映画「CRASH」は必見

2008-12-23 13:19:05 | Weblog
「ミリオンダラーベイビー」の脚本で2004年度のアカデミー作品賞を獲得したポールハギス氏が、翌年ペンをメガホンに代えて今度は監督として見事オスカーを連続受賞したことで知られる「CRASH」。

この映画との最初の出会いは、もう遥か3年近く前になるが、確か2006年1月のNew York出張で、JALが日本公開前に先行機内上映していたものをたまたま鑑賞。
最初は退屈しのぎ程度に軽くチャンネルを合わせただけだったのが、瞬く間に緊張感溢れる展開に釘付けとなり、帰国後は「十年に一本の名作」と称して俄宣伝部長よろしく、知り合いに振れ回ることとなった。

舞台となる「人種のるつぼ」L.Aでは、日常的に潜む人種間の不信と差別と憎しみが、ほんの些細な出来事から増幅し、CRASH(衝突)する世界に人々が暮らす。
映画は、そんな危うい社会の中で、ある交通事故(CRASH)を中心に、様々な人間模様がゆっくりと交錯し、次第に折り重なっていく姿を丁寧に描いていく。 

機内誌には、サンドラブロック主演と書かれてあったが、実際にはマットディロン他、登場人物それぞれが重要な役回りを演じる同時進行型群像劇で、パズルのPieceを一つ一つ組み合わせていくように緻密に構成されたシナリオは1時間52分の上映時間を全く飽きさせなかった。

そもそも、Hate Crimeという、人種のモザイク国家アメリカが抱える社会問題を題材にしているため、ラストも決して予定調和的なハッピーエンドではないし、むしろ全編に渡って漂う「絶望感」の方が重く心にのしかかる。

そんな中、ハギスはそれでも希望を諦めずに懸命に生きようとする者に、一筋の奇跡の光を与える。

「透明マント」のシーンでは隣席を気にしながら不覚にも涙で枕を濡らしてしまった。

あれから歳月は流れ来年には、いよいよアメリカ初の黒人大統領が登場する。
そんな今だからこそ、この映画をもう一度しっかりと観返してみよう。
少子化大国「日本」にも、いずれこうした問題は無関係ではなくなるのだから。

DVDは発売直後に購入し、しっかりとMYライブラリーに加わった。