特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

ストライキがお好き

2006-03-04 23:08:04 | 時事問題
 晴れ夜に入り激しい風と雨。最低気温-2.2度。最高気温10.0度。温度差が激しい。

 3月に入ってから韓国鉄道公社の組合員によるストライキ(파업(罷業)=パオッ)で全国の鉄道がマヒ状態に陥っていた。
 非組合員や幹部職員などにより一部の列車は運行されたものの、普段の3~4割程度の運行で、しかも韓国版「新幹線」にあたる「KTX」を中心に運行したお陰で、「セマウル(새마을)号」「ムグンファ(무궁화)号」などといった在来線はほとんど運休。鉄道公社のホームページには「KTXだけが列車なのか!」、「時間とお金を返してくれ!」、「仕事に就けず、明日食べるのもままならない人が多いというのに、仕事を投げ出してストライキなんて、まったく良いご身分だね」といった書き込みが相次いだ。
 ソウル駅をはじめとした全国の駅では切符の払い戻しや、仕方なく他の列車に乗り換える人たちの長い列ができた。鉄道公社と相互乗り入れをしている地下鉄1号線も運転間隔が普段の倍以上となったため、朝の通勤時間帯を中心に、駅も車内も利用客で溢れかえっていた。特に韓国では3月から新年度ということもあり、祝日明けの3月2日以降は、冬休みを終えた学生たちが一気に加わり混雑に拍車をかける結果となった。
 ソウル市では通勤時間帯を中心に路線バスの台数を増やしたり、終バスの時間を延長するなどの対策をとったが、普段よりマイカーやタクシーなどを利用する人も増えたため、ラジオの交通情報では幹線道路や高速道路での渋滞が連日報じられていた。
 そのストライキがようやく今日(3/4)の午後になってようやく終わったようだ。明日(3/5)の始発からは一部の列車を除いて通常どおりのダイヤに戻るとのことだが、車両の点検・整備や乗務員のスケジュール調整などに時間がかかるため、明日(5日)いっぱいは混乱が続くだろうとテレビのニュースでは伝えていた。ところで韓国の鉄道車両は普段、点検や整備がきちんとなされているのか疑問に思うのは私だけではあるまい。

 日本でも1970(昭和50)年代までは国鉄が毎年のようにストを繰り返していたものだ。その国鉄が1987年4月に分割民営化されて「JR」となってから今年(2006年)で19年になる。韓国鉄道公社も以前の日本の国鉄と同様に多額の負債を抱えている。鳴り物入りで登場した「KTX」の利用率が予想を大きく下回り、建設費回収の目途も立っていない。そもそも今回のストライキは「KTX」の運行により生じた4兆5千億ウォン(およそ5千5百億円)もの負債を韓国政府に対して全額肩代わりするように求めたのが発端である。鉄道公社側は「経営正常化」を理由に挙げているが、この分では「KR」の誕生もそう遅くはないかも知れない。

 そう言えば、今年(2006年)開催されるサッカーワールドカップの応援に、韓国のサポーター達を経由してドイツまで列車で向かうという壮大な計画が持ち上がっていたが、果たしてどうなったのだろうか?


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