ドラッカー氏は、企業経営において「マネジメント」というコンセプトを追求し根付かせた張本人です。
そのドラッカー氏によると、「マネジメント」には4つのミッションがあると言います。
(p88より引用) マネジメントの仕事ぶりとは、明日に備えて優れた仕事をすることを意味する。
事業の将来は、四つの分野における、今日のマネジメントの仕事ぶりによって左右される。
第一に投資である。・・・第二に人事である。・・・第三にイノベーションである。・・・第四に戦略である。・・・
その中のひとつ、「人事」については、以下のような要諦を示しています。
「人の事」を左右するのですから、それぞれの箴言は心しなくてはなりません。
(p121より引用) 第一に、人事の失敗に責任を負う。自らが任命して、成果をあげられなかった者を責めることは責任逃れである。人事を行なった者が間違ったのである。
第二に、成果をあげられなかった者を再度動かす責任を果たす。・・・
第三に、新しく任命された仕事で成果があげられなくとも辞めさせたりしない。適所でなかったにすぎない。・・・
特に、第二の要諦は「人事の継続性」をどう実現するかが肝になります。
人事の担当者が代わらなければ、もとの異動をセットしたその担当者の差配の中でケアすることになります。それでも、「成果をあげられなかった」という「実績」の人を動かすのですから、新たな受入側の組織も普通はいい顔をしないものです。その中で動かそうというのですから、よほど人事担当が本気で取り組まなければ(そういった異動は)実現しません。
人事担当者も代わります。そうなるとますますケアすることは難しくなります。
システムとして「ケアの継続」を担保する仕掛けをなんとかしなくてはなりません。
ヒューマンリソースマネジメントに関してドラッカー氏は、さらに進んで、「トップマネジメント以外はすべてアウトソーシングできる」と言います。
(p11より引用) ネクスト・ソサエティにおける企業の最大の課題は、社会的な正統性の確立、すなわち価値、使命、ビジョンの確立である。他の機能はすべてアウトソーシングできる。
ただ、表層的なアウトソーシング信仰は極めて危険です。アウトソーシングを進める際には、そのスキーム全体をマネジメントする仕掛けが非常に重要になります。
アウトソースしたら、あとはアウトソーシング先の自主性に任せて御仕舞いというわけにはいきません。戦略的アウトソーシング成功のためのKSFは、アウトソーシング先の自主・自立性の尊重はもちろんですが、アウトソーシング元との密な連携もやはり重要です。
実際上は、アウトソーシング先との「価値・使命・ビジョンの共有」だけではコントロールできません。現実的な連携を図るためには、「プロセスベースでのリアルな連動」が不可欠です。
アウトソーサーをコントロールする「プロセス構成能力」も、今日の企業における強力なコアコンピタンスとなりうるものです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます