2002年12月1日
夢を見た。
詳しくは思い出せないが、何かに追われていた。
……最近、追われる夢が多い気がする。
午前6時40分、起床。
今日は製本工場でアルバイト。
午前8時、始業。
今日の製品は様々な企業の上半期事業報告書。
手を動かしつつ紙面を流し見る……どこもかしこも苦しそうだ。
午後8時、終業。
午後8時30分、帰宅。レンが上機嫌。
私が汗水垂らして働いている最中、友人と『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を観に行っていたという。
エマ・ワトソン演ずるハーマイオニーにすっかり御執心。
第四作以降のハーマイオニー役が、彼女を越える美少女でなければ観に行かないとか。
師からメール。
弟子の作品に対する弟子同士の講評集。
全9作品中、私の作品に対する評価は以下の通り。
ベスト1評価×3
ベスト3評価×1
ワースト2評価×1
ワースト1評価×2
※各人がベスト、ワーストと考える作品を順に3作品ずつ選出
……複雑な評価である。
新たに24作品の講評が課せられる。〆切は12月13日。
早速講評開始。
2002年12月2日
午前1時30分、就寝。
午前8時、起床。
昨夜に引き続き作品講評。
24作品中、15作品が一見まともに見える。
更なる検証が必要。
午前10時30分、出社。
事務所内整理、及び必要な機材の買い出し。
ヨドバシカメラで17インチ液晶ディスプレイが49800円。キャッシュバックを計算に入れれば42500を切る値段。安い。
あと2年もすれば3万円を切るかもしれない。
夕刻、今後の活動について会議。
午後7時、退社。
午後8時、帰宅。
『地球50億年紀行SP』を観つつ食事。
生活のために違法伐採する少年。
森に帰るために人間のもとで訓練を積むオランウータン。
まったく無駄のない、美しく引き締まった肉体を持つ狩猟民族。
夕食後、作品講評。
2002年12月3日
午前0時30分、就寝。
午前8時30分、起床。
午前10時30分、出社。
パソコンをカスタマイズ。キーボードとモニタを掃除。CRTモニタ用フィルタを装着。
昼食後、密かに作品講評の続き。ベスト候補5作品、ワースト候補6作品を選出。残るはそれぞれ3作品に絞り込む作業。
企画書5本目、一向に進まず。気分を切り替えるべく6本目に着手。みるみるうちにメインヒロイン二人分の設定が浮かぶ。
午後7時、退社。
午後8時、帰宅。
『みずいろ』OVAをレンタル、観賞。
──薄々予測してはいたが、大幅にクオリティが低下。
凄まじいまでの展開の早さに心情描写が追いついていない。これでは雪希が性悪娘にしか見えない。
『プロジェクトX』を観つつ食事。
レンと二人で「ざまあみろ」と笑う。
午後10時30分、海藤にメール。
午後11時30分、就寝。
2002年12月4日
午前8時30分、起床。
強烈に腰が痛い。座り仕事の宿命か。
レンに湿布薬を塗ってもらう。
通勤途中、HPの更新を忘れていたことに気づく。
午前10時30分、出社。
電話開通。LANについて詳しい者がいないため、未だネットには繋げず。
先輩がルーターと専門書を買ってくる。
12月6日の発売を目前に控え、今作に重大な問題が発覚。取り返しがつかない。
責任は我々にないのに、最も甚大な被害を受けるのは我々という理不尽さ。
二度と韓国を信用するものか。
企画書6本目を進める。
ヒロイン5人分の設定とプレストーリーを構築。
夕刻、ボーイズラブ市場の可能性について討論。
午後7時、退社。
午後8時、帰宅。
海藤からメール。企画書6本目について建設的な意見。
本日更新分を添えて返信。
和泉氏からメール。返信。
2002年12月5日
午前1時、就寝。
夢を見た。
元声優ということで、アニメのアテレコに飛び入りで参加する。
マクロスと幽々白書を足して二で割ったようなアニメで、私の役はナレーションと消防車の無線通信音声だった。
午前8時、起床。
師からメール。プロットの骨格を抽出する場合、文章ではなく単語を抽出せよ。
午前10時30分、置き場に困っていた折りたたみ自転車で出勤。社用自転車に。
午後4時頃、企画書6本目完成。
新作にかかる数々の制約をクリア。新作候補としては最高の出来か。
以後、HP制作。
オフィシャルホームページのデザイン・構成を一新。
新作発表と同時に更新予定。
午後7時15分、帰宅。
『FNS歌謡祭』を観つつ食事。
へたなアイドルより「くず」のほうがよほど歌唱力あり。
数年前の映像と比較すると、浜崎あゆみの不健康さがいっそう際立つ。
頭痛発生。
歌番組とはいえ、一日パソコンで酷使した目に3時間20分は無理があったか。
午後11時、就寝。
2002年12月6日
夢を見た。
独立メンバー4人中、2人が同日に交通事故で亡くなる。絶望。
気がつけば私は冒険家に。いかつい男と古びた洋館を探検。罠をかいくぐり宝を手に入れる。
再び場面転換。私は事務所でHP制作の続きをしていた。亡くなったはずの2人もいた。
最近これまでにない頻度で夢を見る。
人はレム睡眠時に夢を見るという。この仕事に就いて睡眠時間が充分に取れるようになったぶん、眠りの密度が低下しているということか。
夢から創作のヒントを得ることは往々にしてある。喜ばしいことだ。
午前8時、起床。
いよいよ今作の発売日。2chなどで評判をチェック。
良くも悪くも予想通りの反応。
父にメール。明日明後日の帰郷について。
午前10時30分、出勤。
HP制作の続き。現在のOHPは黒背景。新OHPは白背景。
イメージの転換&保持のバランスに心を砕く。
午後7時10分、退社。
午後8時、帰宅。
再度評判チェック。良好。
喜ぶべきか、同日発売の他作品に対する評判が悪いため、良作のイメージが定着しつつあるようだ。
午後11時30分、誤字脱字修正パッチ公開。
就寝。
2002年12月7日
午前8時30分、起床。
30分間チャット。
師への定期レポート作成開始。
午前10時分、レポート作成終了。メールで送信。
午前11時、出発。
今日は京都で巨人軍川中選手の挙式披露宴。来賓として出席する師に、披露宴終了後直接指導を賜るべく京都へ。
午後0時30分、からすま京都ホテル着。
午後0時50分、姉弟子の一人と初顔合わせ。午後5時からの講義にも関わらず午後1時の集合命令に疑問。予想通り、午後1時を過ぎても師の姿はなし。やはり誤字だったか。
やむなく自習。互いに適当な単語を書き並べた紙を交換し、そこから得られる情報のみでプロットを構築するトレーニング。
午後3時、一旦解散。寺町京極を散策。
会場変更の連絡。ハートンホテル京都へ。
午後5時~7時、講義。
午後8時30分、実家へ。
午後9時、海藤来訪。本日の講義内容を復習。新企画について意見交換。
午前0時、就寝。
2002年12月8日
夢を見た。
近場の販売店に視察に向かう。
異様な人だかり。今作が驚くほどに売れていた。
午前8時25分、目覚め。
30分に目覚ましをセットしてある。あと5分、と思って目を閉じると9時になっていた。
午前10時、以前バイトをしていたリサイクルショップへ。
変わらずレジに立つ中学時代の友人に再会。
午前10時30分、ハートンホテル京都へ。
午前11時~午後2時30分、講義。
午後3時、解散。
午後5時、帰宅。師に帰宅報告と謝礼のメール。
録画しておいた『ガンダムSEED』を観る。
毎回名台詞をのたまうフレイの圧倒的な存在感。主役を食われるか否かの狭間に立つキラ。それでもマイペースなラクス。バランスの妙。
次回予告の映像編集も実に巧い。
『発掘あるある大辞典』を観つつ食事。
──私は幼い頃から、真冬でも設定温度18度で生活してきた。
太れない理由はこれか。
2002年12月9日
午前0時、帰宅途中に購入した横山秀夫『半落ち』にレンが気づく。
しまった、と思うも時既に遅し。やむなくネット。
レンが完読するまでの2時間30分、寝室は書斎と化した。
午前2時30分、就寝。
夢を見たが詳細な記憶なし。
午前8時30分、起床。
出勤途中、『半落ち』第一章読了。
午前10時30分、出勤。
類似商標について某社よりクレーム。馬鹿馬鹿しいにも程がある。
ドラゴンクエストを作ったエニックスがドラゴンスレイヤーを作ったファルコムに「ドラゴンという言葉を使うな」と文句を言うようなものだ。
半年以上前から幾度となく雑誌掲載しているにもかかわらず、変更のきかない発売後になってから文句をつけてくるあたり性根の汚らしさがうかがえる。
裁判に備え議論。社長がいると話が進まない。外出時に方針を固める。
一日HP制作。
午後7時、退社。
退勤途中、『半落ち』第二章読了。
午後8時、帰宅。
『人類飛行伝説・ナスカ巨大地上絵の謎に迫る』を観つつ食事。
江口洋介は歳を食うほど男に磨きがかかっていくようだ。
午後10時、『アトムの遺伝子 ガンダムの夢』を読む。
現代日本におけるモノ作りの一つの原点。
第五回まで読了。
午前0時、就寝。
2002年12月10日
午前7時20分、起床。
──寒い。
午前9時、家賃補助の定期更新書類完成の為マンションの管理会社へ。
午前10時、年末調整用書類を提出にバイト先へ。
午前10時30分、出社。
新企画について打ち合わせ。
HP制作。
午後6時、新HPほぼ完成。
あとはヤフーBBの工事完了を待つのみ。
……それが一番のネックとなるだろうことは想像に難くない。
午後7時、退社。
午後8時、帰宅。
『プロジェクトX』が始まる前に食事を終え、観賞。
その意気を、志を、自らに取り込むことができればと。
師からメール。
君はまだ若い。絶対的に人生経験が足りない。今は目を開き、耳を澄まし、精一杯働け。
私に器があるかどうかはわからないし、いまさら気にかけることでもない。
しかし、仮に器があったとして、経験という水が入らなければ器はただの器に過ぎないのだ。
技術とは水の利用法でしかないのだから。
2002年12月11日
午前0時30分、就寝。
午前8時30分、起床。
出勤途中、『半落ち』第三章読了。
午前10時30分、出勤。
CDに傷があったとクレーム。
着払いで送り返されてきた製品を見るも傷などない。
嫌がらせか、それとも特典狙いか。
正午、ようやく社内LANが繋がる。
新企画に関するスケジュール表を作成。
社長に統括的なスケジュール管理ができないことを再認識。
自分のことながら、仮採用中の人間がスケジュール関連のファイルを作成・管理するのはいかがなものか。
新作の4月発売は極めて無謀。
おそらく5月中頃になるものと予想。
午後1時30分、追加発注のFAXが届く。
グラフィッカーY氏と2人で狂喜乱舞。
しかし、目標本数は遥か遠い。
午後5時、新HP完成。
以後、作品講評の続き。ベスト3作品、ワースト3作品を選出し、コメント。
午後7時、退社。
退勤途中、『半落ち』第四章読了。
午後8時、帰宅。
午後10時、我等が制作チーム独立の際に残留した原画家、渚氏に電話。
──完遂。
手が震えるほどの緊張というものを久しぶりに味わった。
良くも悪くも、私は社会の波に浸っていない。
立場的にはともかく、心は何処にも属さぬままだ。
この型に捕らわれない考え方と、それに伴う行動力を失った時、おそらく私は終わる。
ようやく動き始めたのだ。
終わってたまるものか。
2002年12月12日
午前0時、渚氏にメール。
午前1時30分、『半落ち』読了。師が薦めるだけのことはある。見事。
しかし、これを引き際鮮やかととるか、途中で投げ出したととるかは評価の分かれるところだろう。
間もなく就寝。
午前8時30分、起床。
午前10時30分、出勤。
社長に必要な仕事と期限を明示。社長が動かなければ制作ラインも動かない。
何故私が社長を動かさねばならないのか。
商標問題について有利な前例を発見。
アスキーがPSソフト【MOON】 を発売した時期に、タクティクスがPCソフト【MOON.】を発売している。その際、アスキーが【MOON】で商標登録をしており、タクティクスに商標権侵害だとクレーム。
しかしタクティクス、完全無視。結果、音沙汰なくなったという。
半年間の雑誌掲載時期は見て見ぬ振りでやり過ごし、発売日に狙い済ましてクレームをつけてくるような連中だ。目的は間違いなく金だろう。
弁護士費用と裁判沙汰によるイメージ低下を考えれば、相手に賠償意志と財力がなければ損をするのは自分のほうだ。普通に考えれば深追いはしてこない。
もっとも、そんな単純なことも理解できないような連中が上に鎮座ましましているからこそ、今回のようなクレームが発生したのだろうが。
ともかく、今後一切の電話は社長がとることに決定。
相手の話を聞かないこと、筋道の通らない会話をすることにかけては社長は一級品である。
午後7時、退社。
午後8時、帰宅。
師にメール。先日の京都で学んだことのレポート。
午後10時、レンの相手をしつつネット。
午後12時、就寝。
2002年12月13日
気がつくと、涙を流していた。
自分が生きていることに、今までに出会った総ての人に感謝していた。
夢を見たのだと思う。
だが、どんな夢を見たのか、思い出すことはできかった。
午前8時30分、起床。
渚氏からメール。氏との繋がりは私にとって、大きな財産となるだろう。
午前10時30分、出勤。
企画書7本目にとりかかる。現状の我が社では作品化困難な企画だが、様々なジャンルの企画を多数常備しておくことは、この先大きな武器となるはずだ。
午後5時過ぎ、ようやくネットが繋がる。
これで制作環境は整った。
午後7時、退社。
午後8時、帰宅。
師に作品講評のメール。
『みずいろ』OVA第二巻を観つつ食事。
雪希の立場なし。主人公の精神構造はいったいどうなっているのか。
本編終了後、第三巻の予告なし。今さら物語が破綻していることに気づいたか。
どうせなら、このままとことん壊れた話を展開してほしかった。
午後10時、就寝。
2002年12月14日
午前1時、再起動。
午前4時、再就寝。
午前9時、起床。
師から弟子全員に向けてメール。
およそ一ヶ月ぶりに【アスガルド】をプレイ。
バージョンアップで攻撃力が3倍近く上がっている。さすがベータテスト。
河出書房新社『使ってはいけない日本語』を読む。
納得し、感心し、時に爆笑。
「類は友を呼ぶ」を「友は類を呼ぶ」とは度が過ぎる誤りだ。
つい最近、友人が友を類にするという表現で笑わせてくれたが、無論彼は「類は友を呼ぶ」の意味を正しく理解していた。
午後5時30分から午後10時までテレビの前に居座る。
午後10時30分、就寝。
2002年12月15日
夢を見た。
小・中学校時代の友人宅を訪ねる。お母さんやお姉さんも一緒になって談笑。ついには妹さんまで登場。
気がつけば朝。バイトに行く準備を終え、一息ついた。
午前6時30分、起床。
夢で終えたばかりの準備を一からやり直す。
ちなみに、夢で再会した友人に妹はいない。
午前8時~午後8時、就労。
午後8時30分、帰宅。
師からメール。作品講評に対する指摘と、来年に向けての言葉。
働くということは四方八方からの敵に対峙するということです。剣道をやっていたならわかるだろうが、人間、前、両横、後の四方に敵がいては太刀打ちできないが、前、両横の三方なら撃退も可能です。後ろに敵はいない。そう信頼できるのが、家族という壁のおかげです。家族が後ろにいてくれるからこそ、安心して敵と向かえるわけです。家族と向き合い、養わせていただくありがたさを知りなさい。生きる道しるべが見えてきたら、それが君の探しているテーマです。軽々しくテーマがわかったなどというもんじゃないということ。先人のことば、先輩のことばに耳を傾け、意見を謹みなさい。若造の軟弱な意見を聞くポーズをしても、真剣に君の話を聞くばかな大人はいないということです。この一年、真摯な気持ちで周りの大人の話に耳を傾けよ。彼らは君に何かを伝えようとしている。その何かを心の目で凝視せよ。心眼というのは、必ずあるということを肝に命じて、来年はそれを磨いていきなさい。
良き師に巡り合えた幸運に、心から感謝。
作品講評の反省を併記し返信。