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「武士道」解題 (李 登輝)

2006-04-06 23:53:22 | 本と雑誌

 以前、新渡戸稲造氏の「武士道」を読んで、(必ずしも「武士道」そのものの思想に全面賛同というわけではないのですが、)新渡戸氏の高潔な気概とその趣旨の明朗性にはいたく感銘を受けました。

 その「新渡戸武士道」を、かの李登輝氏がいったいどのように理解・咀嚼し、そしてどう世の中に発信しているのか興味を持って手にしたのが、この本です。

 著者の李登輝氏は、ご存知のとおり前の台湾の総統です。
 氏は、台湾生まれですが、日本植民地下の台北高等学校卒業後、京都帝国大学農学部で学んだ経歴をもっています。その点では、はじめての台湾出身の総統ではありますが、その思想的ベースには戦前の日本教育も大きな影響を与えています。

 さて、本書を読んでみての感想です。
 正直、当たり前ですが、「新渡戸武士道」は、李登輝氏の頭と口を通して理解するべきではなく、やはり、新渡戸氏の著作を直接読まなくてはならないというのが「いの一番の印象」です。(「武士道」の原書は英文ですが、せめて岩波文庫の日本語版を。(もちろん私が読んだのも日本語(岩波文庫)です))

 いろいろな言いようがあろうと思いますが、(よく言えば)李登輝氏が現代の鉄人政治家のひとりとも言われるほどの人物であるが故に、新渡戸氏の思想がさらに大きな(一部別の?)皮膜に包まれてしまったような気がします。私の感じた「武士道」での新渡戸氏のメッセージは、もっとサクっとしたこ気味の良いものでした。

 こういった著名な方が書いた解説本(解題)は、対象となった書物(この本の場合は新渡戸氏による「武士道」)を通して、結局、著者自身(今回は李登輝氏)を読むということになるのです。それはそれで、面白いのですが・・・

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