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放送作家村上信夫の不思議事件ファイル

Welcome! 放送作家で立教大大学院生の村上信夫のNOTEです。

「千葉女子大生殺人事件」と「首都圏女性11人殺人事件」

2010年02月16日 04時59分15秒 | ニュースはロバの耳

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「千葉女子大生殺人事件」の記事を読んで、ある殺人犯のことを思い出した。
「松戸OL殺人事件」「首都圏女性11人殺人事件」では、容疑者として逮捕されたものの冤罪を訴え無罪となり、その5年後、「足立首なし死体焼殺事件」で無期懲役の判決が下った小野悦男である。
 事件の概要は、「事件史探求」サイトに要領よく紹介してあるので、それを下記に転載する。が、暴行焼殺という手口がよく似ている。
 犯罪には個性があって、現場に立つと同一犯かどうかわかるという。
 僕のような商売の人間も調書などを丹念に読んでいるうちに、同様な感じがすることがある。が、まさにデジャブー。
 そう思っていたら、「VOICE」に「捜査はパズル」という記事で、高山正之(ジャーナリスト)さんも小野悦男のことを書いていた。

 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20091214-00000001-voice-pol

 最後に高山正之さんは、こんな風にまとめている。
「小野はやっと有罪になったが、死刑は免れた。だから今回の事件を聞いたとき、彼が早めの出所をして犯行に及んだのかと思った。それほど昔の彼の手口に似ている。
 彼の事件と比べながら、ふと事件の態様がずいぶん変わったように思った。あのころ事件の登場者は素通しのガラスだった。周囲の人が生活の隅々まで知っていた。
 それがいまは曇りガラスになった。指で拭くと見知らぬ生活が次々に出てくる。捜査はその人生のパズル解きに変わってきたように見える」。

 「連続殺人」では小野悦男は“冤罪”とされた。
 そのため11人もの殺人事件は、そのまま迷宮入りした。
 小野だったのか、あるいは別に真犯人がいるのか ・・・。
 冤罪事件が起こると冤罪にされた人間にのみスポットが当たる。時に、被害者の家族までが冤罪作りに関わったような世論さえ生まれる。
 肩身が狭くなると言った被害者家族がいた。
「光市母子殺人事件」で死刑判決が出た時に、被害者家族に「今回の判決が死刑判決のハードルを下げたことをどう思うか」と、まるで家族が死刑判決を下したかのような質問をした記者がいたが、類した感情である。
 報道も、冤罪つくりに加担した罪の意識からか、真犯人追及の声はあげない。
 小野悦男の時には、「おわび記事」の嵐だった。
「千葉女子大生殺人事件」は、小野悦男を思い出させ、また、巷間言われているように、「柴又三丁目女子大生殺人放火事件」を想起させた。
 千葉の事件は容疑者が逮捕されたが、それ以外、どの事件も今だ真犯人は明らかになっていない。
 亡くなった女性にとって、家族にとって、事件は終わっていない。

 http://gonta13.at.infoseek.co.jp/newpage333.htm 「事件史探求」から転載
 
-経緯-
昭和49年7月3日千葉県松戸市の信用組合職員・宮田早苗(当時19歳)さんが何者かに暴行、殺害されたのをはじめ、この夏、東京・埼玉・千葉県の首都圏で11人の女性暴行連続殺人が発生した。被害者の大半は20歳前後の若い女性で、9人は暴行焼殺、2人が暴行穴埋めという残忍な犯行だった。
捜査本部は同年9月12日、窃盗容疑で東京足立区清掃作業員の小野悦男(当時38歳)を別件逮捕した。小野は茨城県北浦村で6人兄弟の次男で出生。兄弟はそれぞれ父親が異なる複雑な家庭環境で育った。中学2年で中退してから16歳の時、無免許運転で逮捕されて以来逮捕歴14回。火事場泥棒、窃盗・詐欺など前科8犯で人生の3分の1、13年近くを刑務所で暮らした。

昭和37年に火事場泥棒のついでに若い女性を暴行しようとした容疑で東京・杉並署に取り調べられた経緯があり、その他犯行の手口から小野が捜査線上に浮上してきた。
小野が別件逮捕された後、9月30日取り調べで首都圏連続殺人事件の宮田さん殺人を自供したため再逮捕となった。だが、小野は千葉地裁松戸支部の初公判で起訴事実を全面否認し「自白は半年間におよぶ代用監獄による不当な取り調べで精神的拷問や誘導によるもの」として無罪を主張した。
千葉地裁松戸支部は昭和61年9月5日に「自白に信用性がある」として求刑どおり無期懲役を言い渡した。一審の裁判で11年にわたる審理は異例であった。平成3年4月23日東京高裁は「任意性にも信用性にも多大の疑問がある」として一審判決を破棄し小野に無罪を言い渡し確定した。これにより小野は16年7ヶ月ぶりに釈放された。
無罪判決で法廷内は拍手がわき、小野は涙ぐみながら報道陣のインタビューで「体の不自由な母の世話をしてやりたい」と語った。この事件で小野が犯人として連日報道してきたマスコミ各紙は「おわび」の掲載をして謝罪することとなった。

―足立の首なし女性焼殺事件―
無罪判決から5年後の平成8年4月21日、小野は幼女(当時5歳)への猥褻目的誘拐と殺人未遂で逮捕された。更に取調べで数ヶ月間同居していた宮内良江さん(当時41歳)を殺害しノコギリで頭部を切断、死体を東京都足立区の空き地で燃やした犯行も明るみになった。
平成10年3月27日東京地裁は小野に無期懲役を言い渡した。翌年2月9日東京高裁は控訴棄却で無期懲役が確定した。小野は62歳になっていた。この事件で、「22年前の首都圏連続殺人の犯人は小野だったのではないか」とマスコミは連日報道し、無罪判決した裁判官や弁護士にまで、「殺人鬼を野放しにした責任を取れと」との声も高まった。

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