志村建設専務の日々坦々

つれづれなるままに…

京都にて その18 桂離宮 松琴亭6

2011-10-22 09:32:28 | 桂離宮

松琴亭のデザインを見て、

日本人は古家としか思わないかもしれません。

ところが、20世紀の現代建築の先駆としての

アイディアが随所にあります。

「松琴亭5」の写真を見てください。

1、モジュール(基準寸法)に基づいて計画されている。

 この概念はコルビジェが提唱したということになってますが、

 日本には尺(フィートとほぼ同じ)の基準があって、

 畳は3尺×6尺、建具も基本同じ、廊下幅や仕上げまで

 尺、寸、分で割り切れます。

 これがあると、材料の生産、加工、現場組み立てまで

 合理的に無駄なくすすめることが出来ます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB

 もちろん、尺は人間のサイズ、行動を基にした寸法

 ですから、床の間、ふすまの石畳模様も

 違和感なく受け入れられるのです。

2、スライディングウォールの利用

 なんのことはない、襖のことです。

 現代のホテルのホールは、宴会の規模に応じて自由に間仕切ることができます。

 ところが、日本では何百年も前から実用化されていたのです。

 よく、時代劇で襖をあけると、次の間にまた襖があって、さらに次の間には・・・

 という場面がありますが、人数に合わせて空間を調整できる仕掛けです。

 障子は光を透過するスライディングウォール、バリエーションも豊富です。

Main3 スライディングウォール

3、多目的空間である。

 和室は、寝室にも食堂にも、応接室にもなります。

 ポイントは なにもない空間なのに、布団やお膳・座布団などの道具が出てくると

 その目的の使用が出来るということです。

 壁みたいな襖をあけると押入れで、様々な道具が入っている。

 外人は、忍者屋敷と思ってびっくりするそうです。

 

日本人建築家が、現代建築の旗手として世界で活躍できるのは、

先人たちの工夫と、努力の積み重ねの素地があったのですね。


京都にて その17 桂離宮 松琴亭5

2011-10-17 17:38:53 | 桂離宮

続いて、2の間の内部です。奥に茶室が見えます。

Dscn2214

そして 一の間床の間の 石畳模様が印象的です。

市松模様として庶民にしたしまれるのは18世紀半ばからです。

この建物は、その百年前ですので当時は 大胆な意匠だったのでしょう。

Dscn2219

加賀奉書の白紙と藍染紙を 交互に貼り違えています。


京都にて その16 桂離宮 松琴亭4

2011-10-17 16:31:36 | 桂離宮

茶室といっても、若い方は興味がないかもしれませんが、

昨日も、現在改修j中のお宅に、お茶の為の

炉を切る打ち合わせをしてきました。

そのとき、台目畳の話が出たのですが、

松琴亭の茶室は、3畳台目の席です。

Dscn2213

これは にじり口から 内部を撮った写真

壁の色が 1メートル50センチ余りのところで変化しています。

これは桂川の氾濫したときの跡だそうです。


京都にて その15 桂離宮 松琴亭3

2011-10-16 17:54:05 | 桂離宮

松琴邸に至る本来の方法は 船に乗って西の船着場に着く

第二の方法は 今はない朱塗高欄の大橋を渡り北側から入る道

そして、順路の白川石の橋を渡る東側からの道が、第三の方法です。

004 松琴亭平面図

ここは、工務店らしく平面図を広げてみよう。

学研「日本美術全集」より

Imagesca41n2ck

順路は 茶室の前に出て、右に 2の間 1の間にまわり込みます。


京都にて その14 桂離宮 松琴亭2

2011-10-15 18:25:20 | 桂離宮

松琴亭へゆくには 大きな切石の橋を渡ります。

長さ 6メートル 幅65センチ 厚さ35センチあるそうです。

渡りきると もう松琴亭です。

Cimg348411

橋の上から 歩いてきた径を振り返ります。

Cimg348611

写真は

http://atchimokotchimo.web.fc2.com/kyoto2009/kyoto008.htmlから

引用させていただきました。


京都にて その13 桂離宮 松琴亭

2011-10-11 19:08:07 | 桂離宮

苑路を進むと、突然視界が開け、

水辺に下りて行きます。

黒く扁平な石を敷いて、岬のように見せた州浜。

先端に灯籠を据え、灯台に見立てて海の景色を思わせます。

そして、その先に松琴亭が建っています。

200912111632114aa1

しかし、順路は入り江を迂回し

山峡を想わせる景色の中を進みます。

Dscn2212

上段の写真はhttp://hohaka.blog73.fc2.com/blog-entry-192.htmlから引用

私が桂離宮を訪れたのは5月19日です。

写真を比較すると、青紅葉という表現がぴったりですね。


京都にて その11 桂離宮

2011-10-07 13:53:07 | 桂離宮

この御腰掛、いまにも崩れそうな華奢な構造。

柱にもたれると、倒れ

梁にぶら下がると折れてしまいそう。

どうやって建っているのでしょう。

地震や、台風でも大丈夫なのでしょうか。

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櫟(くぬぎ)や雑木の、丸太同士の組み合わせ

建築関係者は、唸ってしまう建物です。

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傍にある、蹲(つくばい)と灯籠


京都にて その10 桂離宮

2011-10-06 18:10:17 | 桂離宮

松琴亭に真っ直ぐにむかう紅葉の馬場を、左の小径に入ります。

そこには蘇鉄山が、全体の調和を保ちながら、南国情緒を漂わせています。

これが、グロピウスの言う、新たな発見や驚きの準備。

桂離宮には、お客を楽しませる工夫が随所にあります。

Dscn2201

御腰掛から、蘇鉄山を眺める参観者

Dscn2202

でも、その腰掛にも 繊細な技術が…

桂離宮に興味がわいた人は、ウキペディアで勉強

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%82%E9%9B%A2%E5%AE%AE


京都にて その8 桂離宮 順路

2011-09-29 08:42:49 | 桂離宮

さてこれから園内に入りますが、

桂離宮略図と参観順路を見てみましょう。

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離宮は宮家の別荘として建てられたので、

憩いの空間、施設です。

大きな池の周りに、御殿や書院、茶室が建てられています。

池には船を浮かべ、山には東屋を建て苑路を巡らせています。

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御幸門から入った御幸道

手前の水路に架かる太鼓橋も自然ですね。

日本建築には、正面にどど~んと建てるのではなく

「チョッとだけよ(^_-) 」の見せ方もあります。

松琴亭に向う苑路

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建物が風景に溶け込んでいます。

略図はパンフレットより、クリックすると拡大出来ます。