『オルメイヤーの阿房宮』
『オルメイヤーの阿房宮』という小説があるらしい。父と娘の愛の葛藤、不条理劇である。父と娘…親あるいは子への執着、偏執ともいえる愛の形の悲劇。
背景はオレンジ色のベタ…つまりは時代を特定しない時空であり、過去から未来における永遠に発生しうる現象としての『オルメイヤーの阿房宮』である。
一本の樹(宮)は空洞と化し疲弊しひび割れている。その根幹はどれなのか定め兼ねる混迷、因果関係は複雑に絡み合い地中深く残存している。しかし、総ては形骸化し果てた空想の産物としての笑いもの(否定)である。
どんなに恋い慕っても返ることのない絆。亡母への執着、それは『オルメイヤーの阿房宮』に酷似した思いではないか…マグリットの琴線に触れた小説を換言した哀しいまでの愚行を象徴的にイメージ化したのだと思う。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
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