志村建設専務の日々坦々

つれづれなるままに…

浴室に窓は必要か その4

2023-10-14 07:38:23 | 住宅建築

私は志村建設の棟梁とむつコースに参加しました。

私の施工現場に見学に来たこともある菊池組の施工住宅を見学するためです。

https://www.kikuchi-gumi.com/index.html ←菊池組のホームページ

むつ市は下北半島の「まさかりの刃と柄」の付け根下部、大湊を中心とした街です。

ちょっと行くと恐山ですが、観光は無し。浅虫温泉からはバスで2時間弱の距離。

先ず菊池組常務の自邸

パッシブハウス認定を受けた住宅、Q1住宅の最高レベル4です。

新住協は快適な温熱環境の勉強会ですが、良好な居住環境が大前提となっています。

過度な性能追及はなしで、コスト・採光・通風・冷暖房も研究対象です。

さてこの住宅、浴室には窓があります。

 

シンプルな設計ですが、ハーフユニットを用いて壁・天井は板張りです。

窓は中庭に面している南面についているのでトリプルガラス木製のドレーキップでしょうか。

寒冷地ではローコストの窓だと結露による汚れやカビなどで手入れが大変ですが、

高性能な窓だとその心配がありません。

また日射が直接浴槽や床に届きますので衛生的です。

網戸が外側に付きます。北欧のサウナ部屋みたいなイメージですね。

ロケーションが良い立地の住宅の場合、窓を開けての入浴というのもあり、

家族との同時入浴や、長時間入浴にも対応できるデザインです。

出入口のドアは透明。浴室の圧迫感を軽減するための工夫でしょう。

最近のユニットバスは、脱衣室側の壁や出入口が透明パネル仕様にできます。

ちょっと高級なホテルには採用されてますが、

もとより欧州や北米の住宅の浴室は洗面・トイレなどの水廻りと一緒になっているようです。

窓が浴室空間を豊かに出来る好例でしょう。

そのような例は、志村建設にもあります。次回はそれを紹介しましょう。…つづく


浴室に窓は必要か その3

2023-10-13 16:02:54 | 住宅建築

朝風呂での浴室談義は続きます。

最近の若い人の浴室に対する要望も変化しているそうです。

窓だけでなく棚などもいらない、というシンプルな構成もあるとの事。

確かにマグネットで取り付けられる鏡や棚なども市販されています。

また夏は浴槽は使わないという人は私の近くにも少なからずいます。

大きなシャワールームみたいなイメージでしょうか。

教えてくれたJ-ホームの人はサーフィンをやっているナイスガイ。

好感度のアンテナでトレンドを捕まえているのでしょう。

もう一つ、十和田コース見学資料で窓のない浴室がありました。

(株)WAA設計 https://watabe-aa.com/ 新住協会員の(有)松田工務店施工の 店舗兼住宅

https://watabe-aa.com/project/architecture/602 WAA inc.のホームページに作品が載っています。

人を招き入れるような、動きのある暖かな雰囲気の良いデザインですね。

考え抜かれた住宅部分。2階平面計画の中央に浴室があります。水廻りを集中してますね。

窓がないと設計の自由度が増すという良い実例です。

私の2日目のバス見学は、むつコースでした。

高気密・高断熱住宅の窓のある浴室の実例を次回は紹介しましょう。…続く


浴室に窓は必要か その2

2023-10-10 11:03:18 | 住宅建築

Jホームのホームページにプランの写真がありましたので、

新住協会員の宣伝もかねて紹介しますね。

 

ホームページは https://j-home.co.jp/です。

新住協の総会の二日目の朝5時、ホテル最上階展望浴場の一番風呂に行ったら

Jホームの住宅設計のキーマンも入浴していたので質問「浴室の窓はどうしています?」

年間100棟程の新築件数のうち注文住宅は半分程だそうですが、最近は「窓なし浴室」も多いとの話。

建売住宅の場合は性能と建築費を考慮し、現在は「窓なし」住宅が全部。問題もないそうです。

「その1」の平面では北西の隅に浴室があります。

外部にエコキュートの室外機がありますが、厚い付加断熱の壁は防音効果があります。

窓なし浴室のメリットとしては、高断熱・高気密住宅用浴室窓の複雑な納まりは不要になる事、

住宅の断熱性能が良くなること、そして建築コスト削減が出来ることでしょう。

当然のことながら住宅全体の居住性向上を図るため、その分リビングルームの大開口窓や

通風を考慮した二方向の換気などには充分配慮しているとの事。

また浴室を外壁に面した場所に配置しなくても良くなり、中央配置も可能。

けれども設計の自由度は増しますが、結果外壁に面した隅の配置が多いそうです。…続く


浴室に窓は必要か その1

2023-10-09 11:34:18 | 住宅建築

住宅を新築または改築するにあたって、浴室に窓は必要と思いますか?

現在新居計画中のクライアントから、

出来ればユニットバスに窓はいらないとの話がありました。

確かに高層マンションなどには窓はありません。

でも外壁に面していたら、換気や採光が出来ればと思うのが常。

まして自由設計の一戸建住宅の場合、もったいないと思うのですが…

と思いながらも「浴室の窓」で最近の実例をネット検索しましたが、

好き嫌いのレベルで納得できる話はありませんでした。

そこで会社の設計スタッフに聞いたところ、窓必要2名・窓なしもOK1名という結果に。

という事で新住協の青森総会で、建築家やビルダーの設計担当に尋ねてきました。

「浴室に窓は必要でしょうか?」

その一つの答えが上記のプラン。十和田ジェイタウンのモデルハウス。

10月6日の現地研修「バス見学十和田コース」で内覧できたそうです。

私は「バス見学むつコース」に参加したので写真はありません。…続く


秋田東通りの家 地盤改良2

2023-01-03 15:48:26 | 住宅建築

スクリューフリクションパイルによる地盤改良が完了。

セメントミルクが地表面に見えています。

今度は地業ですが、掘削した所に杭頭が見えています。

 

打設後の杭頭の位置を確認。予定位置とのずれを測定して、設計事務所に報告します。

 

ベタ基礎なので多少のずれは許容されますが、数値によっては基礎の鉄筋補強でずれを補正します。

建築工事は職人の腕や道具の精度、現場条件によって施工誤差はどうしても生じます。

その都度調整を行い、最終的には目標値に達するようにします。

設計監理・現場管理の腕の見せ所ですね。


秋田東通りの家 地盤改良

2023-01-02 16:45:17 | 住宅建築

地盤調査の結果を設計事務所に報告

街中で地下水の汚染の恐れがないので、スクリューフリクションパイルを選定。

https://www.s-thing.co.jp/jiban_kairyo/kairyo_koho/sfp/

地盤を柱状に掘削、セメントミルクを注入し土壌を固めて地耐力を上げる工法です。

ここで設計の基礎伏せ図に改良杭の位置を検討、配置してゆきます。

基礎伏せ図は西方設計が応力度計算で設計。

ベタ基礎ですが、厚いスラブの中に地中梁に相当する配筋があります。

柱下や地中梁に改良杭を優先的に配置。設計事務所の指示です。

施工会社は(株)サムシング 全国組織の地盤改良会社。

プラントを設置して、施工機械で施工を開始しました。

施工深度は6.5m 換算N値では 5以上の地盤まで改良します。

本数は29本 準備は前日から行っていたので施工は順調に行けば一日で終了します。

周囲に振動や騒音で迷惑をかけず、廃棄物もないのが選定理由です。


秋田東通りの家 地盤調査2

2023-01-01 17:14:22 | 住宅建築

 

調査結果を見てみますね。配置に従ってSWー1、SWー3下段SW-5、SWー2となっています。

先ず安心したのは、地盤は弱いなりに同じような地層になっていること。

地中1m程までは造成の為、客土された地盤と思って良いでしょう。

ここだけ見たら大丈夫そうに見えますが…

それから2m程まではかなり弱い地盤。長い年月で沈下を起こす可能性があります。

必要な地耐力が確保できる地層まで地盤改良が必要です。

3m~5mは、安定して換算N値が3となっていますね。それ以上は徐々に数値が上がっています。

弊社もそうですが、西方設計は基本ベタ基礎構造ですので沈下には均等に対応できる構造となっています。

さて必要な改良杭の長さがわかってきました。


秋田東通りの家 地盤調査

2022-12-31 14:40:41 | 住宅建築

N邸の施工についてみてゆきましょう。

先ずは土地条件の把握から…地盤調査報告書からの抜粋です。

志村建設は地盤調査は秋田の(株)住宅地盤技術研究所に依頼しています。

ハウスメーカーによっては、住宅地盤改良施工会社が無料で調査するというので、

地盤調査と地盤改良を同時に依頼する場合があるのですが、基本NGです。

調査結果によっては地盤改良工事が必要なかったり、

地盤改良の方法を検討し直す必要が出たりします。

また、地盤が明らかに丈夫だからと言って調査をしないのもNGです。

地中のことですから、地質の変化や残存物などの確認も必要です。

N邸は現在は街中ですが、昔田んぼだったということがわかります。

楢山と千秋公園の真ん中あたりに位置し、

河川敷ではないにしろ低湿地帯という所でしょう。

地盤調査は設計建物配置四隅と中央部分を調べます。

住宅の場合スウェーデンサウンディング試験による調査が一般的です。

調査中異常値が出た場合、その周辺部などを追加調査します。

昔ながらの調査方法で結構アナログの要素がありますが、

結果の数字だけでなく作業中の感覚で地盤の状態がわかります。

ある意味安心ですね。費用は5万円前後となります。

調査結果を設計事務所に報告。

地耐力や地盤の状況を総合的に判断して、地盤改良の方法を検討します。

地盤改良工事は建築工事費の5%程と言われてますが、

ここで施工費を睨みながら、最良の地盤改良工事を選択します。

ベタ基礎の場合、布基礎より工事費用は軽微となります。


秋田東通りのN邸3

2022-12-28 17:44:10 | 住宅建築

建て主のプライバシーにかかわるところは案内出来ないのですが、

この建物の西方さんの設計ポイントを説明します。

断熱や開口部には予算を振り向け、交換可能な住設は普及品としています。

 

家具は作り付けとする場合が多く、設計に基づき弊社での施工となります。

可動棚やクローゼット程度であれば、気の利いた大工施工で大丈夫ですが、

扉付きになってくると家具・建具屋さんに協力を要請します。

キッチンも製作するときがありますが、その場合は施工図を起こし設計サイドと

入念に寸法や使用金具等を打ち合わせすることになります。

製作家具は、既製品より高いイメージがありますが大工施工であればコスト的には同じでしょうか。

しかし集成材とはいえ無垢材の家具は人気があります。

壁一面の本棚や、すっきり長いカウンターの背面榀収納など綺麗ですよね。

建具は榀合板のフラッシュ引き戸やドア、使用金物が高くなるため

建材メーカー等の既製品に比べて多少割高となりますが、西方設計では標準です。


秋田東通りのN邸2

2022-12-27 17:56:31 | 住宅建築

リビング・ダイニングの内観です。写真は西方設計撮影…綺麗ですね。

 

南面の大きな窓は、採熱・採光の為 もちろん庭の景観も考慮されています。

Nさんは西方作品の熱烈なファンで、たくさんのデザイン要素を取り入れています。

内装素材は地場秋田杉、床板は厚さ30ミリの無垢材。上小節と言っても節はほとんどありません。

東京でこの材料を求めると、目の玉が飛び出る値段になると思いますが

弊社は地元製材所からの直接仕入れ。商社・問屋を通していません。

 

また 天井は無垢の12ミリの杉板目透かし張り。

下地に木毛板を使って吸音効果を高めて、高気密住宅にありがちな音の響きを抑えています。

このような設計が出来るのは、木都能代に拠点を置いているからでしょう。

また素材を上手に施工できるのも、弊社社員大工の腕の見せ所。

東通りの住宅は、すべて棟梁S氏の責任の元での仕事、設計者の厚い信頼もあります。

贅沢な素材の中で暮らせるのも、秋田在住のN氏の幸せですね。