続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『3つの停止原基』②

2017-06-16 06:57:52 | 美術ノート

 『3つの停止原基』

 非常に丁寧に造られた年代物の木組みの箱である。にもかかわらず、金具が取り付けられている。現物を見ることが出来ないので想像の範囲であるが、蓋や仕切り版は後から付けたものかも知れず、留め金は、貧弱かつ向き(縦横)が間違っているので、しっかり止めることは難しい。
 手前に置かれた3つの原基らしきものは、偶然できた線条の固定であり、基準には遠い。
 この奇妙な線条を固定した原基(?)を収納する箱は、重厚さと軽薄が混同し、整然としてもいるという不可思議なものである。

 混然一体、自由意思…とうてい原基とは名付けられないものを指して『3つの停止原基』と名付けている。このタイトルを翻訳すると、
『3つ(任意)の原基では無い物』ということではないか。停止は使用不可に等しい。

 観念の否定、通念を覆す無常、デュシャンの作品には胸を衝く寂寥感がある。


(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)


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