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閉ざされた自由 (ニッポン・サバイバル(姜 尚中))

2007-04-18 23:43:55 | 本と雑誌

 姜尚中氏の本は初めてです。

 本書は、集英社女性誌ポータルサイト(s-woman.net)に掲載した連載記事をもとに加筆修正したものとのことです。記述は平易で非常に読みやすく、著者の考えがストレートに記されています。

 内容は、

  1. 『お金』を持っている人が勝ちですか?
  2. 『自由』なのに息苦しいのはなぜですか?
  3. 『仕事』は私たちを幸せにしてくれますか?
  4. どうしたらいい『友人関係』を作れますか?
  5. 激変する『メディア』にどう対処したらいい?
  6. どうしたら『知性』を磨けますか?
  7. なぜ今『反日』感情が高まっているの?
  8. 今なぜ世界中で『紛争』が起こっているのか?
  9. どうしたら『平和』を守れますか?
  10. どうしたら『幸せ』になれますか?

の10章で構成されていて、たとえば、第二章「『自由』なのに息苦しいのはなぜですか?」では、以下のような記述があります。

(p41より引用)  ある学者によると、自由というのは、今そこにあるものだけでなくて、潜在能力(ケーパビリティ)がある社会こそが、真の意味での自由な社会だということです。
 どういうことかというと、今、自由はその選択はしていないけれど、将来の潜在的な可能性として、いくつかの選択肢を自由にチョイスできると、多くの人々が確信を持てる社会ということです。つまり選択の複線化が可能である社会ならば、それは潜在能力のある社会ということになります。
 ところが、そのケーパビリティが断たれている社会というのは、一見、自由のようであっても非常に息苦しい。なぜなら敗者復活戦が難しいから。

 現代社会全般に通じる指摘ですし、特に企業に当てはめると「メンタルヘルスの問題」につながるものです

 「自由な選択」のよさを活かすためには、社会の中に、チャレンジにつきものの「失敗」を許容する度量がなくてはなりません。

 「自由」を享受するチャンスがありながら、他方、「自由であるがゆえの」圧迫感や閉塞感を感じてしまうのは不幸です。

ニッポン・サバイバル―不確かな時代を生き抜く10のヒント ニッポン・サバイバル―不確かな時代を生き抜く10のヒント
価格:¥ 735(税込)
発売日:2007-02

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