黒田龍之介氏の『ロシア語だけの青春 ミールに通った日々』を読んだ。外国語学習の独特な雰囲気が出ていて、自分のことじゃないのに『ミール』が懐かしい気がした。僕も29歳のころだったと思うけれど、大阪の『東洋中国語学院』というところで中国語を勉強していたことがある。夕方6時半から1時間半、週2回の授業があった。このことは前にも書きました。
この『ミールに通った日々』を読んで、そのロシア語の教え方がとてもストイックで気に入りました。この本の中で黒田氏はこう言っています。
『講演会で外国語学習について話したときに、こんな質問が出た。
「ひたすら発音して、暗唱してという、ミールの方法についてどう思いますか」
答は決まっていた。
わたしはそれ以外に知らない。
本当に知らないのである。』
出来るだけ正しい発音で読み、文の構造・意味を分かった上で、暗唱していくのである。小テストを繰り返し、しっかりと覚えているかを確かめながら勉強していくという明治以来のやり方である。
『聞き流すだけでぺらぺらになる』などという変わったやり方を僕は信じない。この愚直な『暗唱』ということを通してのみ習得できると僕の本能は知っている。それ以外は眉唾だと思っているのである。音読を100回するというやり方も文章を暗唱しようと思っているのではないかもしれないが、結果として覚えてしまう。結局暗唱するのと同じなのだ。韓国語クラスタでは100回が最大限のようだが、英語クラスタでは500回というのはザラにある。ブログを見てみればいい。2分ぐらいの文章を1週間で500回音読するのである。そのひとつの文章を1日に70回(140分)読み続けるのである。もうこれは苦行と言っていい。だからこそ英検1級満点連続10回、TOEIC990点満点20回というのができるのである。
英語クラスタに比べれば韓国語や中国語のクラスタは修行が足りない。僕が知らないだけかもしれないけれど。
僕の場合は30回ぐらいが限度である。もうそれ以上読む気は起こらない。だから僕の外国語もそれが限度なんだと思う。
ミールで使っていたという教科書『標準ロシア語入門』をポチした。ロシア語を勉強するつもりはないけれど、代々木東口から下って登ったところにある平和ビルの階段をこれまた登っていき、教室でロシア語ですべてがなされる授業を受けるのである。授業を受けたのと同じ体験をしてみたい。すべてを忘れてロシア語に打ち込むのである。何年かすれば懐かしさで涙が出てくるほどに。
(ミールは2013年に閉校しています。)
本が到着しました。
でもやれそうにない。
『なんや、やらんのかい』という声が聞こえてきそうでツラい。