祖母の父親=曾祖父は、
児島郡滝村(現 玉野市滝)で生まれ育った。
曾祖父が子供の頃、
滝の家には、雄の三毛猫が居た。
その三毛猫は、
成長するのしたがって、
尻尾が二股に分かれ、
人間の言葉を理解し、
人間の言葉をしゃべりはじめた。
毎夜毎夜、
その三毛猫と曾祖父は、
ひそひそと何かを語り合っていたいう。
祖母いわく、この話は実話である。
滝村の三毛猫は、
猫又(ねこまた)と呼ばれ、
児島郡一帯でたいそう評判になったそうだ。
・・・・
やがて時が経ち、
曾祖父は、腕の良い指物大工となり、
水車を造らせると、
その腕にかなう者はいなかった。
しかし、
ある日の事、
曾祖父は、
自分でこしらえた水車に轢かれて
若くして死んだ。
猫又は、毎夜毎夜、
曾祖父に何を話しかけていたのだろうか?
私は密かに、
祖母の母親=曾祖母は、
猫又の化身ではないかと思っている。
曾祖母は、
神通力に優れ、身のこなしが軽く、
滝村で一番、木登りが上手かったという。