いつも利用している図書館の「新着書」のリストを眺めていて、目を惹いたタイトルだったので手に取ってみました。
著者の谷口隆さんは数学者です。谷口さんは、子どもを相手にした算数の学びの機会を通して、数々の興味深い気づきを得ていきました。
その中から2つ、特に印象に残ったものを紹介しましょう。
まずは「第3話 マルとペケ」から。
(p31より引用) マルとペケは特定の意味をもつ記号だが、 元来これらには、良し悪しの価値判断は含まれていない。ベケとは、考える素材の提供である。そう考えることが本当の学びのための出発点になるのではないだろうか。
まさに首肯できる捉え方ですね。
そしてもうひとつ、「結び‐誤りは宝物」から。
「ペケ」は多くの場合“誤り”に対して記し付けられますが、だからといって誤り自体「悪い」わけではありません。“誤り”には大きな効用があります。
(p133より引用) 「誤った」認識は、(子どもは将来的にはそれを手放すことになるのだけれど)そのときは過渡的な理解として、次のより正確な認識に至る足場になるのである。
「誤り」は“理解への途中ステップ”だと考えるわけです。そうすると、「誤り」にゆとりをもって接することができるようになります。
(p134より引用) 誤りを見守ること。それは考えることの価値と誤りのもつ可能性を十分に認め、それぞれの誤りの効果ある活かし方について考えを巡らせることである。
“誤りを見守る”というフレーズは、とても大らかで優しさやゆとりを感じるいい言葉だと思います。
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