数日前から、各家庭に介護年金の通知が届けられた。
それからというものジジ・ババのうるさいことと言ったら。
あれからまだ数日しかたっていないのに、入れ替わり、立ち替わり、違う人から、10回以上も同じことを聞かされている。
「介護年金が高すぎる」、「勝手に天引きするな」、「サギにあったみたいだ」、「ドロボーだ」、「9万円あったら孫に何でも買ってやれる」云々と。
年寄りの話は、くどいし、長いし、うっとうしいし、同じ話を何度も、何度も聞かされる。
われわれに何とかしろと言われても、本当に困るのだが、それにしても小泉自民党は罪作りな政治をやっている。
実際には、医療保険や医療制度の改悪でこれからもっと高齢者の負担が予想されており、小泉自民党を呪うジジ・ババの声は日本中に響き渡るだろうが、どうして小泉自民党はこういうことをやりたがるのだろう。
どうせ年寄りは棺桶に片足突っ込んでいるのだから、死ぬ前に取れるだけ取ってやろうなどというのはあまり健全な考え方だとは思わない。
しかも、負担を少し増やしただけだと強弁しても、高齢者の自己負担が増加するのは一つ(介護保険)だけではないのだから、いくつか重なれば重税感はいやでも増していくし、高齢者の生活環境は相当劣悪化しており、これからもこの傾向は強まっていくものと見なければならない。
また障害者の自立支援法も施行されて重度の障害を持っておられる方の生活苦も心配だ。
それに、貧しくて医療費が払えない人々が激増していることも心配だ。
弱い者を踏みつけにして、踏んだり、蹴ったりというのは日本の社会のあり方としていかがなものか。社会全体が何か荒涼として殺伐としているのではないか。
社会に余裕がない、人々の暮らしに余裕がないからという人もいる。しかし、自分に余裕がないから、弱い者を踏みつけにしてもいいと言うことにはならない、社会的不正義と不公正を招来させてもいいと言うことにはならない。
社会に正義がなければ、人々はそれを求めるのである。
われわれの子どもの頃には、言葉の本当の意味での貧乏生活というのが存在し、そういうのを見たり、聞いたりするたびに、心がひどく痛んだことを覚えているが、われわれはあの頃と同じ痛みを感じ始めている。
この痛みは日本の社会がこれから大きく変わっていく予兆でもあるのかも知れない。