ツルピカ田中定幸先生

教育・作文教育・綴り方教育について。
神奈川県作文の会
綴方理論研究会
国分一太郎「教育」と「文学」研究会

『国分一太郎童謡集』(北の風出版)より

2020-10-05 17:36:51 | Weblog
『国分一太郎童謡集より』 -体験ー

 昔、村の子どもたちにとって「遠足」は、つらい体験だった?

 雨の遠足で、こんな思いをした子どもがいたのかもしれない。

59 雨のえんそく

 雨のえんそく しょぼぬれて
 帰るたんぼの 日ぐれどき
 赤土 ねば土 すべる道
 ひろい たんぼも しずかだな。

 雨のえんそく ほんこ雨
 隣りの学校で 傘借りて
 ふたりで一本 傘さして
 帰るぼくらの 長い列。

 あさって書かせる つづりかた
 ぼくは 書かない 書きたくない
 雨のえんそく 帰り道
 ぼくらの村は まだ見えぬ。
          国分一太郎児童文学集6『塩ざけのうた』

 229頁には、楽譜も載っています。毎年東根で開かれる研究会では、合唱団の方が歌ってくれている曲の一つです。

『国分一太郎童謡集』 -感覚ー

2020-10-05 17:00:54 | Weblog
『国分一太郎童謡集より』 

 昔、子どもたちは「感覚」をきたえられた。

「タナゴ」の童謡をとりあげたら、さっそく子どものとき、おたまじゃくしとたわむれて‥。という経験談をフェイスブックでいただいた。そこで、蛙の卵を題材にした童謡を2つ。
 子どもたちは、生活のなかで「感覚」を鍛えられていった。


220 蛙の卵*

 田すきをしてゐて しらずに ふんだ
 蛙の 卵を しらずに ふんだ

 あしは とつても
 ぬくかつた ぬくかつた

 ぬるりと ぬめるな
 蛙の卵

 あしも そこから
 こそばゆい こそばゆい

 田すきが すんでも
 足うらが
 力が ないよな 
 気がするよ

 野道を いつても
 こそばゆい こそばゆい 
           「『教育』と『文学』の研究」8号

231 蛙の卵*
 
 せりつみ かへり
 蛙の卵 ふんだ
 ぬるりと ぬつくい
 卵をふんだ
 ざしきに 上つても
 あしうらに
 今でも ぬるりと
 ふんでやうだ
 小川の 野芹ものびていて
 蛙の卵は ぬくかつた


『国分一太郎童謡集』より -野性ー

2020-10-05 11:00:11 | Weblog
『国分一太郎童謡集』(北の風出版)より

 昔、村の子は、みんなで野山をかけまわっていた。

209 タナゴ

 タナゴガトレタデ
 モッテイコ
 ピチピチイカシテ
 モッテイコ

 オマエノゴムグツ
 モラナイカ
 モラナキャ
 タナゴヲ
 イレテイコ

 タナゴハ
 ヨワイデ
 キヲツケナ
 タノクロ
 スベルデ
 キヲツケナ
       『国分一太郎文集(10)』
       「綴方読本尋二」昭9・5