《試練》――現在史研究のために

日本の新左翼運動をどう総括するのか、今後の方向をどう定めるのか

2013年2月 日本の経済―日本の動きⅡ

2013-05-04 00:19:43 | 日本の経済―日本の動きⅡ
2013年2月 日本の経済―日本の動きⅡ

《景気動向》
〈12月・2012年の景気・経済指標〉
○2012年12月の鉱工業生産指数(05年=100)88.9、前月比2.5%上昇。2ヶ月ぶりに前月を上回った (31日 経産省)。北米向け自動車が好調、アジア向けの半導体製造装置や半導体・IC測定器などの産業機械の生産増。基調判断を「下げ止まりの兆し」と引き上げ。先行きは1月の予測指数が輸送機械の押上で2.6%増、2月が2.3%増で11年4~6月以来の3ヶ月連続増産の見込み。10~12月は87.8、1.9%減。3四半期連続のマイナス。12年通算は91.9、0.3ポイントの減少。
【12年10~12月期まで3四半期連続で鉱工業生産指数はマイナス。すごい事態である。だからこそ鉱工業生産指数を下げ止まりと判断。3ヶ月連続プラスを待ち望んでいる様子がわかる。】
○2012年度の新設住宅着工件数、前年度比5.8%増の88万2797戸。前年比プラスは3年連続 (31日 国交省)。住宅ローンの金利優遇策や復興需要などが支えた。
○2012年10~12月期の船舶・電力を除く民需(民間設備投資の先行指標)、前期比2.0%増の2兆1894億円。プラスは3四半期ぶり、13年1~3月期も増加見込み(7日 内閣府)。基調判断を「穏やかな持ち直しの動きが見られた)と10ヶ月ぶりの上方修正。12年暦年は前年比0.9%減と3年ぶりの減少だが、12年10~12月期は非製造業(金融・保険、建設業)が4四半期連続のプラスで牽引。製造業は3四半期連続マイナス。12年12月は前月比2.8%増の7529億円で3ヶ月連続プラス。製造業が3ヶ月連続プラス。
【12年10~12月期の民需・民間投資の先行指標はプラスだが、製造業は3四半期連続でマイナス。ここを底というのか。】
○2013年1月の消費者態度指数、43.3。前月比4.1ポイント改善(12日 内閣府)。比較可能な04年4月以降最大の上げ幅。昨年11月に雇用への不安が高まったと下方修正した消費者心理を「持ち直している」と1年ぶりに上方修正。昨年12月まで4ヶ月連続で悪化していたが一気に好転した。デフレ予測(長く続いた低成長と物価の下落に慣れ、それが今後も続くと予測)に変化の兆し。消費者態度指数を構成する4指票(収入の増え方、暮らし向き、雇用環境、耐久消費財の買い時判断)がいずれも改善。
【「一気に好転」という表現に政治的意図を感じる。】
○1月の景気ウオッチャー調査、「街角景気」の現状判断指数は前月比3.7ポイント高い49.5(8日 内閣府)。上昇は3ヶ月連続。50に迫っており、株高を好感し企業の業績改善期待が広がり。「家計」「企業」「雇用」の全分野が改善。
【景気上昇の期待はおおきいということか。】
○12年10~12月期のGDP、前期比年率0.4%のマイナス。マイナス幅が前期より大幅に縮小、政策主導で輸出や消費がもちなおしている(13.2.15)。昨年春からの景気後退期の主因は海外経済の減速で、外需の落ち込みが持ち直している⇒実質輸出(日銀算出)は昨年5月から6ヶ月連続で2%ペースで減少していたが11月に0.2%減に浮上、12月は0.4%減と横ばい。鉱工業生産指数は12年12月に前月比2.5%上昇、1~2月も増産見込み。12年度は2.2%成長見込み、13年度後半は消費増税駆け込み需要で景気押し上げ、14年4~6月は反動のマイナス成長か。河野龍太郎(BNPパリバ証券経済調査本部長)が「デフレ脱却は可能だが低成長、むしろ公的債務の膨張が課題に」と論評。
【12年の第4四半期はマイナス成長である。春先に始まった後退は、ここが底ということか。消費増税で谷山が激しくなる。】
○12年10~12月期の国内総生産GDPが実質で前期比0.1%減。年率換算0.4%減 (14日)。海外経済の低迷に伴う輸出の減少(自動車、産業機械、鉄鋼など3.7%減少)や設備投資の不振(2.6%減少で4四半期連続マイナス)で1年半ぶりの3四半期連続のマイナス。
主因は外需不振で0.2ポイント押し下げ、個人消費は牽引し0.1ポイント押し上げた。自動車の在庫調整が想定以上に進み在庫投資の減少という前向きの動きで成長率を押し下げた。GDPデフレターは前年同期比0.6%マイナス。12年暦年のGDPは実質で1.9%増の519兆2511億円、名目で1.1%増の475兆7290億円。2年ぶりのプラス成長。
【12年10~12月期のGDPは3四半期連続マイナスとなった。この認識は重要である。景気後退期。主因は外需不振。依然としてデフレ基調。名実逆転で40兆円ぐらいの差が出ている。】
○日本の乗用車メーカー8社の2013年の世界販売計画が2500万台を超えた(13.2.16)。2年連続で過去最高。世界販売に占める比率は23%と5年ぶりの高さ。
○1月の工作機械受注額は716億6300億円。前年同月比26.4%減少(18日 日本工作機械工業会)。9ヶ月連続のマイナス。65%減の中国などアジアの落ち込みは大きい。外需は地域別の輸出で中国を含むアジア向けが46ヶ月ぶりに北米向けを下回った。北米向けは堅調。内需は低調で33ヶ月ぶりに250億円を下回った。安倍政権について「期待はあるがまだ効果はわからない」(副会長)。
【工作機械受注額は9ヶ月連続のマイナスである。ここでの回復が安倍の試金石になるのか。】
○2012年度補正予算案の早期執行に黄信号 (13.2.20)。予算の成立のズレ、建設業の人手不足、公共事業の着工が遅れる見通し。
○1月の鉱工業生産指数(05年=100)、89.7。前月比1.0%上昇 (28日 経産省)。改善は2ヶ月連続。国内外の自動車の生産の伸びが主因。基調判断を上方修正。1月の生産指数は16業種のうち9業種で前月を上回った。1995年以来17年1ヶ月ぶりの2ヶ月連続上方修正。製造工業生産予測調査(1月2.6%増)を下回った。輸送機械工業は6.8%増、鉄鋼業はアジア向け輸出の伸びで6.6%増、電子部品・デバイス工業は0.1%減だがムス型半導体集積回路’(メモリー)はアジアで生産するスマホの需要を中心に前月比77.5%増。製造工業生産予測調査は2月が5.3%増、3月は0.3%増。
【1月の鉱工業生産指数は予測どおり。】

《経済政策アベノミクス》
○成長戦略は規制改革が焦点 (13.2.3)。竹中平蔵が産業競争力会議で「規制改革が主役、一丁目一番地」と発言した。規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)で規制改革の重点は「雇用、エネルギー・環境、健康・医療」の3分野で、農業ははずした(首相安倍)。
○物価2%に見合う経済(13.2.3 けいざい経済)。物価変動の影響を除いた実質の賃金はほとんど下がっていない。
○政府の緊急経済対策と円安効果は、40.6万人の雇用と失業率を0.3ポイント押し下げるだけ(13.2.6 第一生命経済研究所)。賃金が上昇に転じる目処の失業率3.6%には届かない。
名目賃金はリーマンショック以降、5%程度下がったまま。労働分配率は66%でリーマンショック前より3ポイント高く、人件費は企業に重荷になっている。
【安倍が80万人の雇用増と言ったのは失業率3.6%からの逆算か。】
○アベノミックスの第2幕 (13.2.11 核心 滝田洋一)。
①状況の変化に応じて柔軟に主張を変えるのが保守政治家の本領。
②安倍「業績が改善している業界で報酬を引き上げていくための環境作り」(5日 経済財政諮問会議)。この日の事務方が用意した資料「輸出と所定外給与、企業利益と賞与、消費者物価とパート時給のグラフに以下の説明。所定外給与は輸出増と共に増加し、賞与は企業利益の増加にやや遅れて増え、パート時給は物価上昇率と連動する傾向がある」。
③1月23日の産業競争力会議でローソン社長・新浪は20~40代の雇用と賃金を増やした企業に法人税の25%への引き下げを提案。
④13年度税制改正で従業員の平均給与を増やした企業には給与総額の増加分の最大10%を法人税から差し引く(給与増減税)。欧州の民主党も導入。
⑤企業活動を重視する安倍がなぜ給与増を志向するのか? 「縮小均衡の分配政策から成長による富の創出」。東大教授の吉川洋は「デフレに陥った理由は賃金の決定に大きな変化があった。雇用か賃金かを迫られた労働者が賃金低下を受け入れたこと」(「デフレーション」)と、長期不況と金融危機で企業がキャッシュを抱え込むことが行動原理に。⇒企業がキャッシュを抱えたままでは目減りする環境へ。
⑥「アベさんがベアを後押しすれば賃金はブル(強気)に」。
【面白い。安倍が給与増減税を掲げているが、安倍はベアアップを言ってはいない。経団連もベアアップはとんでもないことで、全て賞与の増額で賃上げ要求に対応している。滝田の論点は、①のテーゼの検証だが、何が問題なのか。安倍は欧州の社会民主主義と同じ道なのか。デフレ脱出と賃金引上げに踏み込むのか。それを第二幕といっているのか。「縮小均衡と富の創出」は誰の言葉なのか。】
○米財務省次官ブレイナードがアベノミクスについて「デフレ克服と経済成長の活性化に向けた努力を支持する」(11日)と表明。上院が承認していないジャック・ルー新財務長官候補の代理としてG20に参加したもの。
【米帝は、日本の円安政策を国際会議で通貨戦争回避は確認すべきという前提があっても非難していない。米帝の思惑として日本の脱デフレで得をすると見ているのか。TPPへの引き込み策が働いていることは間違いない。】
○安倍が経済3団体と会談し、デフレ脱却に向けて業績が改善した企業から賃金を引き上げるよう要請した。
【滝田洋一の「アベノミクス第2幕」。安倍は「一時金や賞与」に反映を要請しているのであって、賃金カーブの引き上げを要求しているわけではない。このことは、今までの春闘でも業績の上がった企業は一時金・賞与には反映させている限りにおいては新味はない。】
○アベノミクスの評価は(13.2.16)。カリフォルニア大バークレー校バリーアイケングリーン教授が「デフレの解消で考慮すべきは、①デフレが日本経済の真の問題か、②構造改革との関係、③他国への悪影響」とした上で、(①の日本経済は)穏やかなインフレが実現すれば大きく改善」、「②の構造改革を後押しする観点からも必要」「まずは金融政策という薬をたっぷり服用して病状が改善するかをみる。だめなら検討」。「円安は金融緩和が経済に及ぼすいくつもの経路のひとつにすぎない」「通貨戦争はもっと必要。英米仏は5年に及ぶ通貨切り下げを経てデフレが解消し大恐慌を切り抜けた」「近年インフレに負けた国はジンバブエなどごく少数。中央銀行の技術と科学発展はめざましく物価目標は政策運営を大きく進化させた。物価目標を放棄した国はまだない。」「資産価格の上昇は量的緩和が波及する経路のひとつだが行き過ぎは危険」と述べる。
【これも基本的にアベノミクスの応援団である。デフレ克服⇒物価目標・金融緩和が薬で金融緩和支持。金融技術を絶賛。行き過ぎは資産価格上昇、と警告はしているが、その程度が難しいということか。大恐慌の克服は通貨戦争にあった、というのは一面的すぎる。】
○アベノミクス「第4の矢」は(13.2.17 けいざい解説 大林尚)。第3の矢の成長戦略では竹中平蔵の「規制改革が1丁目1番地」で構造改革路線への回帰が鮮明に。安倍政権の経済政策の軸を構造改革路線に収束させる妙手があるとすれば、その機を捉えて財政再建への中長期の道行きを示すことではないか。
【結局アベノミクスとは規制改革を成長戦略の軸にすえる以外にない。ここは攻めどころ。財政再建の道行きは示すことができない。】
○アベノミクス 家計を動かす(13.2.22)。富裕層の消費が活性化、しかし1月のスーパー売上高前年同月比4.7%減、コンビにも8ヶ月連続減少、12年10~12月期の個人消費は0.4%上昇したが上昇に寄与したのは「非耐久財」(電気料金)と「サービス」(携帯電話料金)でおのおの家計に占める割合は過去最高、すなわち固定費のふくらみが数字を押し上げ。固定費の増加以上に所得が増えることが必要。
【面白い。見出しはアベノミクスが好調だが内実は富裕層の資産効果で、一般家計にとっては所得増が伴わない固定費の増加の現実でしかない。ここでも問題は所得増である。】
○日本国債にマネーが流入している(13.2.27)。日銀の人事とイタリアの政局混乱で投資家のリスク回避の姿勢が再び強まった。新発10年物国債利回りは0.675%と9年8ヶ月ぶりの低水準。「日本国債を持たざるリスクが高まっている」。1ドル=90円台で1日の値幅は4円近くに。

《産業》
○エチレンの過剰設備の削減へ (13.2.1)。国内のエチレン工場は14箇所、年生産能力は721万トン、需要は614万トン。15ヶ月連続で損益分岐点の稼働率90%を下回っている。エチレンは石油化学製品の基礎原料で鉄鋼と並ぶ基礎素材。日本はナフサを原料にしているが、シェールガスに大量に含まれているエタンを原料に使うと製造コストは1割以下になる。
○老朽化した橋やトンネルの安全性を常時、無人で監視するシステムを導入(13.2.5 国交省)。日本企業が持つ高感度センサー技術を使い、異常を把握する実証事件を年内の始める。高速道路のトンネルは平均で築22年、国が管理するトンネルは築32年。インフラの維持・更新費が今後40年で現在の2倍強の10兆円に膨らむ。
○トヨタ、単独営業黒字へ (5日)。2013年3月期の単独営業損益が1300億円の黒字見込みと発表。単独営業黒字は5年ぶり。単独営業黒字について「国に税金を払い雇用やものづくりを守るために必要」(豊田章男社長)。
【トヨタは5年間税金を払っていなかったのだ!】
○日本企業の稼ぎ手が変わってきた (13.2.9)。13年3月期の最終的な儲けをしめす純利益のうち約5割を自動車(21%)・商社(18%)・通信の3業種が稼ぎ出している。金融危機前には自動車に次ぐ利益を出していた電機は赤字。

《経済政策》
○電気自動車などの最先端エコカカーの価格低下を自動車メーカーに促す仕組み(目標価格)を13年度に導入(13.2.4 経産省)。13~15年度の車両価格の目標を決め(目標価格)、これを下回ればガソリン車との差額分を購入者に国が補助する。例:EV車日産リーフXの価格は358万円、13年度の目標価格は332万円、定価が同額に下がれば16年度の目標価格252万円との差額80万円を全額補助する。対象車はEV、HV、PHV、クリーンディゼル、燃料電池自動車など。補助は段階的に縮小し、16年度以降は補助なし。
○円高修正で国内の設備投資ははどうなる?(13.2.4 エコノフォーカス)。円の実質実効為替レートはこの2ヶ月で13.8%下落。円安による設備投資の押上げ効果は3.2%押し上げ(財務省財務総合政策研究所)。波及経路は2つ→①企業の海外収益が円換算で上ぶれする経路、②円安を生かして輸出企業が外貨建ての製品価格を引き下げ、販売を伸ばす経路。一方、緊急経済対策で2000億円の設備投資補助金を創設。1兆円の民間投資の呼び水(経産省)。12年7~9月期の民間設備投資は年率換算で67兆円。政府試算は1.5%増、民間試算は3.2%増。日経の結論は円高是正が続けば補助金を大きく超える効果が得られる。

《規制緩和》
○半年に1回必要だった医薬品の臨床試験(治験)の副作用報告を1年に1度に緩和(13.2.4 厚労省)。日米欧で審査基準を統一。
【死亡事例などは速やかに報告や長期間のデータで副作用の傾向をつかみやすいとしているが、果たしていかに。】
○解雇条件見直し検討(15日 規制改革会議での論点整理案)。1.論点整理は4分野68項目。①健康・医療、②エネルギー・環境、③雇用、④産業の新陳代謝。
2.解雇規制についての緩和。①正社員の解雇を巡りどのような条件なら合理性があると認めるかの基準を明確化する、②解雇権の乱用として無効判決が出た場合に職場復帰の代わりに労使が金銭で労働契約が終了したとみなす解決策の導入、③勤務地や職種を限定した労働者の雇用ルールの整備、④最長3年間としている派遣労働期間の条件付き制限撤廃、⑤仕事の斡旋時の手数料を企業ではなく求職者側から徴収する要件の緩和。
3.個人保護法では原則、目的外利用にはあらかじめ本人の同意が必要だが、誰なのか特定できない状態にすれば適用外として第3者に提供できる「ビッグデータ」の膨大情報の解析事業を解禁。
【規制緩和は労働者の権利の剥奪である。どのような条件であれば解雇に合理性があるかなどふざけている。仕事の斡旋で求職者から料金徴収とは、具体的にどういうことか。】
○規制改革会議、議論始まる(15日)。過去に改革論議があった59項目を論点として提示。日経が論点としてあげている項目は4つ。①混合診療、②労働時間。事務職や研究開発の一部は適用を見直す、③解雇規制、金銭補償で雇用契約を終了、④確定拠出年金、現行の個人加入は自営業者と企業年金がない会社員だけで、会社員と主婦、公務員が加入可能に。 
【日経の規制改革推進キャンペーンのひとつ。狙いは労働権の剥奪である。】

《経済財政諮問会議》
○民間議員(高橋進一日本総研理事長、佐々木則夫東芝社長ら4人)が雇用・所得の増大に向けた提言。会社員の退職ルールの再検討で解雇規制の緩和、正規・非正規に関わらず能力・成果による処遇、女性が勤務しやすいように勤務地を限定した正社員制度導入など。
【わかりにくいが、成長戦略での狙いは労働規制の緩和にある。】
○安倍、経済団体に賃金上昇につながる取り組みを要請し、労働市場の規制緩和を検討していくことを表明(5日 経済財政諮問会議)。デフレ脱却のカギを握るとして雇用と所得を増やす議論に着手。正社員・終身雇用に偏った労働市場を改革して、国民全体の所得水準の底上げを目指す。政府は企業の競争力強化に向けた雇用調整は極力避ける方針だが、正社員の解雇規制の緩和などを求める産業界とのずれがある。民間議員は企業努力の成果を雇用・所得増加につなげる好循環として、具体的には正社員とパートなどに二分された雇用システムを改革し、地域を限定した正社員や専門職型の派遣労働者など多様な働き方を認める「多元的な雇用システム」の実現を求めた。
【安倍が、賃金引上げと労働市場の規制緩和をセットで提案していることは重大である。正社員・終身雇用を改革すると、なぜ国民全体の所得が底上げされるのか。95年以来はどうなのか。多元的な雇用システムとは何か。正規・非正規への二分ではまだ足りない、と言うらしい。何が足りないというのか。「非正規9割・正規1割」の目標でもまだ足りないと言うのか】
○甘利明経済財政・再生相が経済財政諮問会議に、4人の民間議員が先日提案した内容に基づきまとめた議論する議題を示した。(5日 経済財政諮問会議)。
骨太方針策定に向けて、①日本経済再生。「3本の矢」政策の実施と検証、金融政策・物価の審議(原則3カ月に1回)、若者・女性・高齢者の雇用拡大。柔軟性のある労働市場、地方分権を含む地域活性化、安価で安定したエネルギー供給、アジア太平洋地域・欧州連合などとの経済連携。
②持続可能な財政の実現。社会保障・公共事業・地方財政のあり方。
③骨太の方針後に取り組む課題。中期財政計画の具体化、消費税引き上げに向けた経済状況の検討。
【民間議員の提案を受けて甘利が議題を提起するという形式となっている。】

《産業競争力会議》
○安倍、農業を成長産業に (16日 産業競争力会議)。林農相が農産物の輸出拡大、農商工連携強化、農地の有効活用を3本柱に。4500億円の農水産物の輸出額を20年に1兆円に。民間議員が平均農地を2ヘクタールから50ヘクタールに、減反の段階的縮小、補助金に依存しない農業など提案。日経は優遇税制が問題になってないと意見。妻や子らが04年までに相続した農地は耕作放棄しても相続税猶予の特例の廃止を求めている。規制改革会議ではなく競争力会議で農業問題を取り上げていることをTPP反対団体への配慮としている。
【TPP対策としてのアリバイ。農業問題の基本的視点は、大資本による大規模農業の導入にある。】

《IT戦略》
○新たなIT戦略 (13.2.22)。ITを使った農業の生産性向上(IT活用の生産管理や物流促進)や医療の効率化(医療データーのバックアップ強化や高度な遠隔医療など)などが柱。3月中に政府のIT戦略本部で産業再興・経済活性化、国民の安心・安全、行政機能や政策効果の向上を目指した「真の行政改革」の3本柱。
【農業のIT化も、「真の行革」もうまくはいかない。】

《中小企業対策》
○中小企業金融円滑化法の3月末期限切れで激変緩和策 (13.2.4)。中小企業の再生を支援する公的機関(企業再生支援機構を改組した地域経済活性化支援機構)の出資枠を3倍の1兆円に、総額で2000億円規模の再生ファンドを育てる。
○地方の中小企業を対象とした企業再生ファンドの新規設定額が12年度は1000億円超の見通し(13.2.13)。中小企業金融円滑法の期限切れを控え地域金融機関が事業再生の請負会社などと共同でファンドを設立している。

○大手小売業がインターネット販売へのシフトを急いでいる(13.2.16)。主要40社のネット通販売上高は2013年に1兆円を超える。
○一線を越えたか電脳の侵食 (13.2.18 核心・平田育夫)。
①『機械との競争』(エリック・フリニョルフソンとアンドリュー・マカフィー共著)で雇用が回復しない原因は情報技術の進歩が人手を駆逐しているから。
②「コンピューターが仕事を奪う」(新井紀子国立情報学研究所教授)。ホワイトカラーの仕事の4割はコンピューターに置き換えられる。情報革命は生産性を高めるが、高いスキルを持つ一部の人々に所得が集中し所得格差が起こる。 ⇒人間だけにできる仕事として何が残るか。ビッグデータの解析に必要な統計学があるのは日本の大学でひとつだけ。結論は「技術の進歩が迫る労働力の流動化は大きな挑戦」。
【「人間にだけできる仕事」の結論は労働力の流動化とされている。風が吹けば桶屋が儲かる式の論か。】

《インフラ》
○再考、日本のインフラ 2。赤字空港、民営化に活路(13.2.20)。98空港のうち株式会社は成田、中部、関西、伊丹の4空港だけ。残りは国か自治体が経営し、大半は赤字(黒字は新千歳、小松など、赤字は羽田、福岡、那覇など)。
○前同 3。ハブ港奪還へ統廃合を (13.2.21)。  
○前同 4。農野再生、大規模化急務(13.2.22)。畦を取り除いて田んぼの区画を広げると10aあたり10万円を国が補助。全国21万箇所の田んぼ用ため池の4分の3は江戸時代に作られた。現在の水田の6割は1区画30aで作業効率の高い1haは8%、昭和40年頃に政府が30aを基準に区画整理をした農地が多く残っている。
【30aの農地が6割も残っているのは1960年代の政府の区画整理に原因がある。】

《株式・債券・為替》
○外為市場でユーロ高の円安傾向が強まっている(13.2.2)。逃避していたマネーが欧州に回帰。ECBのドラギ総裁が1月の理事会後の記者会見で利下げを求める意見無しと表明、日銀の緩和との方向性の違いが円安基調を決定している。しかし、ユーロ相場の堅調さには違和感→12月の失業率は11.7%、13年のGDPはマイナス0.2%、実体経済が回復しなければ南欧財政危機は再燃、5月にギリシアの大型債務償還、ユーロ圏の経常黒字がユーロ買いの材料だが、実態は内需不振の輸入減少が主因。
【ユーロ買いの主因は内需不振の輸入減少にある。】
○6日の日経平均株価が1万1300円台後半と08年リーマンショック後の最高値(10年4月5日1万1339円)を上回った。1ドル=93円台後半に(6日)。
○株式時価総額が1兆円以上の企業は71社。2ヵ月半前(47社)から1.5倍 (13.2.3)。
○円高修正が自動車や精密業界の収益を下支えし始めた(13.2.26)。半面、電機や機械業界には中国景気の減速の影響が色濃く、全体の押し上げ幅はまだ小さい。
○日経平均、6日の終値 リーマン後最高値(13.2.7)。1万1463円、昨年11月中旬の衆院解散後の上昇率は32%。1ドル=94円台。
①株は「脱リーマン危機モード」鮮明に。年明けまでは投資ファンドなどの短期筋が中心で、6日は米年金など海外の長期投資家の買いがかなり入った。世界株高(MSCI世界株価指数は2月1日に5年ぶりの高値)で出遅れた分、日本株はまだ上昇余地。国内金融機関は11月半ば以降は1兆7900億円の売り越し、同時期に海外投資家は3兆円の買い。背景には金融規制の強化や年金運用独特の硬直性あり。
②日銀総裁辞職表明で円安加速。米景気回復をうけ10年物の利回りが2%超も、日米金利差の広がりは円売り材料に反応しやすい。
③株高でも金利低下。株価上昇と長期金利の低下が同時に進行。一般に株と債券は逆方向に動く。株高なのに債券も買われる ⇒債券投資家は安倍政権の脱デフレを悲観的にみている。物価と長期金利は相関関係があり物価上昇期待が高まれば、長期金利は上昇するのが原則。「CPIが2%なら長期金利は3%で不思議はないが、現状は0.7%台。債券投資家は実現不確かな物価上昇よりも金融緩和の長期化で金利が低下するとみて、債券を買い進んでいる。異例の金融緩和で支えられた同時高は長続きしない、どちらかに調整圧力。
【面白い。債券投資家が賢いのか、自分は債券投資家なのか。同時高は長続きしない、は全く正しい。時間が解決という意見もあるかもしれないが。】
○新発5年債利回りが0.125%、過去最低水準。新発2年債0.030%に低下。10年4ヶ月ぶりの低水準 (13.2.7)。日銀が1~3年債の長期国債を買い入れており、5年以下の国債の品薄感。白川総裁以降の金融緩和も買いを促している。
【日銀の国債買い入れは市場に品薄感を引き起こしているのだ。株価の上昇と長期金利の低下が同時に進行している。債券市場は安倍の脱デフレを信じていない。】
○中国本土系の資産運用会社2社(チャイナ・アセット・マネジメントと中国南方アセット・マネジメントの香港子会社)が月内に東証に中国運用会社として初めて上場投信ETRを上場する(13.2.7)。元建てで本土の株式投資を認めるRQFII人民元適格海外機関投資家制度を利用し、円で取引しやすいように日本預託証券JDRに組み替える。
○13週ぶりに日経平均下落(8日)。
○円安の恩恵 企業に広く(13.2.11)。円安が企業業績を押し上げる経路 ⇒①輸出採算の改善。外貨建て売り上げの円換算が増える、営業利益に反映。
②為替差損益。外貨建て現預金などが生み出す為替差益。会計ルールでは海外子会社などの資産は取得時の為替レートによる価値と決算期末レートによる価値の差を貸借対照表に反映させる。価値の差は「為替換算調整勘定」として自己資本に計上する。
○円が1ドル=94円台に(11日)。米事務省次官ブレイナードが日本の経済成長とデフレ脱却に向けた措置を支持する発言を受けて。
○金、原油から農産物(大豆、トウモロコシ、小豆、粗糖)まで商品先物を取引する「東京商品取引所」が発足した(12日)。東京工業品取引所が東京穀物商品取引所から農産品を引き継いで名称を変更した。
○円安維持に二つの関門 (13.2.16)。日銀総裁人事とG20。「日銀総裁が金融緩和積極者なら円売り、財務省OBなら買い」(外銀)、「通貨戦争の恐怖の中での会議」(英国放送協会)。
【今回のG20は通貨戦争の恐怖の中で会議なのだ。】
○円売り、次の主役は (13.2.18)。G20での日本の円安誘導批判は回避されたが、円売りを仕掛けていた海外投機筋が利益確定に動き出した、円を買い戻していた国内の投資家が海外投資に転じるかどうかが鍵を握る。①1月の財務省の対外証券投資は8600億円の処分超過と国内投資家は円安・外貨高で値上がりした外貨資産を売って利益を確定し、今はまだ円買い方向に傾いている。
②個人投資家は動き出した。1ドル=110~120円台の06年、07年は投信による外債投資も膨らみ年10兆円規模の円売りだった。1月は6600億円が新たに投信に流入。
③個人の売りが呼び水に機関投資家が動き出す可能性。12年9月時点で主要生保9社の外貨建て資産は24兆円、63%に為替ヘッジを10%落とすだけで、2兆円の円売り圧力に。
④海外の投機筋は、円安の利益確定で取引を手仕舞いの動き。投機筋の動向を示すシカゴマーカンタイルCMEの通貨先物取引の非商業部門は12日時点での売り越し額は7663億円、12月11日の6割強に縮小。投機筋は円売りを緩めつつある。
⑤短期的には円売りは勢いが弱まるが、長期的な円売りトレンドができるには国内と海外の金利差拡大が必要。
【円売りは勢いを緩める予測、CMEもその数字。見もの。】
○1~3月期の想定為替レートの平均は1ドル=87円、1ユーロ=115円で、12年上期より8円、15円安い (13.2.21)。
○長期金利が低下傾向にある中、有利な条件で発行できるうちに長期の資金を手当てしょうという企業が多い(13.2.22)。2%の物価上昇が実現すれば先行き長期金利は上昇の見方。

○金融ニッポン 第5部市場再生への道 1。株知らぬ営業マン(13.2.4)。大手証券は高い手数料の投資信託に力、しかし公募投信の残高は過去5年で60兆円前後。

《金利と債券》
○2012年の日本企業の外貨建て債券の発行額、748億ドル。6年ぶりの過去最高(13.2.2)。昨年は日本企業によるM&Aも過去最高。
○生保や銀行が金利上昇に備え始めた(13.2.4)。大手生保4社は会計上の特例措置を使い、債券の価格変動を損益に反映しないですむ「簿価評価」への切り替え(金利が上昇し債券の時下が大幅に下落しても評価損を計上しなくてすむ)を進め、3メガ銀行も保有する国債の平均残存期間を3年以内に縮め、金利反騰の影響を抑えている(金利上昇で含み損が拡大しても満期まで持ち続ければ元本が返ってきて、利息は少なくなるが、損失を長期に抱える必要はない)。
【金融機関は円高⇒債券下落を読み込み、すでに金利高等に備えている!】
○大手生保4社と損保3グループは12年4~12月期に株式を簿価のベースの合計で7500億円圧縮、有価証券評価損は4~9月期の半分に減ったとはいえ4691億円、13年からの3年間で1兆円の株式を売却予定(13.2.15)。規制強化(12年3月からソルベンシーマージンが株式のリスク量が従来の2倍に引き上げ)、保険料の多くは国債の購入へ。長期投資を担う保険会社が成長マネーの出し手になっていない。
【まだ生保が有価証券保有に走っていない。】

《円はデフレを脱せるか》
○ (13.2.4 核心・土谷英夫)。
①「ブレントンウッズ体制」⇒1オンス=35ドルの公定価格で金に裏打ちされたドルに各国通貨がペッグ(釘付け)された、1ドル=360円。1971年8月ニクソンが金ドルの交換停止、71年暮れの「スミソニアン協定」⇒主要10カ国蔵相会議で固定相場を手直し(1ドル=308円)、73年2月ボルガー財務次官が米国の円の10%切り上げと欧州通貨の据え置き案を持って横田基地から来日、その後欧州へ、1973年2月14日に変動相場制への移行。
②73年秋の第一次オイルショックは変動相場制だったから乗り切れた、岩田一政説では円高はユーロが下がるときの調整弁、外貨準備を増やそうと自国通貨を低めに事実上のドルペッグする新興国(ブレントンウッズ2)による。過ぎた円高がデフレ要因。デフレと円高は鶏と卵。岩田説はバブル崩壊後の異例の円高がニワトリで、国際競争力のためのコスト削減、97年からの名目賃金の下落でデフレ。だから大胆な金融緩和のショックが必要。
③「変動制はいったん始まると終わるのは困難(バーンズFRB議長)。
【戦後世界体制・IMF体制の行き詰まりと破綻が現状の基礎にある。変動相場制への移行を、単純に米帝の戦後支配体制の終焉の始まりと考えたのは正しかったのか。変動相場制への移行は、金の代わりに経済力と軍事力、とりわけ軍事力をてこに基軸通貨の位置を米帝が護持した。それは、その後の危機と矛盾の引き延ばしであった。日本のデフレは、バブルの崩壊が引き起こした破綻の表れである。大胆な金融緩和は泥沼への道となる。岩田の意見では賃上げということか。97年から名目賃金が下落し、デフレに入った。】

○外国為替証拠金FX取り引きで一段の円安を見込んだ個人投資家が急増(13.2.5)。東京金融取引所のFX取引「クリック365」は取引終了が前月比倍増。外貨預金も。個人の外為取引の増加は相場の値動きが激しいため。円の対ドル相場の1ヵ月後の予想変動率は12ネン半ばから倍増し11%台。リスクは円はドル下落が早い分、反発すれば上昇ピイ地も早いこと。
【円は1ヵ月後も11%の変動予想率。しかし反発すると早い危険も、といっている。むしろ危険は円高に戻らないことではないのか。】

《日銀》
○日銀総裁白川方明が4月8日の任期満了前の3月19日(副総裁2人音任期が切れる)に辞任を表明。「レジュームチェンジ」(体制の転換)を速やかに実現するため。
○金融政策決定会合で景気判断を引き上げ、追加の金融緩和を見送った(14日)。市場の関心は緩和手法、日銀に預ける準備預金の利息(付利)を0.1%から引き下げることを注視。
○金融政策決定会合で1月の「弱め」とした景気の基調判断を「下げ止まりつつある」に上方修正、追加緩和は見送り(14日)。当面の景気・物価の下ぶれリスクは小さいと判断したため。
○1月21~22日の金融政策決定会合の議事録 (19日)。2%目標は「いきなり」に無理がある、目標達成の不確実性から金融政策の信認を毀損、追加金融緩和として日銀が買う国債を5年物まで拡大、財務省の出席者との間で政府と日銀の責任の所在に認識のズレが出た。
【反対意見は民間出身の佐藤、木内の二人。この程度の議論で終わっていることにビックリかな。】
○麻生、日銀による外債購入は「する気はない」(19日 記者会見)。
【さすがにここまで踏み込めば、許されないということか。】
○日銀総裁候補に黒田東彦アジア開発銀行総裁、副総裁候補に岩田規久男学習院大教授、中曽宏日銀理事。(24日)。
○ (黒田総裁)で円安株高 (25日)。一時1万1600円台。「安倍政権が掲げる成長戦略が具体化する段階」「筋金入りのリフレ派として知られる岩田氏の起用はサプライズ」 。

○日本式、アジアで展開 (13.2.11)。銀行・保険・ノンバンクが日本市場で蓄積したノウハウを使ってアジアで攻勢。無担保融資やコンビニATMや生保の女性英魚職員など。

○金利スワップ決済で取引残高2兆円で世界2位に (13.2.11)。日本証券取引所グループの円ロンドン銀行間取引金利LIBORスワップ取引の決済は取引残高が1月末で105兆円でロンドンクリアリングハウスに次ぐ世界2位に。決済業務は傘下の日本証券クリアリング機構が。2月下旬から東京銀行間取引金利TIBORにも拡大。先進国は証券取引所などの今朝壱岐間の利用を義務付けている。

○手形や売掛債権に代わるペーパーレスの電子債券を取り扱う「でんさいネット」のサービスを開始(18日 全国銀杏協会)。

《ネット銀行》
○7行(住信SBIネット銀、大和ネクスト銀、ジャパネット銀、楽天銀、セブン銀、ソニー銀など)のネット専業銀行の預金残高、12年末で8.5兆円、5年で3倍に(銀行預金は600兆円で5年で10%増)(13.2.25)。相対的に高い金利と機動的な資金移動を武器に株式や外国為替証拠金取引FXなどの資産運用やローンでも存在感。楽天銀行は3月から個人を対象にした海外送金を始める。
【金利が定期預金で10倍の金利、長続きするはずがない。】

《税・財政》
○「迫真 1億人の相続 1」。あなたも家を売る日 (13.2.4)。小規模住宅の特例→親が住んでいた宅地の評価額を相続時に最大8割減らせる特例。相続税の課税が全国平均で4%強、バブル崩壊直後は7%弱が今回の増税の根拠。基礎控除が縮小。

○1月末の外貨準備高、前月比8.3億円減少の1兆2672億ドル(7日 財務省)。利息収入は増えたが米国債券の時価評価額が減少した。

《国際収支》
○2012年の国際収支統計 (8日 財務省)。
1.経常収支 前年比50.8%減少、4兆7036億円。過去最低・07年の5分の1。貿易収支が過去最大の赤字になったことが影響。①輸出、前年比2.1%減の61兆4268億円。輸入、4.5%増で67兆2320億円。貿易赤字は11年から1.6兆円増の5.7兆円。②サービス収支、2兆6087億円の赤字。旅行収支の赤字幅は縮小したが海外輸送会社への手数料が増加。③所得収支、経常収支を構成する4つの収支は貿易、サービス、所得、経常(移転)のうち唯一の黒字。1.6%増の14兆2613億円の黒字。
2.経常黒字の減少は一時的との見方もあるが、中長期的には経常赤字に転落の可能性、日本の産業構造が「メイド・イン・ジャパン」から「メイド・バイ・ジャパン」への転換がある。12年12月の経常収支は2641億円の赤字、初の2ヶ月連続の赤字。日本の長期金利が南欧のように急上昇しないのは、企業や家計の貯蓄が金融機関を通じて国債に向かっているためだが、経常赤字はこの貯蓄が減少することを意味する。
【経常収支が赤字に転落するのは、日本にとって生命線にかかわる問題である。国債の投売りは日本破綻・崩壊の姿である。】
○縮む黒字、円安後押し(23.2.9)。日本が稼ぐ黒字の縮小が円安を後押ししている。日本の燃料輸入で貿易赤字と欧米では収支が改善(米国では12年の貿易赤字が3.5%減の5403億6200万ドル、貿易赤字の6割を占めたエネルギー収支が改善。ユーロ圏では内需の不振で経常黒字が拡大、ドル換算の四半期ベースでは日本を上回り、円売り・ユーロ買いの圧力に)。円を売って外貨を買う取引が相対的に外為市場で優勢になっているため。みずほの試算では円相場に影響を与える資金収支の基礎的な需給を試算すると12年の需給は3.2兆円の円売り、5年前の30兆円の円買いから大きく反転している。
○「特許収支」の黒字額は12年に9528億円。過去最高、大半は日本企業が海外子会社(アジア地域)から受け取る特許料(71.6%)などの社内取引が占めている(13.2.20)。特許収支は03年に黒字に転換、米国に次ぎ2位だが米国の1割強でしかない。日本は工業権・鉱業権使用料の収支は1.5兆円の黒字だが、著作権の収支は5800億円の赤字。中国の特許戦略が活発⇒11年の国際特許出願件数は中国のZTE(中興通訊)が前年トップのパナソニックを抜き首位に、3位は華為技術。
○1月の貿易統計速報(20日 財務省)。貿易収支の赤字は1兆6294億円。赤字は7ヶ月連続で単月で過去最高。円高修正と燃料などの輸入増。一方では輸出が8ヶ月ぶりに増加へ。①輸入は7.3%減。6兆4286億円、数量は1.0%減 公示レートの平均は1ドル=86.93円、輸入は外貨建てが8割、輸出は6割、円安は短期的には貿易収支の悪化に。②輸出、6.4%増、4兆7991億円。8ヶ月ぶりに前年同月を上回った。数量は6.0%減少。円高効果が大きい。
【円安は短期的には貿易収支の悪化に、というが、円安で貿易収支が黒字化するのか。】
○貿易収支は当面の間、円安が要因で赤字が拡大する展開に(同上)。輸出増という「円安メリット」が国内生産を刺激する好循環に繋がるには、なお時間がかかる。①OECD経済協力開発機構の景気先行指数は12月まで3ヶ月連続上昇、オランダの経済政策分析局の世界貿易量指数は11月まで3ヶ月連続プラス、輸出増加の環境が整ったかに見えるが、1月貿易収支は赤字、なぜか。円安が輸出量の増加に繋がるのは1年後(Jカーブ効果)。②12月に海外に流出した所得(交易損失)は18.9兆円・過去最大を更新、所得収支を上回り、国民所得は目減りしている。過渡期はデメリットが先行。
【円安が輸出増加に繋がるのは1年後だそうな。】
○日本の海外直接投資が復調 (13.2.23)。12年の直接投資は9兆6000億円(米国向けが3分の1)。収益は4兆2000億円の過去最高。所得収支の黒字拡大を担っているのは海外直接投資収益で、日本は貿易立国から投資立国への転換を迎えている。当市収益率は5%で欧米より低い。日本企業は海外で稼いだ儲けを国内に戻すより現地や他国に振り向け再投資する方向に傾いている。海外での内部留保は2兆円で過去最高。円安の影響は今から。

《国の借金》
○国の借金は12年末で997兆2181億円。今年3月末には1000兆円の大台に(8日 財務省)。一人当たり782万円、国債812兆1519億円、政府短期証券131兆3668億円。

○資本金1億円以上の大企業の交際費に法人税がかからない損金扱いに(18日 麻生財務相)。中小企業は年800万円を上限に全て損金扱いに。内部留保金を外に出されるためと説明。
【これは争点になる。】

○公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人GPIFは13年度中に運用資産の割合を見直す(13.2.21)。債券(67%)の割合を下げ国内株式(11%)などの割合を増やす。運用資産は12年9月末で107兆7231億円、世界最大規模。国内債券は金利上昇懸念、過度な依存を改める。リーマンショックでも見直しておらず、会計検査院が機動的な見直しが必要を指摘。
【国内債券下落・金利上昇になればどうするのか。株はリスクが大きいのに。】

《雇用促進税制》
○雇用促進税制(1人雇用を増やすと法人税を20万円差し引ける、来年度から40万円に引き上げ)での創出効果。目標の6割どまり(13.2.21)。目標は年間17万人の雇用創出だが、12年度は10万人どまり。増えない理由は厳しい利用制限(解雇者が1人もいないこと、雇用者を10%増やすこと)。利用要件は変えてないので効果は未知数。そもそも日本の企業は7割が赤字で法人税を支払っていない。
【雇用増加も企業に有利にしようと便宜を図っても、法人税を支払っていない企業が7割! 今期まであのトヨタも。】

《13年度税制改正関連法案》
○自民・公明・民主の税調会長会談で寄付金税制の拡充などの民主党の要求を付則に反映した13年度税制改正関連法案の修正案に合意した(22日)。年度内成立の公算。
○2012年度補正予算が参院で可決され成立した(26日)。

《消費増税》
○中小企業が増税分を商品やサービスに確実に上乗せできるようにする「転嫁対策」をまとめた(13.2.23)。大企業による取引先いじめを禁じる法整備と政府による監視の体制の強化。
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