特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

国立中央博物館に行く

2005-11-02 22:26:46 | ソウル見て歩き
 晴れ時々曇り。最低気温11.1度。最高気温17.3度。

 「始業時間には仕事が始められるように準備しておくこと!」社会人になってからすぐに上司から口酸っぱく言われたのを覚えている。

 去る十月二十八日に開館した国立中央博物館(写真下)へ今朝(11/2)行ってきた。
 朝七時半に家を出てソウル駅でバスを乗り継ぎ地下鉄四号線国鉄が乗り入れている二村(イチョン=이촌)まで向かう。道路さえ空いていれば、新村(シンチョン=신촌)から二村(イチョン=이촌)まではバスのほうが圧倒的に早く着く。ソウル駅から乗ったバスは若い女性の運転手さんだったが、短いクラクションを合図にアクセルを一気に踏み込むと、見事なハンドルさばきでソウルの街を疾走してくれた。お陰で八時半前には二村(イチョン=이촌)駅に到着。博物館までは歩いてすぐだ。ちなみに博物館のある二村(イチョン=이촌)は日本人駐在員をはじめとした外国人が数多く暮らしている地域だ。
 


 博物館の敷地はとにかく広い。だだっ広いので寒風吹きすさむ真冬は寒そうである(真冬に国立中央博物館へお越しの際には防寒対策を万全に)。
 チケットブースは博物館の建物に行く途中に一箇所と博物館の建物入口脇に一箇所の併せて二箇所ある。どちらのブースでもチケットは手に入るが、博物館の建物入口脇のチケットブースのほうが風をしのげるので寒い日はお薦めだ。
 現在のところ今年(2005年)いっぱいは入場無料で観覧できるが、チケットブースで入場チケットを入手しなければならない。
 正直言って案内表示板が非常に判りづらい上に、当然のことながら初めて訪れるお客さんばかりなので、チケットブースに並ばずに、直接博物館の建物入口前に列を作って待っている人も見かけたが、まずはチケットブースに並んで待ちましょう。
 博物館の職員らしき方々の姿もちら見かけるのだが、ボランティアなのだろうかまったくもってやる気無し、というか職務放棄している。「博物館に入場される方はチケット販売窓口でチケットをお受け取りになり、右側の常設展示館入口からご入場下さい!」と一言言ってさえくれれば、私たち観覧客は混乱しないで済むのに、職員同士おしゃべりに夢中だったり、我関せずといわんばかりに一人でボーッと佇んでいたりする。こんな時は臆(おく)せずに、こちらから職員に訊くしかない。「どこに並べばいいのですか?」と尋ねたところ、「開館時刻(朝九時)になったらチケットブースが開くので、チケットを一人一枚貰って入場して下さい」とのこと。
 そんなこんなでチケットブースの前で並んで待っていると、右隣の窓口に携帯電話を手にしたおじさん(アジョシ=아저씨)が現われ、まだ開いていないチケット窓口のガラスをコンコンコンとしつこくノックした。ロールブラインド越しに係の女性が中から顔を覗かせる。するとおじさんは「警察学校のチケット315枚って連絡来てませんか?」と苛立った口調で尋ねた。窓口の女性は「連絡は貰っているが、発券はこれからだ」というような答えをした。おじさん(アジョシ=아저씨)は急いでいるのか「あ、今すぐ行きます。チケットは今から発券するそうなので・・・。そうですね五分くらい待ってもらえますかぁ~」とチケットブースの中にいる女性にも充分聞こえるような大声で携帯に向かって叫んだ。
 開館五分前になり、チケットブースがようやく開く。窓口の前にはかなりの人が並んでるのだが、係の女性は慌てるしぐさを全くもって見せない。昨日から窓口に貼ってあったであろう“今日の子ども博物館の入場券はありません”という紙を裏返すと、ヘッドセットをつけて発券機のスイッチを入れる。時計の針は既に九時を指している。
 結局発券が始まったのは午前九時過ぎ。私が並んでいた窓口は順調に進んだが、右側の列は窓口が開いているのに、一向に人がはけない。窓口に女性の姿は無く、ガラスの向こうでは発券機がひたすら入場券を吐き出し続けているだけだ。
 「開館時間を回ったというのに、チケットはどうなっているの?」右側の窓口に並んでいた女性が声を荒げる。すると前のほうに並んでいた女性が「それはそうなんだけど、今、団体客のチケットを発券しているみたいよ」と呆れ顔で応えた。どうやら先ほどの警察学校の団体客用入場券を発券しているようだ。その数315枚
 
 私は無事入場券を手に入れて一足先に館内に足を踏み入れたのでその後の顛末を残念ながら知らない。ただ入場してからしばらくして韓国映画『僕の彼女を紹介します』でお馴染みの制服姿(写真参照)の女性警察官の集団がやってきた。
 


女優のチョン・ジヒョン(전지현)が見学に来た訳ではありません。念のため・・・


 警察学校の団体とは、どうやら全員女性警察官のようである。さすがに三百名ともなると壮観だ。制服姿であっても親しい者同士腕を組んで館内を巡っていたのが韓国らしかった。警察官だからといっても二十代前半の韓国女性には変わりない。静かに秩序を守って観覧するという博物館においては至極当然なことを彼女達に求めること自体が間違っているのだ。ワイワイガヤガヤと携帯を取り出しフラッシュを使って写真を撮りあう姿がここかしこで見受けられた(一部の展示物を除いて、館内でのフラッシュを使わない写真撮影は許容されている)。
 

    


一階から三階の吹き抜けに展示されている敬天寺十層石塔(写真上)


 それにしても315人もの団体客が朝一番で来るのが分かっているのなら、チケットは前日のうちに発券しておけないのだろうか?それが不可能だというなら、せめて開館時間までに発券を済ませておくべきだろう。いくら入場無料期間だからといっても、それが最低限のサービスでありシゴトではないだろうか。

 新しい博物館の感想であるが、各展示物の解説文が小さく見づらいので、解説を聞けるMP3レコーダや映像によるガイドも見られるPDAなどを受付でレンタル(有料)したほうが楽しめるだろう。また、建物も広くなっただけでなく、展示方法も格段に良くなり快適に観覧が出来るようになったが、当然ながら展示物は以前のものと同じだ。従って以前何度も国立中央博物館を訪れた方にとっては目新しさと言う面で物足りなさを感じるかもしれない。全ての展示品を見て回るとなると、少なくとも三時間はかかる。開館時間(午前九時)に合わせて出かけるのがお薦めだ。

 追記(11/6):館内マップがフランスのルーヴル美術館のそれと酷似しているそうです(写真下は国立中央博物館の日本語と韓国語による館内マップ)。
 


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