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知識社会のさわり (これから知識社会で何が起こるのか(田坂広志))

2008-02-10 15:37:16 | 本と雑誌

 本書は、次なる社会として多くの識者が唱えているいわゆる「知識社会」の特質を、著者なりにサクサクと描き出したものです。

 2003年の出版ですから、(当時でもそうだったかもしれませんが、)今の時点では、斬新な指摘に溢れているとは言い難い内容です。
 しかしながら、コンセプトワークとしては勉強になりますし、本書で指摘されたポイントは、(残念ながら、未だに達成できていないという意味で)今でも通用する内容です。

 たとえば、 「ナレッジ・マネジメント」の問題点を指摘しているなかのフレーズです。

 
(p104より引用) 現在の日本企業に根強く存在する「情報囲い込み」の文化を、新しい「情報ボランティア」の文化へと変革していくこと。

 
 また、マーケティング関係のコメントのいくつかでは、こんな言い回しをしています。

 まずは、「商品生態系」というコンセプト
 商品やサービスのとらえ方として分かりやすいメタファだと思います。

 
(p130より引用) 現代の市場では、「商品」と「商品」が戦っているのではなく、「商品生態系」と「商品生態系」が戦っているのです。
そのため。たとえその「商品自身」が「良い商品」であっても、その商品が所属する「商品生態系」が全体として魅力の無い生態系であった場合には、「良い商品を作っても、売れない」というパラドックスが起こるのです。

 
 また、購買プロセスにおける「中間業者」を指した「ニューミドルマン」という呼称。

 
(p137より引用) ニューミドルマンとは、「販売代理」のビジネスモデルではなく、その逆の「購買代理」のビジネスモデルで仕事をする「新しい中間業者」なのです。

 
 企業の立場からの「販売強化」ではなく、顧客の立場にたった「購買支援」という機能の高まりの指摘です。

 さらに、これは、よく言われる言い様ですが、「顧客の潜在ニーズ」への対応についての名言の紹介です。

 
(p169より引用) 「顧客の潜在ニーズ」を「予測」できないとすれば、どうすればよいのか。
あの「パーソナル・コンピュータの父」、アラン・ケイの言葉を、思い起こすべきでしょう。
未来を「予測」する最良の方法は、それを「発明」することである。

 
 最後に、これは私も常に心しなくてはならないと感じた部分です。

 
(p115より引用) 「言葉の力」は、実は、これからの知識社会においては、極めて重要な力になっていきます。
なぜなら、これからの知識社会においては、世の中に、ますます膨大な情報や知識が溢れ、多くのメッセージが溢れてくるからです。
そして、そのような時代だからこそ、心に深い印象を与える言葉を語る力、短い言葉に気持ちを込められる力、長く記憶に残る言葉を発する力、そうした「言葉の力」が求められるのです。

 
 ここは、まさに「人」の出番ですから。

 

これから知識社会で何が起こるのか―いま、学ぶべき「次なる常識」 これから知識社会で何が起こるのか―いま、学ぶべき「次なる常識」
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2003-07

 

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