先に、元帝国ホテル総料理長村上信夫さんの自伝「ホテル厨房物語」を読んだのですが、その中に三國さんも登場していました。
その記憶が残っていたせいか、いつも行く図書館の書架で目についたので手に取ってみました。北海道増毛の漁師の家に生まれ育った「世界のトップシェフ・ミクニ」の自伝的エッセイです。
村上さんの本、三國さんの本、その両方を読んでまず誰でも気づくだろう点。
料理に関心を抱いてから目標に向かっての修行時代の頑張り、その努力が報われての大抜擢、そしてそのチャンスを活かして見事に超一流の料理人として栄達・・・。村上さんも三國さんも本当によく似たタイプなんですね。(「鍋磨き」は一流シェフの登竜門です)
今の名声に至るまでの努力は並大抵のものではなかったに違いないのですが、料理に対する一途な想いがお二人を支えたのでしょう。その激情がストレートに響いてきます。
本書を読んで、一番印象に残ったくだり。もちろん超一流の料理も味わいながら、予想外に“マヨラー”だという三國さん、カレーもラーメンも大好きとのこと。
(p174より引用) 要はピンからキリまでなんでも食べるということ。「飯は食ってみろ、人には会ってみろ」というのがぼくのモットーだ。食わず嫌いは損をする。世の中の味の平均値や時代の傾向、味の好みを知っておくことは、料理人としても必要なことだ。
ちなみに、三國さんが若いころ腕をふるった“札幌グランドホテル”は、札幌出張の折にはよく利用させていただいていましたし、“帝国ホテル”も以前の職場のご近所さんでときどき(仕事関係ですが)お世話になっていたので、本書で紹介されている数々のエピソードには一層の親近感が沸いてきますね。
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