肘の手術のことを続ける。
今回の手術は左肘の関節。
昨年末に、出張先で、朝目覚めたら左肘が痛かったことを書いた。単に、寝相が悪くしびれたのかと思って新幹線に乗ったら、東京へ向かに従って左半身が麻痺し始め、東京駅から救急車で運ばれた。
その時の診断は、偽痛風で、レントゲンやCTなど様々な検査をしても明確な原因が見つからなかった。が、実は、肘の関節にひびが入っていたのだ。
それがいつの間にか割れ、肘の動きを邪魔していた。
GWに、筍掘りに誘われ、そこのメンバーの一人、鍼灸師の方が肘に触り「変形しているから、すぐに整形で検査してもらって」と助言され、再検査して肘の関節の骨折が見つかった。・・・で、手術。
全身麻酔は初めての経験だった。
酸素マスクをつけ、点滴が挿しこまれる。
「次は、麻酔を入れた点滴ですから、変だったらすぐに言ってください」
看護師のそういう言葉と共に、点滴の薬がもう一袋、取り付けられ、やがて頭を中心としたあちこちから、ぼーっとしてくる。
スムーズに麻酔状態に着地させようとでもするように、右の手を、看護師が握ってくれた。覚えているのは、そこまでだった。
(・・・何か嫌な夢。)
はっきり覚えていないが、よく知っている町の通りひとつ裏側に全く知らない風景が広がり、僕はそこでなぜか事件の犯人を追いかけている。が、つかまらない。
それどころか、アウェーのせいで、僕は不利な様子。
逆に追いつめられた。
目黒川のような、コンクリートだらけの川の岸に逃げた。
その時、どこからか激しく僕の名を呼ぶ。
(・・・同僚の刑事?いや、違う。)
だが、結構激しく野太い男の声だ。
(・・・いつの間に、僕が刑事?)
混乱しているうちに、強引にシチュエーションからすくいあげられるような感覚。目をあけると、僕の顔を覗き込む2人の中年男の顔が見えた。
医者だ。
咄嗟に思ったのは、「生還」の二文字。
医者たちが死の淵から呼び返そうと呼んでくれたように思えた。父の死や愛猫ミーの死に立ち会って、なんとか死から呼び返そうと大声でその名を呼んだことが思い出された。
「はい」一言こと答えるのが精いっぱいで、また眠りについた。
今度は夢も見ず、目が覚めると病室だった。