特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

語学の勉強を始める前に(1)

2008-02-08 23:24:22 | カンコクゴ試行錯誤
晴れのち曇り.最低気温1.2度. 最高気温9.7度.風の強い一日.午後に入り一段と風が強まった.

 2月2日のブログ“私は中学や高校の英語の授業でビートルズ(The Beatles)の『Yesterday』などの歌詞を和訳させられた世代である.”と書き,そのような授業は“英語嫌いの生徒にとっては英語嫌いに拍車をかけることはあっても,英語好きになることはなかったと思う.”と個人的な見解を述べた.

 私は英語に限らず,外国語はもちろん日本語さえ流暢に話せた試しがない.ハイハイを覚えた赤ちゃんのようにゆっくり,のんびり,たどたどしい.赤ちゃんはニッコリ笑いさえすれば周囲の人の心を一瞬にして明るくしてくれる.しかし,四十代を目前にした私がニッコリ笑顔を作っても,周囲の人が怪訝な顔をすることはあれ,心を明るくしてあげるという芸当は残念ながら持ち合わせていない

 そんな私も運用能力の有無は別にして,韓国語の勉強法については20年もの歳月を経てきただけあって自分なりのノウハウを持っている.

 「外国語の勉強に王道はない.」と言われるが,それは外国語に限らず学問全てに当てはまることだと思う.そうでなければ,受験勉強で苦労することも,学校以外に予備校や塾に通う必要もない.ましてや高いお金を払って駅前留学せずに済む.

 また,ビジネスの場面でも海外の取引先を前にしての外国語によるプレゼンテーションで緊張したり,英語の電話を受けた時に「I can't speak English. Hold on piease.」と言ったら「You can speak English very well.」と相手から返されて,冷や汗を流すなんてこともなくなるだろう

 何ヶ国語も流暢に話す外国語の達人もいるが,周囲の環境や本人の努力,あるいは生まれ持っての語学的なセンスも影響しているので,今この拙文(せつぶん)をご覧になっているあなたは何の不安も心配も必要ない.

 逆上がりや(縄跳びの)二重跳びが満足に出来ない私がイ○ロー選手に憧れトレーニングを積んだところで,彼のようになれるかと言えば答えは否だからである(「私はあなたと違って逆上がりや二重跳びは得意だ!とおっしゃられても困ります…」).

 外国語が上手くなりたいと思ったら,いきなり外国語のテキストを買って来て勉強を始めるのも良いと思う.良いと思うが,私はその前にその国のことについて書かれた本を読んでみることを強くお勧めしたい.もちろん日本語でだ.紀行文でも良いし,歴史書でも経済書でも構わない.これから自分が学ぼうとする外国語はどのような人たちが,どのような歴史や文化の下(もと)で使ってきたのかを概観するのである.概観することで,背景知識が身に付く.その国の著名人の名前,各都市の名前や地理,名物や伝統料理,歴史や慣習の知識があると,外国語を勉強する時に非常に役立つ.

 近くの図書館や書店で気に入った本を一冊借りて(買って)読んでみる.ネット書店で探しても良いと思うが,私は直接本を手にとって選ぶことを勧めたい.ネット書店の書評は当たり外れが大きいし,他の人が良いと思っても,あなたにとって適当かどうかはあなた自身が判断しなければならないからだ.

 一冊読み終わったら,巻末の参考文献のリストなどを参考にさらに二冊,三冊と読み進める.外国語の勉強はそれから始めても遅くはないし,効率も良い.いきなり原書を買いたい気持ちも解らなくはないが,原書と取り組むのであれば,なおのことその国のことについて日本語で書かれた本を読んでおいたほうが良い.

 私はどうしても原書から始めたいという方には,邦訳が既に出版されている本をお勧めする.そしてなるべくページ数の少ないものか,短編集や短いエッセイで編まれたもののほうが達成感を何度も味わえる.

 また,同じ原書でも子ども向けの本なら簡単だろうという淡い期待を抱いているとしたら大きな誤解,小さな六階だ.子ども向けの本は活字も大きいしページ数も少ない.しかもカラーのイラストもあって内容を理解しやすいと思いがちだ.しかし,使われている語彙が問題なのだ.日本の子ども向けの絵本などを思い浮かべていただきたい.

 ある日,ワン太くんが森をあるいていたら,ニャン子ちゃんと会いました.
 
 日本語を母語としている私たちには一見やさしい文章だが,日本語に関する予備知識が全くない人が辞書だけで「ワン太くん」は犬で男(オス),「ニャン子ちゃん」は猫で女(メス)ということを理解できたとしたら,吉○家で○丼の特盛りを味噌汁と生卵付きでおごってあげたい(何ならつゆだく,ネギ抜きにしても構わない). 

 「ワン太」も「ニャン子」も辞書に見出し語としては載っていない.そんな語彙が立て続けに出てきた日には,心地よい達成感の代わりに激しい挫折感を際限無く味わうことになってしまう.自分は子ども向けの本も満足に読めないのか…などと大きな勘違いをする.それではあまりにも悲しいではないか…(つづく).

最新の画像もっと見る