以上の知識を踏まえて、宗教税でもって教会運営費を形成する制度の特質をみてみましょう。
宗教税制の対極は自由献金制ですので、これをイメージの一方において考えてみます。
バージニア州議会では、聖句主義教会以外のノンバイブリシスト教団は、
みな指定宗教税制案を支持しました。
つまりサポート対象を納税者が自由に指定できることを前提にした、宗教税制による
教会財政サポート案を支持したわけです。
けれども、対象を自由選択できようが出来なかろうが、資金が政府の強制力の助けを得て
徴収されることには変わりありません。
この方式ですと運営費用が安定的に形成できるのですが、それも強制力あってこそです。
他方、自由献金制では資金形成は不安定になりますが、集金に国家権力もつ
強制力の助けは受けません。
バイブリシストはそこに問題の本質をみていました。
強制力のお世話になれば、政府はその宗教が社会安定装置として社会に組み込まれてくれる
ことを期待します。
繰り返し述べてきたようにこれは社会集団というもののもつ本能ですから、いたしかたないのです。
州政府はたとえば活動様式の儀式化を求めるでしょう。
教義の道徳化も期待し、礼拝メッセージにも道徳的な話の拡大を望むでしょう。
「宗教活動は自由にします」との建前をいっても、「あまり突飛なことはしないでね」とも
いってくるでしょう。
さらに進んで聖職者に公務員としての職務規程を作って与えてくるかもしれない。
礼拝の手順に関しても一定のマニュアルを作成してくるかもしれない。
マニュアルにはたとえば、クリスマス礼拝のメッセージには、「ルカによる福音書」の
1章の全節を取り上げる、とかの示唆も記されるかもしれません。
当初はそうでなくても、時が進めばそうなるのが人間の「集団社会」なのです。
聖句吟味を活動の中心に置き、霊的・精神的ダイナミズムを保ち続けることをいのちとする
バイブリシストには、これは本質的な問題でした。
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