しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「If I Were You ~こっちの身にもなってよ~」   加藤健一事務所 vol.90

2014年08月16日 | 観劇
「If I Were You ~こっちの身にもなってよ~」 加藤健一事務所 Vol.90

2014.8.9(土)~8.24(日)       下北沢・本多劇場   

作:アラン・エイクボーン  訳:小野島恒志 小田島則子
演出:高瀬久男

<ストーリー>
家具店のショールームに勤めるマル・ローデは妻ジルとハイスクールに通う息子のサムと3人暮らし。
娘のクリッシーは結婚して子どもが生まれたばかり。
夫はマルの部下のディーンで、近くに住んでいて、ディーンは毎朝マルを車で迎えに来る。
マルは家の事は女がする事となにもせず、ジルにも高圧的な態度が多い。
何でも出来る優秀なクリッシーは自慢の娘だが、運動が苦手で弱気なサムにも不満がありあり。
サムも母親をないがしろにする父親に反発して、2人は会話することもなくなっていた。
サムが学校で芝居をしたいとジルに許可のサインを求めた時も、それに知ったマルは書類を破り捨ててしまう。
ジルは毎日の生活に嫌気を覚えつつ、マルにもウンザリしながらも言い返せずにいた。
そんなある朝、目が覚めたマルとジルは身体が入れ替わっていた。
困惑する2人だが、ジルは取り敢えず身体にあった振る舞いをしようとマルに言う。
ジルは家庭でする事をメモしてマルに渡し、仕事に出掛けて行く。

身体は入れ替わったのは1日だけだったが、その間に2人は色々なことに気付かされる。

<キャスト>
マル 加藤健一
ジル 西山水木
クリッシー 加藤忍
ディーン 石橋徹郎(文学座)
サム 松村泰一郎(studio Life)

<感想>
始めは、マルの態度や言動が不愉快で、ジルの「男って」と言う嘆きに同調。
マルの表情も、本当に嫌な男と言う感じで、加藤さんってこんな感じだったっけ、と。
クリッシーの家庭も問題があるようで、何だか嫌な家族の様子。
見ているだけでも疲れる感じでこの先、どうなるのかと思ったら。
後半、2人が入れ替わると俄然面白くなる。
態度も表情もガラリと変わり、マルの身体の中に、ジルが居るということにとても説得力がある。
特別に女性らしい動きというのでもないが、可愛らしさがある。
それまでには全然なかったものだから。
今までとのギャップが見事だった。
ジルの方は、それまであまり表情がなかったが、お愛想笑いやイライラした様子や、表情が豊になる。
戸惑いも入っているし、複雑な感情がよく伝わって来る。
しかし、こんなあり得ない状況になった時、女性に方がしっかりと対応出来る。
それは現実もそうなのだろうと思う。
マルとジルのショールームの仕事振りの違い。
横暴な態度より、受け入れて認めてもらった方がいいに決まっている。
人とのコミュニケーションの大切さも、しっかりと教えてくれた。
マルがジルになって、サムと会話が出来て事をホッとして喜んでいたのも印象深い。

サムも始めはちょっと大人に見えたけれど、やっぱり子ども。
マルには反抗するけれど、ジルには甘えたりお姉さんをからかったり。
自然な感じでよかった。
お芝居の出し物は『真夏の夜の夢』で、サムの役はフルート。
練習で、シスビーになった時に台詞もあった。
Studio Lifeでも馴染みのある公演なので、思い出してしまった。
松村さんは、まだライフではシェイクスピアには出ていないかな。
ストーリーとしては、ディーンだけ心配。
家庭内暴力は、本当に治るのだろうか。
女の反撃に出る事を知ったら変わるのだろうか。
きっとマルの影響も大きいと思うから、上手く変われたらいいけれど。
大笑いするほど、可笑しくて面白くて、楽しかった。

「こっちの身にもなってよ」と、その立場になったから分かった事。
本当は、その立場にならなくても、思いやらなければいけないのだけれど。

セットは、全く動かすことなく家と仕事場のショールームとになる。
キッチン、ベッドルーム、リビングと仕切りはないけれど、動きでちゃんと別の部屋と分かる。
そんな所も、面白かった。

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