夕焼け金魚 

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事故物件って

2017-05-25 | 創作
先日、不動産屋の新人歓迎会が行われました。
久しぶりに新入社員が二人も入社したのです
新入社員と言ってもすぐ私たちの査定というか勤務評価する方になるのですから、歓迎会に出て愛想良くしておきました。
二人とも30近くの中途採用です。
給料や通勤手当などの計算をして貰うので、第一印象を良くしておかないと、後々面倒になります。
新入社員が入居した部屋に社員が集まってパーティーを開くことになったのです。
少々広めの部屋で、女の方独りには大きすぎると思われる部屋ですが、社員という事もあって格安で住めることになったと喜んでいられました。
私も久しぶりに機嫌良く飲んでいると、採用された方が私にお酌をしてくれました。
「金魚さんというのですね、変わったお名前ですね」と金魚が名字だと思っているようです。
「金魚は、あだ名なんです」と言うとビックリした顔で「ごめんなさい、皆さんがそう呼んでいたので」と言うのです。
「構いませんよ、貴方も金魚で」と言って返杯しました。
実は金魚、お酒が丸っきしダメなんです。それこそ、コップ一杯のビールで金魚のように真っ赤になって。
それであだ名が金魚といわれるようにって、違います。
あだ名のいわれは一度書きましたので、探してみてください。
「やっぱり、あの事故物件と言われるものには、出るのですか」と聞いてくるのです。
「気味が悪いと思ってみていたら、なんでも霊に見えるというやつですよ。幽霊の正体見たり、枯れ尾花ってやつですから心配ありませんよ」
「でも、テレビとか週刊誌で夏になるとやってるでしょう」
「それは、そんなのが好きな人が多いからやってるので、誰も興味が無いならしませんよ」
「そうなのですか」
「ええ、大半はトリックです。テレビでやってるのは大抵外国で学生が売るために作ったものを、真実のように見せているだけですから」
「でも、本当のように見えますから」
「本当のように作っているのですから、そう見えないと。しかも霊能者とか言う人たちはほとんどインチキですから」
「そうなのですか」
「皆さん、タレントですよ」
事故物件と言ってもなんというか、別の人が何ヶ月住むと事故物件と言わなくても良くなるのです。
ですから、事故物件として家賃を下げるとか、保証人不要とか色々便宜を計って住んで貰うのです。
歓迎会も佳境になった頃、部長の音頭で乾杯をして打ち上げとなりました。
「どうだろう、ここでみんなの集合写真を撮ろう」と今度は社長が言い出して、みんなの写真を撮ることにしました。
みんなニコニコ笑って写真に収まって、家路についたのです。
私が帰ろうとすると社長に呼ばれました。
「金魚さん」さん付けは危ないのですね、いい話では大抵ありません。
「どうでした、あの部屋」と言うのです。
「あの部屋に新人さんを住まわせるなんて、辞めろというようなものですよ」
「やっぱり、そうか」
「何か理由付けて、部屋を変わった方が良いですね」
「写真に何か写っていたのか」
「別にどおってことはありませんけど」といって、先ほどの集合写真をアイホンの画面に写してみました。
「みんないい顔している、どこがおかしいのかな」と聞くのです。
「別に変なものは写っていませんけど、この姿見に人が写っていますよね」
「これは此処の入居者の顔だね」
「はい、みんながカメラの方を向いていて、その後ろに置いてある姿見に顔が写る、それも入居者の顔が写ってますから、あまり良いとは言えないです」とだけ答えておきました。
事故物件に会社の社員を住まわせて、適当な期間経過したら別の処に移動させるというのは、時々行われる手だそうです。
不動産会社にお勤めの方は、会社の用意したアパートとかは用心した方が良いかも。
もっとも何かされるという事は、滅多に、滅多にありませんから。
たまーに、本当に出る物件もあるようですけど。

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