しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「神の球体」  レイモンド・クーリー 

2014年08月17日 | 読書
「神の球体」  レイモンド・クーリー   ハヤカワ文庫NV 上・下巻
The Sign             澁谷正子・訳

南極、アムンゼン海で棚氷の崩壊を英国の調査船から中継していたテレビニュースのクルー、グレース・ローガンとダルトン、フィンチ。
突然、棚氷の上空30メートルほどに巨大な球体が出現する。
それはキラキラ輝き、ゆっくり回転しながら生きているように色合いを変え消えて行く。
テレビ中継されたそれは自然現象とは思えず、誰も明確な説明は出来なかった。
神の啓示ととらえ、十字を切り涙を流す者もいた。
化学エンジニアのヴィンス・ベリンジャーとジャバ・コムロジーも可能な説を話し合う。
そんな中、ベリンジャーは何かに思い当り唖然とする。
それは2年前に死んだ親友のダニー・シャーウッドが手掛けていた研究だ。
ベリンジャーは、ダニーの兄マットに会いそのことを伝え、ダニーは生きているかもしれないと伝える。
しかし、その直後、ベリンジャーに脅迫電話が入り2人は襲われる。
一方、グレースの元にある情報が入る。
エジプト、ワディ・ナルトーンにあるシリア修道院で高名な老神父ヒエロニモが7か月前から、現れた球体と同じ絵を描いていると言う。
グレースたちは、シリア修道院へ向かう。
そして、そこでまた球体が出現する。









突然現れた球体を見て、神様を連想する。
そんなことは自分にはないだろう。
日本人の多くもそうだろう。
神の存在が日常の生活に深くかかわっている国だからこその物語。
神はひとつで、自分たちが信じているものだけが正しい。
今も昔もその精神は変わってはいないのか。
政治も宗教なしにはあり得ないのか。
不思議な気がするが、それが現実なのだろう。
大きな対立の原因にもなっているのだから。
しかし、それは後から人間が自分たちの都合の良いように作り出したものでもある。
最後にヒエロニモ神父の伝えた言葉が本来の思想なのだ。
それに近いのは日本人かも知れない。
無宗教と言われるが、祈りの気持ちは持っている。
特定の神様ではないけれど、祈る。
固執しない分、他の宗教にも寛大になれる。
穏やかなのが1番いい。
ストーリーは割と単純で、SFっぽい要素もあり、アクションシーンもたくさん。
映画向きな物語。



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