志村建設専務の日々坦々

つれづれなるままに…

自然派ゼロエネルギーハウス

2018-01-07 16:51:11 | 住宅の断熱の話

最近の作品を紹介しますね。

秋田県の沿岸南部子吉川北岸の丘に建つ、三世代同居家族の住まいです。

鳥海山が真正面に見える家が、施主の希望でした。大きな特徴が3つあります。

ひとつは7KWHの太陽光発電を屋根に設置した、ゼロエネルギー住宅です。

その基本は外皮性能を向上させること。窓は高断熱仕様の樹脂サッシュ、

断熱材は 屋根にHG16K 355ミリ、壁にHG16K 240ミリの高性能グラスウール。

基礎の断熱材は外側 防蟻100ミリ、内側・土間下50ミリのポリスチレンフォーム(EPS)

特号です。この建物の外皮性能UA値は0.27、建設地の地域区分は4ですので基準値は

0.75です。1/3に近い値まで削減してあり、どれだけ外皮性能が高いかわかります。

高断熱住宅は床・壁・天井の表面温度が、室温と同じとなり冷えびえとした感じがなく、

室温20度でも快適に暮らすことが出来ます。

使用暖房は、HP(ヒートポンプ)温水床下暖房。夜間は直接床を暖めずに床下の土間に蓄熱、

日中は暖房エアコンとして利用できます。割安の電力を利用して、柔らかな全館暖房としています。

もちろん夏は冷房エアコンとして利用します。

給湯は省エネのエコキュートです。さらに太陽熱温水器を設置。電気の使用を抑えます。

太陽光発電の効率を良くする為、建物の配置は南向き。無駄のない採光としました。

次の特徴は、秋田の地場材をフル活用したサスティナブル(自然循環型)住宅であること。

外観から、周囲の新しい家とは違います。

秋田杉の杉板張りと一部ガルバリウム鋼板、耐久性のある素材です。

柱や梁の構造材も秋田杉。さらに内装も壁に杉板、床に県産フローリング材を使用。

地元を愛する施主の想いが伝わります。もちろん、建築は社員大工と協力職人との

コラボレーション。こだわりの手造りデザインが随所に光ります。

秋田には自然素材や、優秀な職人・技術者に恵まれています。

これら身近な資源を活用することにより、新築時だけでなく継続的なメンテナンスや、容易なリフォームが保証されます。また、秋田杉を使うことにより、山や水や里の集落が生き、

産業が活性化します。緑は自然のソーラーシステムです。

 一番大事な特徴は、長期優良住宅であるということ。

耐震等級3をはじめとした長寿命住宅の仕様としています。

建築には国の補助金だけでなく、減税などの優遇制度も利用しています。

また省令準耐火構造であるということ。火災保険が普通の木造住宅の半分程で済みます。

これやの制度を利用すると、建設時の費用を軽減できるとともに、建築後の安全・安心の生活だけでなく、ランニングコストも軽減できます。

この建物は注文住宅です。長い時間をかけて居間の吹き抜け・屋根裏収納・ロフトを計画し

鳥海山が真正面に見えるオリジナルの家となりました。秋田は自然が豊かです。

都会では得ることが出来ない生活。このロケーションに今できる最高の家が完成しました。


あきた省エネ住宅フェスティバル

2014-12-04 05:31:28 | 住宅の断熱の話

11月15~16日 秋田県主催で御所野イオンモールセンターコートにて

あきた住宅フェスティバルが開かれました。

行政主催の温暖化防止、エネルギー削減を目的とした

一般県民対象のイベントで主催者発表で、2日合わせて9千人の来場者があったそうです。

 新住協理事の講演

ご当地ヒーローのネイガーショーやゆるきゃら「すぎっち」の登場、

省エネクイズラリーで景品をたくさん出したことなどで参加者が多かったのでしょう。

反面、突っ込んだ内容の講演や各ブースへの来場者が少なかったのは、

CO2削減や住宅においてエネルギー削減を考える人が

この秋田では依然少ないという現実の反映なのでしょうか。

   

当社は秋田県の要請に応えブース展示しました。

内容は地場の秋田杉を使ったCO2削減、高断熱化の「直球勝負」です。


住宅の断熱について その6 Tホーム

2012-02-11 16:26:47 | 住宅の断熱の話

西方里美氏によると 外断熱の問題点は次のとおりです。

・外断熱の気密テープに頼りきった工法は危険
・断熱材の安全性をどう評価するか
・外断熱の防蟻・防腐材の危険性
・外断熱の断熱厚が厚いと外壁が垂れ下がる危険性

詳しくは本を読んでもらえばわかるのですが、

ここでは火災時の有毒ガス発生に注目してみたいと思います。

コンロに断熱材を載せて、燃やそうという実験です。

33b1   33c1_2  33d1
グラスウール             押出法ポリスチレン         硬質ウレタン

グラスウールは柱の間や、付加断熱に私達が使っているものです。

原材料は、ガラスですので燃えませんし、ガスも発生しません。

しかし、外断熱に使われる発泡プラスチック系断熱材は、シアンガスのような

有毒ガスを発生したり、炎をあげて燃えたりするものもあります。

実際、住宅の火災で爆発的な燃え方をしたり、有毒ガスの吸引で

避難できなくなったりという事例は数多く発生しています。

この一点だけをとってみても、「外断熱は危ない」という意見をないがしろにできません。

Tホームでは、押出法ポリスチレンフォームを使っています。

難燃化剤を添加していますので、微少火源では着火しにくいですが、火災などで燃えたときは、

ポリスチレン樹脂の不完全燃焼によって、木材、紙、ワラより多い「すす」と刺激臭を発生します。


住宅の断熱について その5 なぜこだわるのか

2011-12-09 09:29:55 | 住宅の断熱の話

地球の化石エネルギーの枯渇を見据えて、循環型社会構築の為です。

福島の原発事故原子炉メルトダウンで、社会のあり方が見直されてきました。

原子力発電は低コストという話はなくなり、コストだけでなくリスクの高い

エネルギー源だということが一般にも知られてきました。

そこで反原発とかガスタービン発電など 様々なことが模索されていますが、

先ず私達がやらなければならないことは、

いずれはなくなる石油や石炭などの化石燃料を、出来るだけ使わないことです。

原子力燃料のウランの埋蔵量も、今のペースだと50年でなくなるそうです。

Images5 次世代に引き継ぐ地球環境

自動車では、ハイブリッドシステムなどの技術が開発されました。

10年前に比べると ガソリン半分で同じ距離を走ることができます。

では住宅建築で出来ることはなんでしょうか?

少ないエネルギーで、快適な生活を過ごせる家づくり。

これが、今一番必要とされる技術です。

そして、今一番効果的に結果を出せる技術が、住宅の高断熱化なのです。


住宅の断熱について その4 Tホーム

2011-11-18 19:02:57 | 住宅の断熱の話

断熱の話をすると止まらなくなるのが、新住協会員の おかしな?習性です。

さて今日のエントリーは、北海道から秋田に進出してきたTホーム。

寒冷地住宅の草分けハウスメーカーで、断熱性能も期待できます。

Img041地域によって必要な断熱の基準が設定

メーカーのホームページからの引用ですが、秋田地域はⅢ地域なので、この表に拠ると、TホームのQ値は1.3~1.7で計画されているようです。Sハウスのハイグレードより高性能。

その性能を出す工夫として、厚い化学系断熱材の外断熱工法を採用しているそうです。

Img071 外断熱と充填断熱の違い

確かに柱などの木部は断熱性能は、断熱材より低いですので弱点になります。けれども、構造体と外装の間に 厚く柔らかい断熱材を用いる外断熱工法には大きな問題があります。

Books11_2 西方里見氏のベストセラー「外断熱」が危ない!

話が長くなるので 次回も続けてTホームを取り上げます。


住宅の断熱について その3 Dハウス

2011-11-15 20:42:17 | 住宅の断熱の話

Dハウスは鉄骨系プレハブメーカーです。

Index_box1_021_2 パンフレットより

Sハウスでも書いたように、鉄骨は寒冷地の住宅にむいていません。

結露防止や、熱橋(熱が逃げる道)を防ぐ為、涙ぐましい努力をしています。

しかし、その結果は・・・Q値比較のおもしろいサイトを見つけたのでURLを載せます。

http://www.towntv.co.jp/2009/11/cq.php

これによると DハウスのQ値はⅢ地域で2.11(数値が小さい方が高性能) 

ちなみにSハウス○○○ウッドのハイグレード仕様は1.9と書いてあります。

Q1住宅の志村建設のQ値はⅢ地域で1.2前後 スウェーデンハウスレベルです。


住宅の断熱について その2 Sハウス

2011-11-14 20:13:29 | 住宅の断熱の話

具体的に ハウスメーカーの断熱仕様をみてみましょう。

Sハウスはもともと鉄骨系のハウスメーカーです。

鉄は熱伝導率が高く、冬の外気の冷たさを内部まで伝えてしまい結露の原因になります。

寒冷地住宅にはむきません。

ここでは、Sハウスの木造住宅の○○○ウッドを見てみましょう。

標準仕様は、次世代省エネ基準だそうですが、

予算の応じて、アップグレード仕様、ハイグレード仕様とあるそうです。

ここでは、最高級のハイグレード仕様をみてみましょう。

037_2 Sハウスホームページより

天井断熱    繊維系断熱材200ミリ (志村建設 屋根335ミリ)

外壁充填断熱 繊維系断熱材100ミリ (志村建設 壁220ミリ)

床暖熱     ポリスチレンフォーム137ミリ (志村建設 基礎100+50ミリ、土間50ミリ)

かっこ内は志村建設のQ1住宅の仕様ですが、

ハウスメーカーの断熱に対する考え方が遅れているかわかります。

イメージ優先の広告であっても、具体的な断熱性能のめやすQ値ぐらいは表示するべきです。


住宅の断熱について その1

2011-11-13 11:20:02 | 住宅の断熱の話

11月11日の秋田さきがけ新聞の全面広告で 

積水ハウス・ダイワハウス・土屋ホーム・東北ミサワホームの四社の

断熱仕様についての 解説が載っていました。

概ね、次世代省エネ基準達成 住宅性能表示の温熱環境「4」達成をうたってますが、

志村建設のQ1住宅の断熱仕様は、Q値であればハウスメーカーの1/2程度になります。もちろん少ないほうが、高性能です。

冬の暖房費(車での燃費)であれば1/3~1/4になり、経費がかかりません。

京都議定書以降 世界レベルで 省エネ・CO2削減が目標となっていますが、

日本の住宅に関しては、ハウスメーカーに対する配慮の為か、基準がとても甘いのです。

Zu11 断熱材による省エネは永久的です

今回の広告の「次世代省エネ基準」について ウィキペディアでの解説は

「住宅の省エネルギー基準(じゅうたくのしょうエネルギーきじゅん)とは、1999年3月に、建設省により改正された日本の断熱化基準の通称である。

この基準により、先進国の中では最低だった日本の住宅の断熱基準が、やっと欧米基準の最低レベルに達するようになった。

ただし、次世代省エネルギー基準も、多くの先進国の断熱基準よりゆるく設定されている上、法的拘束力が無いため、日本の住宅の断熱化率は先進国の中でも最低である。

2010年にドイツで行われたパッシブハウスカンファレンスにて日本の次世代省エネルギー基準の値を発表したら会場から笑いが起こった。

さらに、この基準が義務ではなく努力目標であり、住宅の30%以下しか達成出来ていない事を発言したら会場から失笑を買った。」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A1%E4%B8%96%E4%BB%A3%E7%9C%81%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%9F%BA%E6%BA%96

これが、ハウスメーカーの努力目標、しかも10年以上前の「次世代?」基準の実態です。

これから、「住宅の断熱」に関して私の考え、志村建設が目指す高断熱住宅について書いてゆきますね。


韓国の工場火災について

2008-01-08 16:46:18 | 住宅の断熱の話

一見私たちの生活とは関係のない事故のようですが、今回の冷凍倉庫に使われている断熱材(火災の主因となった)は 住宅建築には多く使われています。発泡ウレタン吹き付けといって、簡単に断熱気密工事ができるため流行りました。しかし、爆燃性と火災時の有毒ガス発生の為、志村建設では住宅建築では使用していません。住宅火事で、外壁だけ残って中が完全燃焼してる例がありますが、断熱にウレタンを使用してるのではと思ってしまいます。また、火災初期で有毒ガスが発生する為、死亡に至ると言う話も 今回の韓国の犠牲者の人数の多さでわかります。できるだけ、石油を原料とした断熱材は使わない方がよいです。志村建設の現在の仕様は 不燃材のハイグレードのグラスウールを 屋根235ミリ壁120ミリ使用しています。