本日は!
イトシマ号 で ハカタイキ!
博多駅周辺は、
首にヒモをぶら下げた
ネームプレート教団 の信者でいっぱいだ!
いったい、いつから
ネームプレート教団 は拡大したのだろうか?
みんなが、
ネームプレート を着用しているので
本来の、
ネームプレート の意味は
まったく失われているにもかかわらず・・・・
そんな ネームプレート教団 に
大杉栄 の 『鎖工場』 を捧げよう!
夜なかに、ふと目をあけてみると、俺は妙なところにいた。
目のとどく限り、無数の人間がうじゃうじゃいて、
みんなてんでに何か仕事をしている。
鎖を造っているのだ。
俺のすぐ傍にいる奴が、かなり長く延びた鎖を、
自分のからだにひとまき巻きつけて、
その端を隣りの奴に渡した。
隣りの奴は、またこれを長く延ばして、
自分のからだにひとまき巻きつけて、
その端をさらに向うの隣りの奴に渡した。
その間に初めの奴は横の奴から鎖を受取って、
前と同じようにそれを延ばして、自分のからだに巻きつけて、
またその反対の横の方の奴にその端を渡している。
みんなして、こんなふうに、同じことを繰返し繰返して、
しかも、それが目まぐるしいほどの早さで行われている。
もうみんな、十重にも二十重にも、からだ中を鎖に巻きつけていて、
はた目からは身動きもできぬように思われるのだが、
鎖を造ることとそれをからだに巻きつけることだけには、
手足も自由に動くようだ。せっせとやっている。
みんなの顔には何の苦もなさそうだ。
むしろ喜んでやっているようにも見える。
しかしそうばかりでもないようだ。
俺のいるところから十人ばかり向うの奴が、
何か大きな声を出して、その鎖の端をほおり投げた。
するとその傍に、やっぱりからだ中、鎖を巻きつけて立っている奴が、
ずかずかとそいつのところへ行って、持っていた太い棍棒で、
三つ四つ殴りつけた。
近くにいたみんなはときの声をあげて、喜び叫んだ。
前の奴は泣きながらまた鎖の端を拾い取って、
小さな輪を造っては嵌め、造っては嵌めしている。
そしていつの間にか、そいつの涙も乾いてしまった。
(大杉栄 『鎖工場』より)