志村建設専務の日々坦々

つれづれなるままに…

京都にて その38 桂離宮を思う

2014-12-15 05:23:18 | 桂離宮

桂離宮は日本的と言われる建築です。

日本的と言われてもピンと来ないのですが、

四季の美しくも厳しい移り変わりを素直に受け入れ、

自然とともに楽しく暮らしていこうというおおらかな気持ちがあると思います。

離宮ですから生産的なものはなく、文化の上澄みたいに奢侈なところもありますが

その建築技術・デザイン・機能は現代建築に通じるところがあります。

  

とくに自然と建築の関係を考えるには最適です。

サスティナブル(循環型)や自然エネルギー(風水)などのヒントが沢山あります。

なかでも私の心に響いたのはは、「侘びる・寂びる」と言う感覚です。

「詫びる・錆びる」→「わびる・さびる」→「侘びる・寂びる」

言葉の変化ですが、桂離宮は人間の精神を昇華させます。

宗教建築ではないのですが、素朴な哲学が桂離宮に表現されているのでしょう。

都会の無機質な建物群や複雑な人間関係の対極にある世界

もしこれが日本的と言うのなら、世界に誇れる日本の文化遺産ですね。


京都にて その37 桂離宮 表門

2014-11-30 08:52:39 | 桂離宮

これが桂離宮の表門です。特別な客を迎える正門となります。

ひのき丸太の掘立て門柱、竹の扉と塀、質素・素朴です。

門越しには、森しかみえません。

門を開けると、はじめて長い直線路の先に小さく御幸門が見えます。

これが桂離宮のイントロダクション。

予算がないから、権力がないから故のデザインではありません。

門扉の最小限の機能を、あっさりと表現しています。

これで、桂離宮リポートの最初の写真に戻って来ました。


京都にて その36 桂離宮 御幸道~中門

2014-11-29 05:00:14 | 桂離宮

御幸道を中門から御幸門に向かって歩きます。

苑路に遊びがあって、行き止まりがあります。

その先は池の岬になっており、止めの松が植えられています。

桂離宮には、水の路もあるので交差点でしょうか。

池の先に松琴亭が見える

桂離宮の庭園は日本庭園の典型といわれてます。

ガーデニングに興味のある人にもおもしろいでしょうね。

土橋の向こう奥左側に御幸門

苑路からして、訪れる人もてなす変化の連続です。

空間的だけでなく、これに季節の変化があります。

建築、庭、工作物、これらを考え創った人々の審美眼には驚かされます。


京都にて その35 桂離宮 中門

2014-11-28 05:18:02 | 桂離宮

桂離宮のアプローチは表門 御幸門 御幸道 中門 御輿寄(玄関)となります。

この中門も茅葺の質素なものです。

外側から見ると 右に塀左に植栽と

人工と自然 閉鎖と開放 モノトーンとカラフルなどと

対比される空間要素で苑路は構成され

一般的な宮殿建築に付随する門が威厳や権威の表現するのとは異なり、

訪れる人の心情や感性を問うてきます。

門が開いててもに御輿寄は見えず、この先を期待させます。


京都にて その34 桂離宮 玄関・御輿寄

2013-08-17 12:12:10 | 桂離宮

玄関と言っても、大きな沓脱石があり

濡れ縁から古書院に入るようになっている。

白い障子の内が、四畳の御輿寄となる。

Dscn2288

書院は高床なので、四段の石段がある。

斜めに入るアプローチ、石畳・飛び石の妙

外国の場合、エントランスの多くの例は、左右対称で威厳に満ちた構成だが

この離宮のやさしく人を招き入れるデザインは、どうしたものだろう。


京都にて その33 桂離宮 月波楼4

2013-08-17 11:38:32 | 桂離宮

月波楼の水屋を観てみましょう。

左が内部、右が外部です。

囲炉裏と水屋、明かり窓、簡素で実用的な作りになっています。

ここのポイントは、基本寸法を崩しながらも、綺麗に納まっていること。

Dscn2280   Dscn2287

もちろん詳細な施工図面はなかったでしょうから、

仕事を依頼する亭主、請負の親方、職方の「あうん」の呼吸

美意識がなければ、出来ない建築です。

雨樋は竹…建築要素がすべて自然素材だということも

現代人にとっては新鮮です。


京都にて その32 桂離宮 月波楼3

2013-04-04 11:52:13 | 桂離宮

屋根はこけら葺寄棟です。

Dscn2291 月波楼 見返し

数奇屋建築を語る上で、「侘び」「寂び」という言葉が重要です。

宗教的な意味合いもあるようですが、日本人古来の季節感や

無常観をベースに醸し出された、感情ないし美意識です。

日光東照宮のギラギラの権力誇示や、人を惑わす巨大仏教建築とは

対極にある建築様式で、世界でも稀有な価値観、建築様式です。

時間とともに朽ち果てそうな庵ですが、これもまた勤勉な日本人による

「手入れ」によって 後世の私達も観賞することができます。


京都にて その31 桂離宮 月波楼2

2012-10-10 16:53:59 | 桂離宮

月波楼の位置を確認しましょう。

池の向こう岸から御殿と月波楼を見ています。

古書院の月見台と同じように、東に登る月を望む位置にあります。

Img_43881 松琴亭より向こう岸を見る

こんどは月波楼の東側にまわってみます。

ここから池の向こう岸に昇る月を眺めます。

Dscn2273 池側の縁

同時に、寝ころがりながら水面に映る月も観れますね。

Dscn2284 池の向こうの松琴亭

座敷の天井は船底天井です。


京都にて その30 桂離宮 月波楼

2012-10-01 09:28:37 | 桂離宮

桂離宮の見学の最後は月波楼です。

写真右側が、古書院の広縁に上がる階段、

敷石の苑路の先に玄関があります。

その手前から右の築山に登ると月波楼があります。

本殿からとても近い位置にある茶室です。

Dscn2270

大きな土間があり、船底天井には絵馬が掛けられています。
Dscn2282

よし簀を並べた野地を竹木舞で押さえ、中央を曲木の

束一本で支えて軽い印象を与え、遊び心いっぱいです。


京都にて その29 桂離宮 古書院

2012-02-16 17:09:08 | 桂離宮

御殿の内部を、参観することは出来ません。

月見台の周りを廻る順路となっています。

Dscn2269 欄間などの格子もシンプル

床の高さは桂川の増水を考慮したものですが、

一段高い位置から、広大な庭を眺めるという意味もあります。

Dscn2271 月見台を北側から見る

転落防止の欄干がついていないので、緊張感のある空間となっています。