《試練》――現在史研究のために

日本の新左翼運動をどう総括するのか、今後の方向をどう定めるのか

2013年2月 アジアの政治経済―世界の動きⅤ

2013-04-11 00:01:45 | アジアの政治経済―世界の動きⅤ
2013年2月 アジアの政治経済―世界の動きⅤ

《東南アジア 外資への課税強化》
○「移転価格税制」を使いグループ企業間の取引を通じた利益の流れを抑える (13.2.23)。フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナムなど。税優遇で工場誘致を進めてきたが、急速な経済成長を背景に外資との関係を見直す。

《韓国》
○定例の米韓合同軍事演習を3月1日から2ヶ月間、韓国周辺で実施(21日 韓国国防省)。韓国軍20万人、米軍1万人。朝鮮半島有事に備えて指揮命令系統などを確認。
○朴槿恵第18代大統領に就任(25日)。就任演説の要点、①経済「経済復興を成し遂げるため創造経済と経済民主化(大企業に偏重した経済構造の是正)を推進」「新しい市場、雇用、科学技術を世界的水準に」「中小企業育成策」「第2の漢江(ハンガン)の奇跡」、②福祉・教育「国民幸福時代」、③外交・安全保障「確実な抑止力を土台に南北間の信頼」「互いに対話し、約束を守ることで信頼」。
○高成長政策、具体策見えず(同上)。「質の高い経済成長」を実現し雇用を創出し格差是正につなげるシナリオだが具体策は見えない。「国民幸福時代」は高いハードル。輸出主導モデルは儲かっているのは大企業だけと格差の拡大に対して「創造経済」、具体的には、①中小企業やベンチャー企業の育成、②科学技術を活用した新産業の創造。だが歴代政権が掲げ実現できず。
○韓国の600万人の自営業者が加盟する「路地裏商圏生存消費者連盟」は3月1日から日本製品の不買運動へ(25日)。これほど加盟者が多い団体が日本製品不買運動を呼びかけるのは異例。
【この日本製品不買運動は注目しておく。】

《メコン3カ国》
○メコン流域で国境を越える物流が大幅に自由化。ベトナム、ラオス、カンボジアがトラックやバスの通行手続きを簡素化する協定を結んだ(13.2.1)。部品メーカーが進出するベトナムと製造業が集積するタイ、海外からの投資が加速するミャンマーを結ぶモノの流れを促進し、人件費の安いラオスなどとの国際分業が容易に。

《フィリピン》
○2012年のGDP、実質で前年比6.6%増。10年(7.6%)以来の高成長(31日 政府)。内需が好調。
○フィリピン、1月のCPI、前年同月比3%上昇。今年から酒・タバコ増税の実施、前月比0.1ポイント上昇(5日 フィリピン国家統計局)。

《インドネシア》
○1月のCPI、前年同月比4.57%上昇。上昇幅は前月(4.3%)より拡大。悪天候と最低賃金・電気料金の値上げ(1日 インドネシア中央統計局)。
○インドネシア、2012年のGDP、前年比6.2%の増加。資源輸出の減少が響き前年の6.5%から減少。堅調な内需と投資をてこに3年連続6%台の安定成長 (5日 インドネシア中央統計局)。
【フィリピンとインドネシアの6%成長は重要な動き。】

《台湾》
○2012年のGDP、実質で1.25%増。11年(4.07%)に比べると落ち込みは鮮明 (31日 台湾行政院)。IT関連製品の輸出が低迷。
○台湾、対中重視に誤算 (13.2.19)。12年のGDP(上記)の落ち込み。最大の要因は対中輸出の鈍化。輸出額の3割を占める12年対中輸出額は前年比3.%マイナスの807億ドル、主力のIT関連製品、化学品の落ち込みで3年ぶりのマイナス。馬英九政権の中国重視の経済政策に誤算。12年の公共投資7.5%減、民間投資1.4%減、失業率4.24%と改善ペースが遅い。馬政権に「満足」は14%。外需依存の経済成長に修正の動き⇒域内への投資の回帰や賃上げで内需をてこ入れ。
【外需から内需への転換は共通の課題となっている。】

《インド》
○インド南部ハイデラバードの繁華街2箇所で同時爆弾爆発(21日)。01年の国会襲撃事件に関与したとしてイスラム過激派「ジェイシモハメド」のモハメド・アウザル死刑囚の死刑を2月9日に執行。報復か。
○12年12月の鉱工業生産指数、前年同期比0.6%下落(12日)。前年割れは2ヶ月連続、自動車を含む耐久消費財は8%の下落。
【インド経済の低迷が鮮明に。鉱工業生産指数が2ヶ月連続のマイナス。】

《パキスタン》
○パキスタン北部のペシャワルの中心部で4人組が刑務所を襲撃、警備民兵を殺害し複数が脱走(18日)。犯行声明は出ていないが同国北西部では「パキスタンのタリバン運動(TTP)」などのイスラム武装勢力が政府施設に対する爆弾テロや襲撃を繰り返している。
【刑務所が襲撃されるのはほとんど統治能力がなくなっていることだが、刑務所の警備員が民兵だとは、有力部族の刑務所なのか?】

《タイ》
○2012年の実質GDP、前年比6.4%増 (18日 タイ国家経済社会開発委員会)。GDPの7割を占める輸出は3.2%増にとどまったが、自動車購入向け減税などで個人消費が6.6%増加。洪水復興で公共事業が13.2%増など。
【タイも6%成長。個人消費の増加でGDPが引き上げられるという内需拡大効果の見本か。】

《マレーシア》
○12年のGDP、実質で5.6%成長。個人消費を中心に内需が好調で、輸出の不振を補った(20日 政府統計局)。 
○マレーシアで一党支配に逆風 (13.2.25)。マレーシア⇒1957年の独立以来現BN国民戦線と与党連合が政権維持。12年は5%台成長、強みは公共投資など政官一体の機動的な経済運営だが汚職の蔓延、「経済民主化」、アジアの主要株式市場で年初来株価を下げているのはマレーシアだけ。
【マレーシアも好調。しかし体制の脆弱性がある。経済民主化はここでも問題に】 

《シンガポール》
○ (同上)1965年の独立以来、人民行動党PAPが政権維持。12年の1人当たりのGDPは5万ドル(日本は4.7万ドル)、アジア1位の豊かさ、東京23区ほどの面積に530万人、うち100万人が出稼ぎの外国人労働者、ビジネス優先路線が国民感情と遊離。

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