著者の泉麻人氏は、1956年生まれ、私より3歳年上になりますが、ほぼ同世代。本書に取り上げられている楽曲や歌手のかなりのところは私の記憶にもあります。
小学生のころは「ロッテ歌のアルバム」が流行歌の入り口でしたし、当時のアイドルの登竜門だったスカウト番組「スター誕生!」も結構見ていました。中学生のころは、「平凡」「明星」の付録の歌本が放課後のバイブルでした。グループサウンズからフォーク、ニューミュージック・・・。初めて買ったレコード(LP版)は吉田拓郎でしたね。フォークといえば「拓郎・陽水・かぐや姫」の世代ですから。その後、高校時代になると、いきなりキャンディーズに傾倒し、1978年4月4日の後楽園球場での解散コンサートでは一塁側スタンドから紙テープを投げていました。
と、こういった時代を共有した方であれば、本書を書くにあたっての泉氏の選曲やその曲の背景・思い出話等々には、少なからず共感されるのではないでしょうか。「三丁目の夕日」に代表される「昭和懐古ブーム」にシンクロする世代にはぴったりでしょう。
(p313より引用) ルビーの指環/寺尾聰 ♪「指輪」ではなく「指環」と書く。・・・この曲が実感としての「流行歌」の最後-という感じがする。
もちろん、中には、泉氏ならではの「さすがに、ここまでは知らないだろう」といったマニアチックな歌手や曲も登場します。(ただ、それらのかなりの部分も、うっすらと思い出すことができます・・・)たとえば、
(p248より引用) まちぶせ/三木聖子 ♪夕暮れの街角のぞいた喫茶店~大ヒットした石川ひとみヴァージョンよりも、オリジナルのこちらの方が思い入れは強い。・・・
さて、本書、「昭和歌謡年鑑」といった体裁ですが、実体的には、「昭和の歌謡曲」をモチーフにした泉麻人氏の「私小説」ならぬ「私エッセイ」という趣きの内容です。
誰しも「流行歌」にまつわる思い出話のひとつやふたつはあるでしょう。
私の場合も昔を思い出しつつ列挙してみると、こんな曲が並びます。
レット・イット・ビー(ビートルズ) ・冬の散歩道(サイモン&ガーファンクル) ・ジョリーン(オリビア・ニュートン・ジョン) ・モジリアニの少女(あべ静江) ・愛の光(アリス) ・恋の風車(チェリッシュ) ・哀愁のシンフォニー(キャンディーズ) ・ダンデライオン(松任谷由実) ・赤いスイートピー(松田聖子) ・いとしのエリー(サザンオールスターズ)・・・。
ただ、ここではそれぞれのエピソードは書かないでおきましょう。
僕の昭和歌謡曲史 (講談社文庫) 価格:¥ 600(税込) 発売日:2003-04 |
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