サルの方丈記

キャンドゥーサルの日記風ブログ

ブナの森

2009-09-17 20:33:21 | Weblog
秋晴れというのに
今日の都会の空気は窮屈だ

あまりにもすばらしいブナの空気を吸ってしまったからだろうか

越後の棚田は
コシヒカリよろしく
頭を垂れて挨拶をしてくれ

野菜畑の老婆は
異国人を快く迎え入れ
白い歯を覗かせる

畦道で仰向けに休息せば
青空にどんどんと雲が育ち

廃墟と化したスキー場のリフト跡には
うすばかげろうが罠を仕掛け
まぼろしのゴンドラの音が風の中に消える

ブナの森は熊の爪痕よろしく
火照った身体をクールダウンさせ

雪の重みだろう
幹の根元が柔らかい曲線となり
曲線と曲線のあいだには
あちらこちらでその子供らが発育している

緑色の光の中で
静寂の時が生まれ
大地と森の空間は
無重力となる

ブナに混じって数少ない楓が
冬に向けて緑の唇に紅をつけている

鈴が鳴る

さる