NIPPONIA HOTEL 大洲城下町(愛媛県)で過ごす故郷最後の夜
先日、故郷の最終的な片付けのために帰省してきました。
実家はすでに手放していたため、今回はその最後の思い出として「NIPPONIA HOTEL 大洲城下町」に宿泊することにしました。
NIPPONIA HOTELは、古民家や蔵を改装し、町全体を一つのホテルのように体験できるユニークな宿泊施設です。現在、全国におよそ30か所に展開されているようです。
大洲城下町で最も格式高い宿泊プランには、「大洲城キャッスルステイプラン(現在約130万円)」がありますが、私たちはより手頃で魅力的な「文化財貸切 1日1組限定プラン」を選びました。
宿泊先は、私の実家のすぐ近くにあるお殿様の末裔が住んでいたお屋敷。子どもの頃は立ち入ることもできなかった場所ですが、今では国の登録有形文化財として一般公開されており、そこに一棟貸しで泊まれるのです。
夕食は、お屋敷の庭に建つ重要文化財の櫓の中で、プライベートディナーが用意されていました。まず驚いたのは、地元産のキャビアがたっぷりと使われた前菜。その贅沢な量と美味しさに感動しました。
続いて、八幡浜で水揚げされた魚、愛媛あかね和牛、そしてフランス料理の技法を取り入れた鯛めしなど、地元の素材を活かしたコース料理を堪能。これまでに味わったことのない、洗練された愛媛の食文化に触れることができました。
夕食後は、大洲城を間近に望む湯殿で貸切風呂を楽しむ予定でしたが、お城のライトアップが22時で終了してしまい、少し慌ただしくなってしまったのが唯一の心残りでした。
翌朝はホテルの車で迎えに来てもらい、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で一つ星を獲得している名所「臥龍山荘」へ。開園前の時間に、プライベートツアーでゆっくりと見学することができました。
臥龍山荘は、明治時代の貿易商が建てた別荘で、茅葺屋根の茶室や能舞台などを備えた風雅な空間。築130年を超えてなお、しっかりとした構造を保ち、丁寧に管理されている様子に深い感銘を受けました。
見学後はレストラン棟で朝食をいただきました。鯛の塩焼き、郷土料理の芋炊き、麦味噌のお味噌汁、小鉢が並ぶ懐かしい献立に心が和みます。食後はラウンジで香り高いコーヒーを楽しみながら、ゆったりとした朝のひとときを過ごしました。
本来であれば、川沿いをのんびり散歩しながら部屋へ戻りたかったのですが、あいにくの雨模様。ホテルの車で送迎していただき、そのままチェックアウトとなりました。
まさに「殿様気分」を味わえるような、贅沢で特別な時間でした。
NIPPONIA HOTELは全国各地に展開が進んでいるようです。ご興味のある方は、ぜひ一度調べてみてはいかがでしょうか。
そしてその後、無事に故郷の片付けも終わり、何も無くなってしまいました。
すべてが片付き、ようやく肩の荷が下りた気分で川越へ戻りましたが、ふと心に浮かんだのはこの一節でした。
ふるさとは遠きにありて思ふもの —— 室生犀星
今、その言葉の意味を、しみじみと実感しています
薬局MM