goo blog サービス終了のお知らせ 

某銀行員日記

とある銀行員の日常を書いたブログ。政治・経済・文化・芸能、硬軟取り混ぜて日々思ったことを主に書きます。

改正貸金業法の罠

2010年06月17日 23時04分37秒 | 銀行の話
改正貸金業法、あす完全施行 「借りられない」ATMはや混乱(産経新聞) - goo ニュース

明日、改正貸金業法が完全施行されます。
おかげで今日はその対応にてんてこまい。
書類の差し替え、ポスターの張替え、チラシの追加…
よくあることではあるのですが、ここまで大規模なのが期末期初以外であるのは非常に珍しいことなんです。

今回の貸金業法の改正は、今までの日本の金融政策の流れからするとさほど大きな変化ともいえません。
日本の金融政策は、金利は低い方がいい、貸し出す額は少ない方がいい、それで資金を借りれなくなっても知ったことじゃない、という3点に集約できると思います。
今回の改正もただそれを強化するだけ。
さほど違和感はありません。
しかし、それで果たしてよいのでしょうか。

金融業の中でも貸金業というのは、お金が余っている人から足りない人への仲介をするというのが本来のあり方です。
金利はその手間賃でありリスクを負う対価であり、そして資金の出し手への報酬でもあります。
金利を下げるということは、リスクを負う対価を減らす、つまりリスクの高い融資ができなくなることであり、資金の出し手への、この場合ほとんどは預金者ですが、報酬を減らすことにもなります。
つまりはさらに預金金利が下がるということです。(実際には他の様々な要因によって決定されるので、簡単に下がることは無いと思いますが…)

資金が必要な人に貸せなくなる。
資金が余っている人へ報酬を減らさざるをえなくなる。
物事は複雑に絡み合っており、お金の借り手のことを考えて金利を下げ、融資限度額を設けているのかもしれませんが、実際はあらゆる人を不幸にするだけなのです。

実際のところ、この改正でお金が借りれなくなる人は非常に多く出てくると思います。
お金を借りずに生活したり商売すればいいじゃないか、という人もいますが、それは経済のしくみがわかっていない証拠です。
ここで運転資金の仕組みを説明するなんてことはしませんが、経済が円滑に運営されるためには、自由な資金のやり取りが不可欠なのです。

個人的には、上限金利も総量規制も撤廃すべきだと思います。
上限金利があるから上限金利で横並びになり、健全な金利水準を維持できなくなっています。
また総量規制にしても、個々の人によって下がるのに、一律の規制はナンセンスです。
どちらも市場の形成に悪影響を与えているといえるので、私は撤廃した方がいいと考えています。

今回の改正で、行き着くところまで行き着いてしまったという感があります。
これで不利益を受ける人がたくさん出るでしょうが、その人たちの不満の声が国の金融政策を一大転換させてくれればと思います。

能力と給料に関わらず仕事は増える

2010年05月30日 22時00分23秒 | 銀行の話
2010年度ももうすぐ2ヶ月が過ぎようとしています。

もう私も若手とはいえない5年目。
リーダーシップを発揮して云々だとか、牽引役として云々などというご指導を上司から受けることも多くなってきました。

その間、私の能力が劇的に向上したかといえば、残念ながらそうとはいえません。
毎日冷や汗をかきながら、なんとか薄氷を踏む思いでなんとか仕事をこなしています。
いつか大きな失敗をするんじゃないか、という恐れを抱きながらです。

無論、昔に比べれば出来る仕事は増えています。
しかし、自分が覚えたことと、さらに言えば若干増えた給料に見合わないほど私の仕事の量は増えています。
これは誰が楽をしているのかというような話ではなくて、仕事に見合うだけの人員が確保されていないということが原因です。

ここ5年ほど続いた大量採用で、確かに人数だけは増えました。
しかし、まだ成長しきらぬうちに最前線へ次々と送り込まれている、といった感じでしょうか。
おかげで自分の仕事もろくに覚えていない私が、後輩を教えなければいけない事態になっているわけです。
余りの忙しさに気が変になりそうになることもあります。

さらに言えば、昨今の民主党政権が決めた愚かな政策の対応もしなければならず、余計な仕事が次々と生まれてもいます。
それが私たちの忙しさを倍増させているわけなのですが。

おかげでろくにブログを更新することもままならない日々でした。
風邪を引いてもろくに休めませんでした。
いっそここで倒れてしまったらどれだけ楽か、そう思ったりもしました。

能力と給料に見合わない仕事と責任。
何もかも投げ出してどこかへ行きたい。
そう思ってしまうこともしばしばです。

これは銀行だけで無くあらゆる会社でも同じようなことが言えるので、何処にも逃げ場はありませんけどね。

人事異動のこと

2010年01月13日 00時00分03秒 | 銀行の話
私ももうすぐ5年目。
そろそろ2度目の人事異動がくるかな、という雰囲気になっています。

会社によって詳細は違うと思いますが、人事異動には2種類あります。
1つは定例異動。
毎年ある程度決まった時期に人事異動があるもので、かなりの人数が動きます。
もう1つは臨時異動。
退職や休職、組織改変等で人員を動かす必要があるときに行われるもので、少人数の異動で終わります。

私の銀行では年に3回の定例異動と、大体毎月1回臨時異動があります。
定例異動のうち、1回は株主総会に伴う経営陣や管理職の人事異動なので、私にとっては実際2回です。
臨時異動が毎月あるといっても、数名が動くだけというのがほとんどです。
子会社以外の企業へ出向するのも、この臨時異動で動くように思います。

銀行は他の業種に比べこの異動のペースが早く、私の銀行の場合、総合職は平均2年で動きます。
それ以外の銀行でも、同じようなペースだと思います。

これには理由があって、癒着を防いだりするためといわれています。
しかし、巨額のコストと頻繁に担当者が変わるというデメリットを上回るメリットになっているとは思えません。
5年同じところにいても、犯罪を犯さない人はやらないし、1年だけでも犯罪をする人はいますからね。

頻繁に人が入れ替わり、銀行内の微妙な知り合いだけが増えていくことに、新入行員は最初戸惑うかもしれません。
それもまた楽しかったりするんですが、そこまで逝くのにはだいぶ時間がかかるでしょうね。

根拠の無い自信ほど怖いものはありません

2009年10月13日 20時54分49秒 | 銀行の話
振り込め被害者75%「だまされぬ自信あった」(読売新聞) - goo ニュース

振り込め詐欺の被害者にアンケートをとったところ、4分の3の人が「だまされない自信があった」と考えていたという結果が出たとか。

これは確かにありえる数字だなぁ、というのが実感です。
私が直接そういう現場にいたことは無いものの、明らかに振り込め詐欺で必死に説得したのに聞く耳を持たず、結局振り込んで詐欺に引っかかったという例を何度も聞きました。
どこかの金融機関では、説得していた職員に殴りかかった人もいたとか。
これでは説得できるわけもありません。

そんな詐欺には引っかからない。
そういう根拠の無い自信を持っている人ほど、一度そういう詐欺に会うと一歩引いて考えるということが出来ないのでしょう。
自分も引っかかるかもしれないと考えられる人は、実際に詐欺にあっても思い直すことが出来るのかもしれません。

この振り込め詐欺。
銀行にとっては本当に頭の痛い問題です。
様々な法律ができ、それに対処するだけでも一苦労。
コストも馬鹿になりません。

犯罪の対策という点では仕方が無いのかもしれませんが、その負担をあまりにも民間企業である金融機関に押し付けすぎなのではないかと思います。

自分も詐欺に引っかかるかもしれない。
そう思う人が増え、用心する気持ちを持ち続けてくれれば、ここまで手厚い対策をしなくていいのでしょうが、なかなかそうはならないでしょうね。

1学期も終わり

2009年09月30日 23時10分31秒 | 銀行の話
今日は9月30日。
21年度の前半も今日までです。

小学校や中学校なら、2学期は9月からですが、銀行は10月からです。
銀行に限らず、日本の企業の多くが3月決算ですから、今日が1学期最後というところは多いでしょう。
といっても、3学期はどこもないでしょうが。

おかげで今週は非常に忙しい毎日。
準備や報告等が非常に多くて、いつまでたっても終わりが見えない気がしました。
なんとかかんとか今日までにしなければいけないものは終えることが出来ました。
しかし、今週までにやらなければならないことはまだまだ山積み。

新学期が始まる明日も大変な一日になりそうです。

魔の5連休

2009年09月19日 00時05分21秒 | 銀行の話
シルバーウィークが始まってしまいました。

今年のカレンダーを見て、秋に大型連休があると知ったときは非常にテンションが上がりました。
秋だから何処に行こうかとワクワクしながら考えたものです。
しかし、それが近づくにつれ、憂鬱になってきてしまいました。

というのも、9月は平成21年度上半期の最後の月。
ノルマの追い込みがあったり来期の準備があったりと大変なのです。

さらに、連休が終わって仕事が始まる日は24日で、5営業日しか残ってません。
手形などの決済が集中してしまい、企業によっては資金繰りが大変になるところもあるのではないでしょうか。
そのためか借入の実行予定日が集中してしまったりしています。

その準備に今週は忙殺され、連休が明けたらその処理にまた忙殺されるでしょう。
それが終われば期末です。
今まではある程度分散化されていたためそこまで集中することはなかったのですが、ここまで日程が詰まると非常に大変になります。

ゴールデンウィークにしろ正月にしろ、銀行が4日以上休むのは月の初めにしかありませんでした。
今回が初めてのケースですが、本当に忙しくて死にそうでした。
これが2月とか8月ならばよかったのですが、よりにもよって忙しい9月になるとは…

もう二度とこんな大型連休はあってほしくないです。

他人事ではない2

2009年09月09日 21時50分13秒 | 銀行の話
他人事ではない事件がまた起こってしまいました。
今度は飲酒運転です。

ここ数年、飲酒運転への罰則は非常に厳しくなっています。
飲酒運転で事故を起こしたら100%懲戒解雇。
スピード違反などでも、下手をすれば解雇、運が良くても降格・減給処分は免れません。

私の知っている人が、飲酒運転で処分されました。
酒気帯び運転が警察に見つかっただけで、他に違反はしていないようでしたが、降格処分となりました。
その人の上司達も減給処分や戒告処分となったとか。

自分だけでなく他の人にも迷惑をかけてしまう。
本当に飲酒運転だけはしてはいけない、そう感じました。

他人事ではない

2009年09月08日 20時39分35秒 | 銀行の話
この前の夕方のことです。

支店長と私の直属の上司がなにやら話をしています。
もしかして、この前やっちゃったあのミスのことか…
それとも、どこか大口の融資先が潰れそうなのか…

悪いイメージが頭を支配し、とても仕事になりません。
用事があるふりをして近くを通ると、話していた内容は誰かが亡くなったことでした。
その二人と以前一緒に働いたことがある人のようで、葬儀に参列するかどうかなどを話しているようでした。

よく聞いてみると、なんと40代前半で亡くなったそうです。
以前仕事中に倒れたことがあり、それ以来身体の調子が良くなかったそうです。
小学生くらいのお子さんもいたそうで、本当に悲惨としか言いようがありません。

日常の不摂生やストレスから、身体の調子が万全でないのに働いているのは私も同じ。
少し節制しようかな、と思ってしまいました。

最近の傾向

2009年09月03日 23時30分23秒 | 銀行の話
ここ最近に限ったことではないかもしれませんが、建設業界の惨憺たる現状は目を覆いたくなるものがあります。
これはもちろん業界全体が国の補助に依存していたことが第一の原因に他なりません。
ある程度まで淘汰されるのは当然でしょう。

しかし、日本の雇用を下支えしてきたのがこの業界であるのもまた確かです。
失業率が過去最高を更新する中、何らかの手を打たねばならないのでは、とおもってしまいます。

とはいえ、建設業界の人たちもただ座して死を待つだけではありません。
生き残るために様々な方策を打って出ている企業も多々あります。
その方策は、公共事業依存を脱し、民間や海外へとシフトする正攻法のやり方だけではありません。
中には、様々な債務整理テクニックを講じて、何とか生き残りをかける企業もあります。

今日このような内容をかいたのも、そういう企業にぶつかってしまったからです。
守秘義務があるので詳細はいえませんが、数年前に実質的に倒産した企業が借入の申し込みに来たわけです。
実質的に、といったのは実際に倒産したわけではないものの、会社を分割したり新設したり、企業の名前や部署を入れ替えたりするなどの様々な方法を用いて、法的財務的に倒産したという事実を消し去ってしまったのです。

もちろん従業員どころか経営者も取引先も変わらず、ただ金融機関が損失を被っただけ。
それなのにたった数年でまた融資してほしいなどと言ってくるわけですから、思わず感心してしまったわけです。
その企業の業績や財務状況は表面的にはいいものの、実質的に倒産した企業と中身が全く同じことがあるのが原因なのか、融資の承認を得ることは出来ませんでしたが。


これは企業にかぎらず、個人でもあります。
破産をして踏み倒したり、延滞をしたりするとその情報が信用情機関に登録されます。
所謂ブラックリストと呼ばれるものです。
これは例え破産をしたとしても、10年たてばその情報は抹消されます。

ですから、10年前に破産したけど、もうブラックリストに載ってないから大丈夫、と考える人が結構いるようです。
しかし、それはあくまで信用情報機関に限ったことで、銀行のデータベースにはそれとは別に情報が保存してあり、それに時効はありません。
それを知らずに、10年前に自己破産しているのに、住宅ローンを申し込みに来た人が何人かいました。
もちろん全員融資が認められることはありませんでした。

最近は若い人の自己破産や債務整理が非常に増えています。
司法書士や弁護士に、10年たてばブラックリストからは外れるから大丈夫、などと言われて簡単に自己破産に応じてしまう人がいるのではないか、と勘ぐってしまいます。
しかし、上記のとおり銀行のデータベースからその情報が消える事はありません。
くれぐれも、安易なことはしないほうがいいとおもいますよ。

銀行員と宗教

2009年05月27日 23時03分27秒 | 銀行の話
いつの間にか2週間も放置してしまいました。
今日は銀行員と宗教の話。

銀行は様々な企業や人と取引があります。
年齢も性別も出身地も思想も様々。
中でも一番目立つ違いは宗教でしょう。

大多数の人はあまり変わりません。
古い大きな家だと仏壇と神棚両方があることもありますが、考え方としてはこれと同じという人がほとんどでしょう。

しかし、一部の人や企業はそれに当てはまらず、強烈な個性を放っています。
特に新興宗教系はそうですね。
その宗教関連の本が数百冊あったり、教団の偉い人(と思われる人)の写真があったり、毎日お経を読んでいたりと、なかなかユニークなことをされています。
中には、毎日宗教的な行動をしていたおかげで、障害が回復した、と仰る方も。
鰯の頭も信心からともいいますが、まさに信じるものは救われるということなのでしょうか。

いくら習慣が違えど、大事なお客様です。
否定は出来ません。
上手く話をあわせ、いい気持ちでいつづけてもらう様に努めます。
否定などもってのほかです。

そしてその距離感というのが非常に難しくもあります。
そんな新興宗教に加入されるようになっては困るだけですからね。
着かず離れずというのを気にしつつ、相手をヨイショするわけです。

とはいえ新興宗教の力は恐ろしいものです。
とある新興宗教は年末に寄付を集めるのですが、それは振込で行っています。
ヨボヨボのおじいちゃんおばあちゃんから若い人まで、その専用の振込用紙を持って支払いに来ます。
その金額は恐ろしいもので、限られた地域だけであるのに数億円を集めていたようです。
全国で言えば数百億になっていてもおかしくない額でした。
そのお金はもちろん非課税でしょう。
全くもってうらやましくも恐ろしい話です。

幸い私の実家は、葬式でしかかかわりが無いようなあまり信仰心の無い檀家ですので、そういったことはあまり心配はしていません。
そしてどの宗教を信仰するのは自由ですのでアレコレいうつもりもありませんが、よく考えて信仰したほうがいいと思いますね。