Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

Vol.389:ボブ・ディランのクリスマスソング

2011年01月02日 | オープニング


注:本記事は2010年12月19日に配信したメルマガのバックナンバーです

さて、先々週のオープニングコラムからスタートした年末クリスマスソング
紹介シリーズの第三弾は、かなり異色なクリスマスソング、いやクリスマス
アルバムをご紹介したいと思います。

『クリスマス・イン・ザ・ハート』(ボブ・ディラン)

コガはボブ・ディランをほとんど聴かずに20~30代を過ごしてきました。し
かし厄年を過ぎた頃から突如ディランの世界にのめり込み、今では彼の音楽
が生活に欠かせないものとなっています。そんなディランの音楽を聴いてい
て気づいた事の一つは、彼が「ファンの期待」を裏切り続けてきたにも関わ
らず、この世界の頂上に君臨し続けている点です。

デビュー当時「風に吹かれて」や「時代は変る」といった反戦フォークソン
グで一世を風靡したディランですが、その後いきなりロックの世界に転身。
ロック界不朽の名作『追憶のハイウェイ61』等をリリースするものの、かつ
てのフォークソング時代のファンからは裏切り者として冷ややかな目で見ら
れてしまいます。

最も有名な事件は、1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルでの
出来事です。日本で言えば「全国演歌の祭典」みたいな(だと思います)会
場で、ディランはいきなり大音量でロックを演奏したのです。当然ファンか
らはブーイングの嵐。電源を落とされ演奏を中止される中、最後は"It's Al
l Over Now, Baby Blue"という曲をアコースティックギターで涙ながらに歌
いステージを後にしたという出来事は、ロック史上で最も有名なエピソード
の一つになっています。

結果としてこのロック路線への転身でより多くのファン層を獲得します。に
もかかわらず、その後彼のトレードマークでもあるハスキーでワイルドな声
を止め、清んだ声のフォークアルバム「Nashville Skyline」をリリースし、
ファンを動揺させます。

さらに時代は下って70年代の終わりになると、ユダヤ人であるにも関わらず
クリスチャンに改宗。ゴスペル調の歌ばかりを歌うようになります。

マーケティングの世界では「顧客のニーズを大事にする」事が重要と教えら
れますが、彼は徹底して顧客のニーズを無視し続けます。なのに成功し続け
るのです。

前置きが長くなりましたが、そんなボブ・ディランが昨年ファンに突きつけ
た最終兵器が、クリスマスソングを集めたこのアルバムなのです。ディラン
に入る印税はすべて国際的な慈善機関に寄付されるそうですが、あのダミ声
は百歩譲ってもクリスマスソングにミスマッチです。家族で幸せなハッピー
クリスマスも、我々がディランに抱くイメージとは真逆のもの。さらにチャ
リティーとは!!。あのWe are the Worldの時でさえ一人だけ思いっきり
『やる気のないオーラ』を出していた男がチャリティーアルバムとは・・・
どんな曲なのかは、AMAZONのこのアルバム紹介サイトで視聴してみてください。



さすがの私も、昨年のクリスマスシーズンから1年間買うべきかどうか迷っ
ている問題作です。このアルバムの8曲目にある『神の御子は今宵しも』を
試聴した時には、なぜかSid Viciousが唄うMy Wayを思い出してまうぐらい
動揺しました。
Sid Viciou"My Way"

しかし、今回こうしてメルマガを書くために試聴していると、ちょっと慣れ
てきて「ボブ・ディランのクリスマスソングもいいなぁ」と思うようになっ
てきてしまったのです。ああヤバイ、またさらにディランワールドへ深く引
きずり込まれてしまう師走なのでした。

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