先のBlogに、「本田氏は、(予想外?に)バランスのとれた実践的な考え方の持ち主である」と書きました。
以下に示すような、「コストについての考え方」にも表れています。
(p88より引用) いったい、コストというものをどういうふうに考えるべきだろうか。
私は材料を仕入れて、商品をつくって、販売してお客さんからおカネが入るまでの経費いっさいがコストと考えるべきだと思う。ところが工場は工場だけのコストを考えるところに間違いがあるのだ。・・・だから一つの企業におけるコストというものは、そこまで一貫して、販売店のセールスのことまで考え、銀行の金利まで考えたところのものでいくらだということで考えるべきである。
まさに「部分最適」と「全体最適」の問題です。
本田氏は、バリューチェーンを広く捉えます。
(p89より引用) ところが、工場だけのコストダウンばかり気をつかうから、会社はますます苦しくなる。むしろ工場ではコストダウンしなくて、よけいカネを出しても、能率のいい、アクセサリーなんかもつけて、セールスマンがいなくても、お客さんの方から現金で買いにくる、そういうような品物をつくったら、工場でコストダウンしたのと同じことになる。・・・
あるセクションだけのコストダウンというものはあり得ない。ところが大体においてセクショナルなコストダウンが多い。それで売れなくしている。
生産工程でのコストダウンは原価を下げる基本ですから当然重要です。
が、つくることだけのためのコストダウンを追及すると商品の魅力が薄れていきます。コストダウンを図るために、高性能や高品質、魅力的なデザインなどを犠牲にする可能性があるのです。
そういった商品は、売れなかったり、売れた後でクレームが出たり、はたまた、折角のお得意さんを失ったりと、結局のところ在庫費用・サポート費用・営業費用等々が余計にかかることになるのです。
(p91より引用) 売りやすい品物をつくってやることがコストダウンだということを第一の条件に工場なり研究所は考えなければならないということだ。
売れなければ、すべてがコストです。
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