続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『振動尺試作Ⅱ(2nd Stage)』

2019-08-26 06:45:09 | 美術ノート

   『振動尺試作Ⅱ(2nd Stage)』

 振動は、音や波などの計測の際の振幅のことであり、計測はできるが本来固定はない。にもかかわらず、振動尺と命名している。

 ヒューマンスケール・・・身体的な感受を、精神的な質的変換を試みる実験である。
 振動に関して視覚で捉えるという試作。
 目の前の空間は並べて直線的あるいは無と感じ、詩的なセンスで言葉に置き換えることはあるが、質量をもった物質に置換することは考えにくい。

 目の前の空間は静謐だと捉え、対象をつなぐ空気というより空という感覚である。
 物(対象)を見る場合、距離に対する概念は確かに在る。しかし、それが層となり振動と化しているという考えには至らない。

 ただ空間には光の波があるし、音波も交錯しているに違いない。

 学習されたデータ、データの集積を含んだ感度での振動尺であるならば、物理的にも精神的にも否定するものではない。

 大いなる肯定(感動・納得)とは冷めた距離があり、振動(揺れ動く事象)が固定化されていることに違和感を感じざるを得ない。
 重ねられた分断、前後に見える留め金(圧力)、傾斜に見える突起、全体がストレートであること・・・対象と結ぶ空間にこれほどの遮蔽物が隠されていることなど・・・個人的感想にすぎないのではないかという疑問。

 対象との間を妨げる抵抗、振動尺の存在、改めて考え、共鳴できるまで作品から学んでいきたい。


 写真は『若林奮ーVALLEYS』横須賀美術館より


最新の画像もっと見る

コメントを投稿