特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

外国語上達の鍵

2009-02-11 22:14:38 | カンコクゴ試行錯誤
曇り.昨日の暖かさから一転,寒~い建国記念の日.最低気温5度. 最高気温8度.

 外国語を身につけたい.私を含め,そう考えている人は少なくないでしょう.そこで今日はその鍵を探るべく先達の言葉に耳を傾けてみましょう.

“私どもにとっての母語,つまり生まれてこのかた最初に身につけた言語,心情を吐露しモノを考えるときに意識的無意識的に駆使する,支配的で基本的な言語というのは日本語である.第二言語すなわち最初に身につけた言語の次に身につける言語,多くの場合外国語は,この第一言語よりも,決して決して上手くはならない.単刀直入に申すならば,日本語が下手な人は,外国語を身につけられるけれども,その日本語下手さ加減よりもさらに下手にしか身につかない.コトバを駆使する能力というのは,何語であれ,根本のところで同じなのだろう.
 通訳者にとってもう一つの商売道具である,外国語の力もまた母語の能力に左右されるということだ.”


 上の一文はロシア語通訳者でエッセイストであった米原万里(よねはらまり)さんの『不実な美女か貞淑な醜女か』(新潮文庫) からの引用(p278)です.
9歳から14歳までプラハにあるソビエト学校で学び,東京外国語大学のロシア語学科を卒業され,東京大学大学院でロシア文学を修めた米原さんの言葉だけに重みがあります.

 改めてこのエッセイを読んで,私の韓国語が遅々として上達しない理由が明確になりました.逆に言えば,上達させる方法も明確になったわけで嬉しくもあります.まずは日本語を磨くこと.読む,書く,話す,聞くこと.言葉の背景にある歴史や文化を理解すること.それらを踏まえた上で外国語(韓国語)を磨くことが大切だということですね.

 米原さんが師事した徳永晴美(とくながはるみ)先生も無自覚な留学の危険性について2007年11月17日に行われたセミナーで次のように述べています.

“留学中はなんとなくロシア語ができたつもりでおりますが,帰ってきて3ヶ月,半年も経つとあっという間に能力が落ちていきます.それはロシア語環境にどっぷりつかっていたために一杯になっていると思っていたザルを引き上げた途端,周りの環境がなくなって空っぽになってしまう,あの状態.(中略) 獲得したものを維持するためには日本でやらなきゃいけないという現実が待っています.それを自分でどうするか,という戦略までちゃんと立てないかぎりは留学のありがた味はあまりありませんね.私はそう思います.現地でやれることは何かと考えた場合に,だだ漫然と生活者としてそこで時間を過ごすんじゃない,あれをやるべきだ,これをやるべきだという戦略が,やっぱり欲しいですね.

それから留学を終えた後に維持する能力,つまりそこから,骨格をもらっただけですから後は肉をつけなければならない.それは自国,母国でやるよりほかないですね.そういう戦略を持たなければいけません.”

(2008年4月10日発行『JICインフォメーション第150号』JICロシア語セミナー報告「ロシア語を勉強する君へ」)

 徳永先生の話からも,単に留学したり,外国で暮らしたからと言ってその国の言葉が格段に上達するというのは幻想に過ぎないというのが解かります.これは5年余り韓国へ留学した私自身,つくづくそう思います.

結局はスポーツと同じで,外国語を身につけるのも日々の鍛練(トレーニング)が欠かせないということですね.そのためにも優秀なトレーナー(先生や教材)のもとでトレーニングを積みましょう

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