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おはようございます。

昨日は 立教大学21世紀社会デザイン研究科立花隆ゼミの友人たちと、立花先生と研究室で、「企業事件史」の打ち合わせ(間もなく、立花ゼミHPに登場します。乞 ご期待

で、その時リクエストがあった「口裂け女」の発祥についてですが、かつて調べて、ある雑誌に原稿を書いていました。
今日は、その原稿を元に口裂け女のお話を少々。
口裂け女、ご存知のない方のためにまずご紹介すると・・・

「ねえ、私、きれい?」
そうだと答えると、長い髪をかき上げ、さらにこう聞いたのです。
「本当に、私、きれい?」
そう再度、問い掛ける女をよく見ると、唇は真っ赤な血の色をし、なんと耳元まで裂けていました。ワーッと言って逃げ出すと、その後を鎌を持って追いかけて来るのですが、その足の速い事、速い事。
1979年ごろに、この話は大流行します。が、あの頃、包丁やら鎌を持っていて襲い掛かるというので、皆がパニックになって、登校拒否や父兄が交代で送り迎えしたりと大騒ぎでした。
証言をまとめると、口裂け女は長髪に大きな白いマスクをした若い女で、前を通り過ぎようとした女の子に「私、きれい?」と呼びかけ、マスクを外して素顔を見せる。その口は、耳まで裂けている奇怪な姿で、逃げる女の子をどこまでも追いかけてきた、ということです。
が、見たという人を知っているか?と尋ねると、はたと止まり、「友達の知り合い」と、いう答が返ってきます。
しかし、改めて考えると「誰だろう?」と首を傾けることに。
これこそまさに都市伝説の特徴。「友達の友達の話だけど」なんて言いながら、話題にするのですが、実際には、友達の友達が誰なのか特定できないものです。
この口裂け女、2000年代に入って、再び現れますが、今度は韓国でした。
韓国では、大きな社会問題になって、怖がる子どもたちに先生が「根も葉もない」と教えて鎮めようとしているようですが、韓国の「口裂け女」は「きれいじゃない」と答えると、刃物でのどを切り裂くと残酷さパワーアップ。一時、子どもたちはパニック状態になったそうです。
韓国の口裂け女伝説は、インターネットから流行りだしたようですが、一応、整形手術に失敗した女性が自殺。恨みを晴らそうと、釜山から上陸したんだというオチもついています。
この口裂け女の発祥ですが、最初に目撃されたのは、1979年、昭和54年の夏ごろで、岐阜県美濃加茂市で最初に目撃されたという説と、宮崎県宮崎市という説があります。
初期の情報では、外見的な特徴は、色白で痩身。身長は155cmくらい。白く大きなマスクをしている場合がほとんどで、服装は赤いコート、赤いマントなど、赤系統の服を着ているという情報が多い。赤いセリカに乗っており、年齢が確認されている例では20歳。
作家の清涼院流水さんは、「口裂け女」のモデルは、明治の中頃、滋賀の信楽にいた「おつや」というお百度参りの女性だと言っています。
それが、1978年12月、岐阜で子供の誘拐事件があり、「口裂け女」の話は、それ以降、急に広まったようです。もともと「おつや」の話を聞いていた岐阜の子ども達が、誘拐事件を知って噂し出したと考えられます。
子どもの都市伝説といえば、1950年代、日本では「さっちゃん」が出現します。これは、童謡「さっちゃん」が事故や病気で死んでしまうという裏バージョンや、下半身をなくしたという幻の4番目の歌詞をつけて、これを知った人間は友人に回さなければ、さっちゃんの呪いで死ぬというチェーンメール版などがありました。
1950年代といえば、東西冷戦を軸とした戦乱の時代でした。朝鮮戦争、スエズ戦争、キューバ革命と騒然とした時代に、アメリカでは都市伝説の初期事例とされる「250ドルのクッキーレシピ」日本では、「さっちゃん」が出現したのです。
ちなみにアメリカの「250ドルのクッキーレシピ」の話は、「ダラスにある百貨店ニーマン・マーカスのレストランで食事をしたら、おいしいクッキーが出てきたので、レシピを聞いた。すると、あとで自宅に秘伝レシピの伝授料として250ドルもの請求書が来た。悔しいので、レシピのコピーをできるだけ多くの人に回してほしい」というメッセージに、チョコチップ・クッキーのレシピが添付してあるもの。チャーンメールの原型で、これは今でも、世界中を廻っているようです。
なお、直接的な関連性はなさそうですが、はるか以前の江戸時代にも口裂け女の話があります。
寛政の頃、江戸は新宿麹町十二丁目の大黒屋長助の下人、権助が口裂け女を目撃しているのです。それは・・・

大雨の夜、権助が歩いていると、前のほうをずぶぬれになりながら歩いている女がいた。気の毒に思って傘に入れてあげようとすると、その女は『口耳の際まで裂けて髪掻っ捌きたる化け物』だったそうだ。権助はその後精神に異常をきたし、間もなく死んだと伝わります。
ボクが気になるのは、「さっちゃん」から20年後に「口裂け女」が流行り、その頃は、ソ連のアブガニスタン侵攻、イラク・イラン戦争。総理大臣中曽根康弘の「日本列島不沈空母構想」発言があって、着々と時代は、戦争に向っていました。
そして、20年たって2000年代に入り、再び「口裂け女」が現れ、それと同時にニューヨーク同時多発テロ、アブガン戦争、イラク戦争と戦争が続きました。
今年、「口裂け女」の映画公開されますが、新たな戦争の兆しでなければいいのですが「わたし、キレイ?」


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