキシン」です。これはイネ科の植物には効果がなく、双子葉植物の雑草に効果があるので、水田の除草に用いられます。家でコメを作っている人は聞いてみて下さい。必ずあります。
 この除草剤が大問題になったことがあります。それが1960-75年のベトナム戦争です。当時、ベトナムの森林に隠れた敵に手を焼いていたアメリカ軍は除草剤を用いて草木を枯らす作戦に出ました。この時に使われた除草剤の1つが「2,4-D」です(実際は複数の除草剤を混ぜ合わせたものが撒布されました)。
 この作戦はベトナムの人々に大きな健康被害を与えました。おまけに昔の除草剤は微量ながらダイオキシンを発生させたので、その悪影響が大問題になりました。
 その被害者の一人が結合双生児として生まれた「ベトちゃん・ドクちゃん」……本名グエン・ベトさんとグエン・ドクさんです。体がつながったまま生まれたお二人の姿は世界中に衝撃を与えましたし、皆さんも知っていると思います。私も「戦争被害」と言えば、お二人の姿を最初に思い浮かべます。
 ちなみにお二人は1988年に分離手術を受けています。ベトさんのほうは未だに寝たきりだそうです(※)が、ドクさんは昨年に結婚、先日(2/24 07)講演のために来日もされました。


◆今年(※)のサクラは北から咲く?

 毎年、サクラの開花時期の予測が出されています。今年は異常な暖冬ですので、記録的に早い時期に開花すると考えられています。その予測の中に気になる一文がありました。
「今年の桜開花前線は、場所によっては南下することも考えられます」
 サクラ前線が南下……なんか日本人にとっては真夏にクリスマスをするような違和感がありますね。ですが、これには訳があります。
 授業でもやりますが、サクラは「寒い時期→ 暖かい時期」の温度変化で花をつける中性植物です。寒い時期を経験した後で、平均気温が10度を超えると開花します。逆に言えば寒い時期がなければ花がつきません。どうも今年は暖冬過ぎて、必要な寒さを満たしていない地域があるようなのです。ですから、逆に寒い期間をしっかりと経験している北の地域のほうが暖かくなれば先に咲くこともある……ようです。
 今年は異常気象ですが、沖縄では冬に北から来た寒波が南下していくので、毎年、北からサクラが開花していくそうです(ちなみに沖縄県名護の開花の平年値は1月2日…本州では真冬です)。
 沖縄ではサクラ前線が南下するのは普通の出来事なのです。


※どちらもこのプリントを作成した当時の話です。
 尚、2007年10月6日、ベトさんは26歳の若さでお亡くなりになられました。


◆植物怪獣の作り方 第二回「オードリーⅡ」

 映画「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」に出てくる世界一有名な植物怪獣が「オードリーⅡ」。話の筋は「片思いの相手に告白できない気弱な青年が、部屋にあった植物に話しかけたり、生き血を飲ませたりすると何故か巨大化。恋敵とか邪魔者をバクバク食べるようになった」というもの。
 片思いの相手がオードリーさんなので、その代わりということで「オードリーⅡ」です。とりあえず、植物に話しかけると効果的、の実例のような話ですな。
 どう見てもB級ホラー映画以外の何ものでもない話ですが、これが何故世界一有名なのかと言いますと、後でミュージカルになったからです。これが何故か世界的に大ヒット。日本語版も作られました。
 ちなみに一番最近の日本公演では主人公が山本耕史、ヒロインが上原多香子、オードリーⅡ(の声)が和田アキ子という豪華メンバーでした。
 ちなみにオードリーⅡは「宇宙から来た謎の植物」だそうです。

日々の生物(ナマモノ) 第14回

2008年11月21日 | 日々の生物(ナマモノ)

植物編-3


◆知っておくと役立つ園芸の知識

①肥料は高濃度でやりすぎない
 根からの吸水は浸透圧の差によって生じ、「根内部の液体の浸透圧」>「土壌の液体の浸透圧」になる必要がある。
 高濃度の肥料をやりすぎて土壌の浸透圧が上がると差が無くなり、吸水自体が起こらない。

②植物を切るときは「水切り」を行う
 水切りとは切り花を長持ちさせるために、水の中で茎を切ること。
 茎の中を水が上昇できるのは凝集力による。そのためには水が途切れなくつながっている必要がある。道管の中に空気が入ると凝集力が失われ、水が吸い上げられなくなる。
※凝集力の効果
 凝集力とは「液体が一つの固まりになろうとする力」のことで、水以外でも液体なら持っている力です。別名、「表面張力」とも言います。
・コップに入った液体がなかなか溢れない
・シャボン玉が丸くなる
・水滴が丸くなる
 すべて凝集力の働きです。

③日向の植物はできるだけ朝に水をやる
 昼間に水をやると日光で水温が上がり、お湯になって植物に良くない、というのが大学の先輩の口癖でした。朝にやると地面を冷やす効果もあって更に良いのです。

④水をやりすぎると、根が腐る
 植物が吸収できる水分量には限りがあるので、曇りの日などに水をやりすぎると根が腐り、植物を弱らせます。


◆知っておくと役立つ野菜の知識

 植物の器官の分類は複雑でして、花だと思ったら葉だったり、果物だと思ったら野菜だったりします。「ジャガイモって何だっけ?」と疑問に思って寝られなくなった時のために一覧を。

地下にある茎(地下茎)を食べるもの
 鱗茎 → タマネギ、ニンニク、チューリップなどの、いわゆる球根。
 塊茎 → ジャガイモ
 根茎 → レンコン、ショウガ

根を食べるもの
 塊根 → サツマイモ
  根 → ダイコン、カブ、ニンジン

 と言うわけで、ジャガイモは「地下茎」で、サツマイモは「根」が膨らんだものです。これで夜もグッスリですね。ちなみに地下茎と根の差は、
①「根毛」がない
②芽や葉が出せる
 のが地下茎です。

その他の部分を食べるもの
 花托 → イチゴ
  茎 → アスパラガス
  幹 → タケノコ

 イチゴの食用部分は果実ではなく、子房の下にある「花托」(花弁・めしべなどを支える部分のこと)と呼ばれる器官。果実とは子房が膨らんだものを指します。
 どうしてアスパラガスが「茎」で、タケノコが「幹」なのかと言いますと、竹は草ではなく樹木に分類されるからです。
 ……なんか、幹と言われると食べたくなくなりますね。
 ちなみに竹の分類に関しては今でも論争があるようです。「世界の竹博士」と呼ばれる上田弘一郎京大名誉教授は『竹は木のようで木ではなく、草のようで草ではなく、竹は竹だっ!』と力説しておられたそうです。

日々の生物(ナマモノ) 第13回

2008年11月20日 | 日々の生物(ナマモノ)

植物編-2


Q:「ヒマワリは太陽の方向を追って動くというのは本当ですか?」
A:「日差しが強い方向を向くのは本当ですが、追って動きはしません」

 元々、ヒマワリ(向日葵)という名前の由来は「日の動きに合わせて花が回る」からと言われており、ヒマワリの花が太陽の動きを追って動くというのは有名な話です。

(昔、ソフィア・ローレンという女優が出演した「ひまわり」という映画がありまして、一面のヒマワリ畑を歩くシーンが非常に有名です。そのヒマワリの花が全部こちらを、すなわち観客のほうを向いているのが印象的でした)



 ただですね、本当に花が動くかというとそうではありません。
 実際のヒマワリ畑では太陽の方向……大体は南……を向いてはいますが、動いたりはしないそうです。

 まず、どんな植物でも「太陽の方向に体を向ける」性質があります。授業でもやりますが「正の光屈性」というやつでして、茎の先端を光の方向に向けるのです。花は茎の先端につきますので、茎の先端が太陽の方を向いていれば、花も太陽の方向を向くことになります。
 ヒマワリはツボミをつけた時期になると、太陽を追って活発に体の方向を動かします。ヒマワリの名前の由来はここから来ているようなのですが、これはヒマワリだけでなく花をつける全ての植物に共通の動きなのです。ヒマワリは花が巨大な上に複数の花をつけないので、この動きが目立つ……というわけです。
 複数の花をつける植物や、日陰に咲いている植物の場合は花が一定方向を向くことはありません。

 ちなみに、ヒマワリはキク科の植物で、一見1つに見える花は無数の花が合体したものです。

 
◆植物怪獣の作り方

 バイオテクノロジーは万能というイメージが強いせいか、「怪物を作ることができる」ように思われてますが、実際にはやりたくてもできないのが実情。「こんなのできたら食われてもいいよな」という個人的な気持ちをこめて、架空の世界でできてしまった「植物怪獣」を紹介。

 第一回「ビオランテ」

 平成以降のゴジラ映画の最高傑作(と私が思っている)「ゴジラ vs ビオランテ」(1989)に出てくる怪獣。ゴジラの細胞とバラと「沢口靖子」を細胞融合させたらできた、非の打ち所のないほど完璧な「バイオテクノロジー製の植物怪獣」です。
(沢口靖子さん、知ってますか? タンスにゴンのCMとか、最近ではちびまる子ちゃんと一緒にCM出ている人です。それなりの年齢ですが、顔が変わりません)
 なんで細胞融合で植物が動くようになるんだ? と思わなくはないですが、そこはそれ。ゴジラの細胞ですからね、何でもありです。ポイントは何故か紛れ込んでいる沢口靖子でしょうね。

日々の生物(ナマモノ) 第12回

2008年11月19日 | 日々の生物(ナマモノ)

植物編-1


Q:「森林浴は夜にすると体に悪いというのは本当ですか?」
A:「夜、森に行くのは、あまりおすすめしません」

 森林浴とは「樹木に精神的な癒しを求める行為で、近くの公園や林を散歩する程度から登山やキャンプ、植物園見学まで幅広く森林浴に含まれる」というもの。
「森林の空気は排気ガスなどが含まれる都市部の空気より体に優しい」「樹木の香りが心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらす」という感じで効果が宣伝されています。後、いわゆる「森の香り」であるフィトンチッドという物質が体に良いとされています。
 ただ、「リラックスできる/ できない」というのは精神的な部分が大きいので、森でリラックスできる人もいれば、日本橋のゲームセンターが一番リラックスできる人もいますから、一概には効果を述べることができません(ゲーセンよりは森林にいるほうが、体には良いとは思いますが)。
 私は薄暗い自室が一番、リラックスできるんですけどね。

 で、授業でもやりますが、植物も呼吸をします。昼は光合成をしているので、酸素の放出が多いのですが、夜は酸素を吸って二酸化炭素を放出することしかしません。ですから、夜に森に行っても森林浴の効果である「綺麗な空気」とか「豊富な酸素」は期待できないわけです。
 聞いた話では、ペルーでは「夜は室内に植物を置かない」と学校で教えているそうです。おそらく植物は夜に呼吸しかしないので酸素不足になることを心配しているのでしょうが、植物の呼吸量は動物より遥かに小さいので、実際に酸素不足になることはないでしょう。


Q:「アジサイの花は生えている土の酸性度で色が変わるというのは本当ですか?」
A:「本当です。ただ、他にも条件があります」

 アジサイの花は「アントシアニン」という色素で色づいています。憶えていますか? アントシアニン。液胞の中に含まれる代表的な植物の色素です。
 このアントシアニン、酸性度(pH)によって色が変わるという特徴があります。アントシアニン水溶液は酸性なら赤色、アルカリ性なら青色です。リトマス試験紙の代わりにも使えるので、中学の時に授業で使ったことがある人もいるかも。この色の変化によって、アジサイは様々な花色を作り出します。
 実際のアジサイでは単純に酸性度で色が変わるわけではなく、土壌の酸性度以外にも「遺伝的な要因」や「アルミニウムイオンの濃度」が関わっているとされます。ただ、生えている土の酸性度が変化して、花色が変わることも十分あると思います。

 昔読んだイギリスの推理小説で「犯人がピストルをアジサイの下に埋めたら、その鉄分が溶け出して、アジサイが赤い花をつけるようになった」という話がありました。園芸好きのイギリス人らしい話です。