特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

先端IT製品にも勝るもの

2006-02-10 11:20:42 | 時事問題
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 韓国の空の玄関である仁川(インチョン)空港釜山港(プサンハン=부산항)を抑えて、2年連続輸出入1位を記録、韓国最大の交易港として確固たる地位を築いたそうだ。仁川(インチョン)空港によると、昨年(2005年)の総輸出入額は1,588億ドルで韓国全体の貿易規模(5千475億ドル)の29%にのぼるという。これは仁川港(インチョンハン=인천항)の3.8倍にあたり、仁川空港開港前の2000年金浦空港における総貿易額(1,053億ドル)の1.5倍で航空貨物の堅調な伸びを示している。仁川空港を通じた総輸出額を見てみると861億ドルで、半導体部品や無線通信機器、コンピュータなどの先端IT関連製品が全体の74%を占めているとのこと(記事出典元:毎日経済及び毎日経済TV(2006年2月10日付)より)。

 今日(2/10)このニュースを聞いて、日本で会社勤めをしていた頃のことを思い出した。韓国製半導体部品の輸入を担当していた時のことである。

 旅客機はお客さんとその荷物だけを運んでいると思われている方、意外と多いのではないだろうか?もちろん貨物専用機で運ぶ場合もあるが、旅客機も空いている床下の貨物スペースを利用して航空貨物を運ぶのが普通だ。具体的には郵便物や生鮮食料品など、急を要するもの。少しでも早く届けないと商品価値が落ちてしまうものだ。冷凍された海産物や、観賞用の熱帯魚なども飛行機で運ばれて来る。切花や球根といった植物や、フルーツの類も多い。精密機械や機械部品など、貨物自体がそれほど大きくなく、一個あたりの単価が高いものは旅客機で運ばれることも多い。その点、半導体部品も例外ではない。
 
 国際貨物は当然のことながら、輸入手続をしなければ貨物を受け取れない。日本の税関にどこの国からどんな品物を単価いくらで、誰が輸入したのかといったことが記載されている書類を提出し、通関手続きを申請する。海外旅行から帰ってきたときの手荷物検査をイメージしていただければ良いだろう。

 この通関手続きには優先順位があって、先ほど述べたように急を要するものから行われるのが普通だ。生鮮食料品はもちろんだが、人命にかかわるもの(血液や移植用の臓器など)や航空機や工場で使用するための修理部品などは最優先で行われる。その他にも以前は新聞や雑誌などに掲載するための写真フィルム(ネガ)や原稿なども多かったそうだが、ネットが発達した現在では、海外で発行されている新聞や雑誌といった紙媒体の定期刊行物にその座を取って代わられたようだ。
 
 韓国が得意としている半導体部品をはじめとしたIT関連製品は、基本的にどれも長期間の保存が利くものだ。途中で腐ったりして商品価値が無くなるといった可能性はほぼゼロに等しい。従って通関手続きが後回しにされることは珍しく無い。

 特に秋になるとこの傾向は一層ひどくなる。何故なら韓国産の松茸が出荷最盛期を迎えるからだ。この時期は日本での通関以前に、松茸を優先的に旅客機へ積み込むため、仕舞いには半導体部品を積み込むスペースが無くなって、仁川(インチョン)空港に積み残しという憂き目に遭うことも一度や二度ではない。しかも納期がひっ迫していたり、納期遅れをしているものに限って松茸に負けるのだ。

 お客様に対して「申し訳ございません。松茸の出荷が多くて予定していた飛行機に乗りませんでした」などと言えるはずは無く、たとえ言ったとしても、お客様には信じてもらえるはずもない。むしろ火に油を注ぐ結果となるのは目に見えている。「工場での生産が予定より遅れまして・・・」とかなんとか言いながら電話口でひたすら頭を下げるしかなかった。

 いくらIT技術が発達したとしても、松茸に勝るものはないだろう。


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