フランスの騒乱
われわれよりも、はるかに分別がありそうなブルジョアの機関紙『日本経済新聞』が、フランスの騒乱にいらだちと焦燥感を深めている。
フランスのデモ隊は、「守旧派」であり、「抵抗勢力」であり、「既得権を守ろうとしている」うんぬんと、あらん限りの悪罵を投げかけている。
ちょっと待ちたまえ、フランスは日本の植民地じゃないんだから、諸君たち日本のブルジョアがどうのこうのという問題ではないのではないのか。それに諸君たちはいささか冷静さを失っている。
しかもだ、「抵抗勢力」「既得権を守ろうとしている」というのは、こういう意味なのか?すなわち、若者や労働者が自分たちの利益を守ろうとすることが、「抵抗勢力」であり、「既得権を守ろうとしている」ということであるのか?
そういう点からするなら、フランスの若者や労働者がCPE(初期雇用契約=雇用開始してから2年以内には理由を告げずに労働者を解雇できるという法案)に反対するのは当然だ。労働者はいつ解雇されるかもわからない状態では安心して働けない。
労働者の雇用が保障されていない社会はブルジョアにとっての「天国」かもしれないが、それは労働者にとっての「地獄」でありうる。
こういう労働者と資本家の利害が鋭く対立する社会を作り出してきたのは、かつて一世を風靡した「新自由主義」という潮流だ。
今、この「新自由主義」は全世界的な規模で、自分たちが作り出してきた社会が本当はどのような社会であったのかという結果責任を問われはじめている。
労働者と資本家の利害が鋭く対立する世界で、ブルジョア(資本家)が自分たちの利益を追求するために労働者に犠牲を強要するのであればのであれば、労働者が自分たちの利益を守るために闘いに立ち上がるのは当たり前ではないか。
われわれはかつて諸君たちに、このまま小泉改革を押し進めれば、労働者と資本家の利益が激突する社会になってしまうがそれでいいのかと警告したことがあった。
小泉自民党と大資本の勢力はわれわれの警告を無視して前進した。したがって、現在、ヨーロッパやアメリカで起こっていることは、明日の日本でも起こるであろう。