http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMITfr000003072006
東京都のローカルテレビ局、東京メトロポリタンテレビジョン(東京MXテレビ、東京・江東)は携帯機器向け地上デジタル放送「ワンセグ」のデータ放送と連動したテレビ番組の放送に乗り出す。「ワンセグ」ではまだ物販など確立したビジネスモデルが出ていないなか、キー局に先駆けてサービスを始める理由は何か。本間雅之編成局長と茅根由紀子総合デジタル局企画開発部副部長に聞いた。
――ワンセグのデータ放送と連動してどのような番組を放送するのか。
本間氏 7月中にワンセグと連動するのは3番組。三菱商事と組む昼の情報番組「U・LA・LA(ウララ)」、カカクコムがコンテンツを提供する「kakaku.com(カカクコム)TV」、テクノラティジャパン提供の「Blog(ブログ)TV」で、ワンセグのデータ放送と連動したテレビショッピングなどを始める予定だ。東京MXテレビとしては番組を放送する枠を売り、物販などの収益は各社に帰属する。
「U・LA・LA」は昼間、OLに見てほしい番組。他の2番組は夜10時台の放送だ。通勤や通学の途中ではワンセグのデータ放送を活用する時間的余裕は少ないだろう。むしろ、お昼休みや夜の方が落ち着いて楽しむのに向くと考えている。
今のテレビはゴールデンアワー以外の時間帯は専業主婦や高齢世帯など家庭にいる時間の長い層が視聴者の中心になっている。この時間が全ての働く人に解放される。大きな地殻変動になるのではないかと見ている。
――キー局に比べて視聴率に左右されないことも、ワンセグに機動的に対応する一つの理由なのだろうか。
茅根氏 キー局は1番組に複数のスポンサーがいるため歩調を揃えにくく、意外とワンセグの実験がうまくできていない実情がある。その点、MXテレビはスポンサー料が低く、1つのスポンサーが1番組分のコストを支払うことも可能だ。東京という市場に魅力を感じ、ワンセグをもっと自由に使いたいというスポンサーの要望が大きかった。
本間氏 東京MXテレビの場合は、東京情報に特化して放送できる。東京はキー局がひしめいており、これまでのようなテレビ画面だけの競争ではアンテナが少ない当社はどうしても劣ってしまう。しかし、デジタル放送でようやく同じ土俵に立てた。ワンセグのデータ放送と連動すれば、より詳細な街の最新情報を網羅でき、地方局としての強みを出せる。
――現状では、ワンセグ向けにも地上波放送の同時再送信が義務付けられている。ワンセグの特性を生かした番組作りにも限界があるのではないか。
本間氏 東京MXテレビでは1チャンネル分の電波で2番組を同時に放送する「マルチチャンネル編成」を民放で始めて採用した。1番組は通常のテレビ向けの放送番組を流し、もう1番組はワンセグを意識した内容にしていく予定だ。現状で「マルチ編成」に対応したのは競馬番組。通販の番組も何社か引き合いがあり、秋から始められそうだ。他にはニュースの繰り返しやミュージッククリップ、国会中継など、長い時間流すことに意味がある番組を選んでいきたい。
――今後検討しているワンセグ向けのサービスは。
本間氏 選挙時にワンセグを通じた出口調査や世論調査を実施したい。これまでもデジタル放送で双方向性を生かした番組はあったが、テレビという(放送の受信が主な機能だった)機器よりも、もともとコミュニケーションのための機器である携帯電話を使った方が双方向のコミュニケーションが促進されるのではないだろうか。
ほかにも全地球測位システム(GPS)と連動した地域の店舗情報発信やアニメ配信なども可能性として考えている。アニメも今までは深夜帯に放送していたが、ワンセグ端末が普及したら一息入れるときに見る大人もいるかもしれない。
[2006年7月4日/IT PLUS]
東京都のローカルテレビ局、東京メトロポリタンテレビジョン(東京MXテレビ、東京・江東)は携帯機器向け地上デジタル放送「ワンセグ」のデータ放送と連動したテレビ番組の放送に乗り出す。「ワンセグ」ではまだ物販など確立したビジネスモデルが出ていないなか、キー局に先駆けてサービスを始める理由は何か。本間雅之編成局長と茅根由紀子総合デジタル局企画開発部副部長に聞いた。
――ワンセグのデータ放送と連動してどのような番組を放送するのか。
本間氏 7月中にワンセグと連動するのは3番組。三菱商事と組む昼の情報番組「U・LA・LA(ウララ)」、カカクコムがコンテンツを提供する「kakaku.com(カカクコム)TV」、テクノラティジャパン提供の「Blog(ブログ)TV」で、ワンセグのデータ放送と連動したテレビショッピングなどを始める予定だ。東京MXテレビとしては番組を放送する枠を売り、物販などの収益は各社に帰属する。
「U・LA・LA」は昼間、OLに見てほしい番組。他の2番組は夜10時台の放送だ。通勤や通学の途中ではワンセグのデータ放送を活用する時間的余裕は少ないだろう。むしろ、お昼休みや夜の方が落ち着いて楽しむのに向くと考えている。
今のテレビはゴールデンアワー以外の時間帯は専業主婦や高齢世帯など家庭にいる時間の長い層が視聴者の中心になっている。この時間が全ての働く人に解放される。大きな地殻変動になるのではないかと見ている。
――キー局に比べて視聴率に左右されないことも、ワンセグに機動的に対応する一つの理由なのだろうか。
茅根氏 キー局は1番組に複数のスポンサーがいるため歩調を揃えにくく、意外とワンセグの実験がうまくできていない実情がある。その点、MXテレビはスポンサー料が低く、1つのスポンサーが1番組分のコストを支払うことも可能だ。東京という市場に魅力を感じ、ワンセグをもっと自由に使いたいというスポンサーの要望が大きかった。
本間氏 東京MXテレビの場合は、東京情報に特化して放送できる。東京はキー局がひしめいており、これまでのようなテレビ画面だけの競争ではアンテナが少ない当社はどうしても劣ってしまう。しかし、デジタル放送でようやく同じ土俵に立てた。ワンセグのデータ放送と連動すれば、より詳細な街の最新情報を網羅でき、地方局としての強みを出せる。
――現状では、ワンセグ向けにも地上波放送の同時再送信が義務付けられている。ワンセグの特性を生かした番組作りにも限界があるのではないか。
本間氏 東京MXテレビでは1チャンネル分の電波で2番組を同時に放送する「マルチチャンネル編成」を民放で始めて採用した。1番組は通常のテレビ向けの放送番組を流し、もう1番組はワンセグを意識した内容にしていく予定だ。現状で「マルチ編成」に対応したのは競馬番組。通販の番組も何社か引き合いがあり、秋から始められそうだ。他にはニュースの繰り返しやミュージッククリップ、国会中継など、長い時間流すことに意味がある番組を選んでいきたい。
――今後検討しているワンセグ向けのサービスは。
本間氏 選挙時にワンセグを通じた出口調査や世論調査を実施したい。これまでもデジタル放送で双方向性を生かした番組はあったが、テレビという(放送の受信が主な機能だった)機器よりも、もともとコミュニケーションのための機器である携帯電話を使った方が双方向のコミュニケーションが促進されるのではないだろうか。
ほかにも全地球測位システム(GPS)と連動した地域の店舗情報発信やアニメ配信なども可能性として考えている。アニメも今までは深夜帯に放送していたが、ワンセグ端末が普及したら一息入れるときに見る大人もいるかもしれない。
[2006年7月4日/IT PLUS]