★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

天の潜伏

2023-05-31 23:09:05 | 思想


舜相堯,二十有八載,非人之所能爲也,天也。堯崩,三年之喪畢,舜避堯之子於南河之南。天下諸侯朝覲者,不之堯之子而之舜;訟獄者,不之堯之子而之舜;謳歌者,不謳歌堯之子而謳歌舜;故曰『天』也。夫然後之中國,踐天子位焉。而居堯之宮,逼堯之子,是『篡』也,非『天與』也。《泰誓》曰:『天視自我民視,天聽自我民聽』,此之謂也。

民意が示されるみたいなせりふは、いまの保守政治でも為されるが、民意がどことなく天意を示している前提が崩れているのに民意の天の性格だけが残されているようだ。

わたくしの青春時代の思い出の54位ぐらいに、「ハイデガーの言ってることってつまり死んだふりってことでしょうか」と質問したらハイデガ研究者に「違います」と光の速さで言われたエピソードがある。わたくしは、そのころから「死んだふり」というのは人間も常々おこなっていると思っていた。これは案外中国的だったかも知れない。天とは、民意に埋め込まれた何かであって、すごく長い潜伏期を経て降ってくるのである。