晴れ!最低気温15度。最高気温25度。絶好のボート日和。
今日はいよいよ実技試験だ。
家を出たときは風は無かったが、漢江(ハンガン)の試験場に着いたら西風が吹き始めた。
すぐ近くにあるヨットの陸上保管場所の前を通ったら、マストが風で大きく揺れていた。波も若干あるようだ。
9時半集合。試験の順番をピンポン球で決める。1番から順に二人ずつ乗船して実技を行う。
乗船順に座席を移動したら書類への記入だ。まず誓約書が配られ、実技試験中に受験者本人の不注意で起こった事故については本人が責任を負う旨署名させられる。次に採点票が配られ、受検番号に名前、外国人登録証番号を記入。最後に同乗者の採点用紙にお互い参観者として自分の名前と外国人登録番号を記入する。
一級と二級の受験者代表が前に出て、ピンポン球を引く。少ない数字を引いたほうが先に試験が行われる。今日は一級が最初に実技を行うことになった。ボートは二艇。受験生二名に試験官が二名乗船する。前列左の試験官が右側の操縦席に座った受験生に指示を出す。後列左は参観する受験生。後列右、つまり受験生のすぐ後ろに採点用紙を持った試験官が座る。ちなみに試験の公正を期すため、試験官は全員地方の試験場から派遣されてきた試験官が努めることになっている。
私の番まで三十分以上は待っただろうか?
心では“楽しもう”と思っても、体は正反対に“ガチガチに緊張”している。試験場の試験官の方々が「そんなに緊張しないで、リラックス!」と声をかけてくれればくれるほど緊張度のレベルゲージが上がる。体の中では「警報ランプ」が点滅し始めた!こ、これはまずい。
順番が近くなり、救命胴衣を身につける段になって、気ばかり焦って救命胴衣に腕が通らない。「緊張しないで~」という試験場スタッフの声で我に帰る。気を落ち着けて救命胴衣を身につけてる。しばらくして私の乗るボートが入ってきた。出航前点検を行う。これは上手く出来た。
次に操船。離岸と変針は何とか無事こなせた。滑走速度まで増速して蛇行するのだが、ブイを一直線に見る針路に上手く船を持っていけない。日本では何の問題もなくこなしていたのに・・・。「蛇行開始!」の試験官の声で蛇行を始めたものの、二番ブイから三番ブイを蛇行する際の舵角が大きすぎた。「ブイから離れすぎじゃ~ん!」と思ったときには蛇行は終わっていた。試験官が一言「航路逸脱減点!」あらまぁ。
次に急停止。後進。これは特に問題なし。そして最後の人命救助。「右舷落水者発生」の試験官の声。舵を右に切り、ブイのところまで微速前進で接近。ブイに対して舵を思いっきり左に切り、無事救助成功と思ったら、試験官が「はい、操縦レバー微速前進のままだね。中立(エンジン停止)にしないとスクリューに巻き込んじゃうよ!はい減点ね」
私の頭の中にはスクリューで“メンチ”になった溺水者(できすいしゃ)の姿が浮かぶ・・・。と、同時に“メンチ”、“メンチ”、“メンチ”という言葉がリフレインされる。
試験官の「はい、じゃ最後に着岸して」の言葉に力なく「着岸」と復唱する私。頭から足の先まで石膏で固められたかのような感じ。ガチンガチンに緊張したまま着岸。左足と左手を同時に前に出してボートから降りようとしたものだから、試験に落ちる前に、あやうく漢江(ハンガン)に落ちるところだった。
採点結果はすぐに発表される。これも日本と違って、精神衛生上大変よろしい。その場で結果が判るので「不合格」なら諦めがつくし、すぐに気持ちを切り替えることができる。日本で試験を受けた時よりも明らかに操船に余裕がなかったし、緊張しまくっていたので諦めていたら「合格です!」の声。最初は「不合格」と聞き間違えたのかと思った。
どうやら外国人ということで大目に見てくれたようだ。ここは素直に感謝して、試験官と試験場の職員の方々にお礼を述べた。4月8日に「韓国のモーターボート免許取得宣言」をしてからほぼ一ヶ月で無事目標が達成された訳だ。
日本のボート免許を持っているし、実際ボートの操船技術は充分鍛えられていたと思うので、まさか実技試験でこんなにも手こずるとは考えても見なかった。何事も“甘く”考えていると“痛い目に遭う”ということだろう。
実技試験でのアドバイスは、とにかく緊張しないこと(これは日本のボート試験でも言えることだ)。「合格しなければ!」なんて考えていると余計緊張してしまう。私の場合は日本でのボート歴という“つまらないプライド”が大いに邪魔をしたのかも知れない。
とにかく結果オーライということで、今夜は久しぶりにささやかなお祝いでもするかな・・・。免許証は一週間以内に郵送されて来る。楽しみだ。
今回のボート免許取得にかかった費用は以下の通り。
筆記試験:4,000ウォン
実技試験:54,000ウォン
実技練習:350,000ウォン(希望者のみ3時間受講)
免許証郵送代:1,700ウォン
マークシート用サインペン:500ウォン
総 計:410,200ウォン(およそ41,020円)
写真は今まで四回足を運び、職員の皆さんに大変お世話になったソウルのモーターボート操縦免許試験場(今朝、実技試験前に撮影)。
追記(5/3):“メンチ”ではなくて、“ミンチ”ではないか?という貴重なご意見を戴きました。たしかに“ミンチ”と言いますが辞書には“ミンチ=メンチ”とありますので両方とも許容されているようです。私は『ミンチカツ』よりも『メンチカツ』というほうがしっくりくる古い世代なのかも知れません・・・。
今日はいよいよ実技試験だ。
家を出たときは風は無かったが、漢江(ハンガン)の試験場に着いたら西風が吹き始めた。
すぐ近くにあるヨットの陸上保管場所の前を通ったら、マストが風で大きく揺れていた。波も若干あるようだ。
9時半集合。試験の順番をピンポン球で決める。1番から順に二人ずつ乗船して実技を行う。
乗船順に座席を移動したら書類への記入だ。まず誓約書が配られ、実技試験中に受験者本人の不注意で起こった事故については本人が責任を負う旨署名させられる。次に採点票が配られ、受検番号に名前、外国人登録証番号を記入。最後に同乗者の採点用紙にお互い参観者として自分の名前と外国人登録番号を記入する。
一級と二級の受験者代表が前に出て、ピンポン球を引く。少ない数字を引いたほうが先に試験が行われる。今日は一級が最初に実技を行うことになった。ボートは二艇。受験生二名に試験官が二名乗船する。前列左の試験官が右側の操縦席に座った受験生に指示を出す。後列左は参観する受験生。後列右、つまり受験生のすぐ後ろに採点用紙を持った試験官が座る。ちなみに試験の公正を期すため、試験官は全員地方の試験場から派遣されてきた試験官が努めることになっている。
私の番まで三十分以上は待っただろうか?
心では“楽しもう”と思っても、体は正反対に“ガチガチに緊張”している。試験場の試験官の方々が「そんなに緊張しないで、リラックス!」と声をかけてくれればくれるほど緊張度のレベルゲージが上がる。体の中では「警報ランプ」が点滅し始めた!こ、これはまずい。
順番が近くなり、救命胴衣を身につける段になって、気ばかり焦って救命胴衣に腕が通らない。「緊張しないで~」という試験場スタッフの声で我に帰る。気を落ち着けて救命胴衣を身につけてる。しばらくして私の乗るボートが入ってきた。出航前点検を行う。これは上手く出来た。
次に操船。離岸と変針は何とか無事こなせた。滑走速度まで増速して蛇行するのだが、ブイを一直線に見る針路に上手く船を持っていけない。日本では何の問題もなくこなしていたのに・・・。「蛇行開始!」の試験官の声で蛇行を始めたものの、二番ブイから三番ブイを蛇行する際の舵角が大きすぎた。「ブイから離れすぎじゃ~ん!」と思ったときには蛇行は終わっていた。試験官が一言「航路逸脱減点!」あらまぁ。
次に急停止。後進。これは特に問題なし。そして最後の人命救助。「右舷落水者発生」の試験官の声。舵を右に切り、ブイのところまで微速前進で接近。ブイに対して舵を思いっきり左に切り、無事救助成功と思ったら、試験官が「はい、操縦レバー微速前進のままだね。中立(エンジン停止)にしないとスクリューに巻き込んじゃうよ!はい減点ね」
私の頭の中にはスクリューで“メンチ”になった溺水者(できすいしゃ)の姿が浮かぶ・・・。と、同時に“メンチ”、“メンチ”、“メンチ”という言葉がリフレインされる。
試験官の「はい、じゃ最後に着岸して」の言葉に力なく「着岸」と復唱する私。頭から足の先まで石膏で固められたかのような感じ。ガチンガチンに緊張したまま着岸。左足と左手を同時に前に出してボートから降りようとしたものだから、試験に落ちる前に、あやうく漢江(ハンガン)に落ちるところだった。
採点結果はすぐに発表される。これも日本と違って、精神衛生上大変よろしい。その場で結果が判るので「不合格」なら諦めがつくし、すぐに気持ちを切り替えることができる。日本で試験を受けた時よりも明らかに操船に余裕がなかったし、緊張しまくっていたので諦めていたら「合格です!」の声。最初は「不合格」と聞き間違えたのかと思った。
どうやら外国人ということで大目に見てくれたようだ。ここは素直に感謝して、試験官と試験場の職員の方々にお礼を述べた。4月8日に「韓国のモーターボート免許取得宣言」をしてからほぼ一ヶ月で無事目標が達成された訳だ。
日本のボート免許を持っているし、実際ボートの操船技術は充分鍛えられていたと思うので、まさか実技試験でこんなにも手こずるとは考えても見なかった。何事も“甘く”考えていると“痛い目に遭う”ということだろう。
実技試験でのアドバイスは、とにかく緊張しないこと(これは日本のボート試験でも言えることだ)。「合格しなければ!」なんて考えていると余計緊張してしまう。私の場合は日本でのボート歴という“つまらないプライド”が大いに邪魔をしたのかも知れない。
とにかく結果オーライということで、今夜は久しぶりにささやかなお祝いでもするかな・・・。免許証は一週間以内に郵送されて来る。楽しみだ。
今回のボート免許取得にかかった費用は以下の通り。
筆記試験:4,000ウォン
実技試験:54,000ウォン
実技練習:350,000ウォン(希望者のみ3時間受講)
免許証郵送代:1,700ウォン
マークシート用サインペン:500ウォン
総 計:410,200ウォン(およそ41,020円)
写真は今まで四回足を運び、職員の皆さんに大変お世話になったソウルのモーターボート操縦免許試験場(今朝、実技試験前に撮影)。
追記(5/3):“メンチ”ではなくて、“ミンチ”ではないか?という貴重なご意見を戴きました。たしかに“ミンチ”と言いますが辞書には“ミンチ=メンチ”とありますので両方とも許容されているようです。私は『ミンチカツ』よりも『メンチカツ』というほうがしっくりくる古い世代なのかも知れません・・・。
一発合格おめでとうございます!!
緊張して、とんだハプニング(??)の連続(??)だったようですが、とにかくめでたい!!
私が落ちたときには、メンチにしないように助けてくださいね。 笑。
え??
その前に落ちるなって!?
とにかく、おめでとうございます^^
試験場の方のお話しによると、私がソウルでモーターボートの免許を取った日本人第一号だそうです(外国籍では三人目)。韓国のモーターボート免許史上に名前を残してしまいました。
私は車もボートも安全運転がモットーですので、ご心配なく。
それにしてもソウルでモーターボートに乗る機会は果たしてあるのか知らん?