Sera の本棚

感動した本のことや映画を見たり、コンサートへ行ったりした感想、高槻の写真など記録できたらいいなあと思います。

「人間失格」

2007-06-20 15:31:22 | 

太宰治作「人間失格」、この本を読むのは3度目です。1度目は高校生の時、2度目は20歳過ぎだったと思います。若い頃はどんな感想を持ったのでしょう。何十年もたって感想は変わっているでしょうか。何十年の重みがある感想を持っていたらうれしいですが、若いときのほうが案外素直に感じていたかもわかりません。嘘と真実、何が嘘で何が真実かもわからなくなります。「晩年」を読んだ後は悲しすぎる時は涙が出ないのかと思いましたが、「人間失格」では涙があふれました。何故か考えました。文体が違うからだと思いました。「晩年」は解説では前衛的な現代小説と書かれています。主人公「大庭葉蔵」の他に作者が直接小説に登場し、言いがたい真実を表現されています。「晩年」では小説でありながら作者が登場するので大庭葉蔵と作者と、実際は同じ人物太宰治なのですが、両方に感じるものがあり、読者にも深く問いかけられます。「人間失格」は普通の文体の小説なので、どんどんその世界に入り込み、涙があふれたのだと思いました。私は「夕鶴」に出てくる「おつう」を思い浮かべました。おつうが自分の羽からきれいな反物を仕上げるように、太宰治は自分の身を削って削って「真実」を表現したのだと思いました。私が20歳ぐらいだったと思いますが、阪急電車梅田駅構内で友達のお姉さんに呼び止められたことがありました。「どうしたん?死んだ人みたいな顔して・・・」と言われました。その時、私は「何のために生きるの?」と考えていたのです。失恋したわけでも特別悲しいことがあったわけでもないのに、そんな疑問がふっと思い浮かんだのです。梅田の雑踏の中へ消え入りそうな気持ちでした。「青春」という言葉はとても明るくて、楽しげで良さそうに聞こえますが、傷つきやすく、身の置き所がないのかなと思いました。

お気に入り度:★★★★★  図書館資料 分類番号:B/ダザ

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4 コメント

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その後・・・ (MORRIE)
2007-06-20 18:43:04
「何の為に生きるのか?」の答えは出ましたか?
私は「あなたは何故生きているの?」って聞かれた時、「死なないために生きている。」と答えました。
今もまだ、ハッキリとした生きる事の意味は見つからないです。
「人間失格」と「晩年」両方とも一緒に買ったんですが、「人間失格」を途中まで読んで挫折しました。
私には文章が難しくて。(^_^;)
いつかまた、挑戦してみたいと思います。
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書き込みありがとう~!!! (Sera)
2007-06-20 20:05:36
MORRIEさん、どうだったのか忘れてしまったのです。今は生かされていると思うので、生かされている間は感謝して生きたいと思っています。ただ、友達のお姉さんが「死んだ人みたいな顔して」と言うのがいつまでも心に残っているのです。「元気がないね」とか「疲れているみたいね」ならわかるのですが、うら若い20歳の私が、死人のような顔と言われてショックでした。それほど嫌な顔していたのでしょうね。ぜひ、また読んでみてね。ありがとう
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お久しぶりです☆ (さくら)
2007-06-21 17:03:20
忙しいのに本も読まれてるなんて感心ですね。私、太宰治大好きですよ。繊細で線の細い人何となく惹かれます。「人間失格」は私も20歳代の時に読みました。いたく感動した事覚えてます。でも内容はあまり思い出せません。生きてるだけで幸せですよね!奇跡的に生まれてきたんですもの、生きてるだけで十分です。
とは思いながらついつい欲が出ますね。
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こんばんわ~★ (Sera)
2007-06-21 20:19:49
さくらさん、そうですよね、生きてるだけで幸せですよね。生きてこうしてさくらさんや皆さんに出会えて幸せですよね。十分ですよね。ありがとうございます。さくらさんも太宰治大好きで良かった
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