Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

表現の自由の危機

2005年12月10日 13時10分22秒 | 時事・社会
立川反戦ビラ配布 市民運動3人に逆転有罪

 自衛隊イラク派遣反対のビラを配るため、東京都立川市の
防衛庁宿舎に無断で立ち入ったとして住居侵入罪に問われ、
東京地裁八王子支部で無罪判決(求刑懲役六月)を受けた
市民団体のメンバー大洞俊之(48)、高田幸美(32)、大西
章寛(32)の三被告に対する控訴審判決が九日、東京高裁で
あった。中川武隆裁判長は「ビラによる政治的意見の表明が
言論の自由で保障されるとしても、宿舎の管理権者の意思に
反して立ち入ることはできない」と述べ、一審の無罪判決を
破棄し、大洞、高田両被告に二十万円、大西被告に十万円の
罰金刑を言い渡した。三被告は判決を不服として上告した。 
 中川裁判長は、宿舎に関係者以外立ち入り禁止の表示が
ありながら、三被告がビラの投かんを繰り返したと指摘。
 「被害の程度が軽微だったとはいえず、罰することができる
違法性がないとはいえない。表現の自由が尊重されても、
他人の権利を侵害して良いことにはならない」と述べた。
 一審判決は「立ち入り行為は住居侵入罪の行為に該当する
が、刑事罰に処するほどの違法性は認められない。ビラ投かん
は憲法の保障する政治的表現活動」として、三被告に無罪を
言い渡した。
 検察側は控訴審で「居住者はビラで不安感や不快感を抱いて
いた。思想を外部に発表する手段でも、他人の権利を害すること
は許されない」と主張した。弁護側は「三人の起訴は公訴権の
乱用」と無罪を求めた。
 判決によると、三被告は昨年一月、自衛隊宿舎の敷地に入り、
各戸の新聞受けにビラを投かんした。大洞、高田両被告は同年
二月にも投かんした。
 立川のビラ配布事件以降、警視庁管内では少なくとも六人が、
政治的なビラを配布して住居侵入容疑などで逮捕されている。

                          (東京新聞)


要するに「政治的表現活動の自由」は「経済活動の自由」より
下位にある、ということなのでしょう。飛び込み営業や、チラシや
フリーペーパーの配布で逮捕された、という話は聞いたことが
ありませんから。
自民党が財界の利益代表である以上、分かりきった話では
ありますが、ここまで露骨に「思想弾圧」がなされる世の中に
なってしまったのですね。
「他人の権利を害することは許されない」って、ビラくらいなら
読まずに捨てれば済む話だと思うのですが。この論理でいけば、
街宣もメディアでのアピールも、当局の裁量ひとつで「不許可」
になりうるわけですから、恐ろしい話です。
まあ、住居侵入は一応違法行為ですし(でも、玄関先や、集合
住宅の共有部分は、用事がある人間なら入っていい場所だと
思うのですが)、物騒な事件がたびたび報じられて社会不安が
広がっている昨今ですから、厳しく取り締まる姿勢をアピール
する狙いもあるのでしょうが、犯罪目的ではない行為に実刑を
課す必然性について、このたびの判決は説明不足だと感じます。
これを許せば、次は雑誌ジャーナリズム、そして報道機関にも
いずれ規制が及ぶでしょう。
情報統制時代の再来? ああ、やだやだ。
良心的ブロガーの連帯に、私も加わらなきゃ。