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ぷちとまと

FC東京、もう飽きた。

チ*ポ小説

2006年09月22日 03時48分19秒 | 雑記
中途半端なIT知識が見事に結実した例。

■石田衣良『アキハバラ@DEEP』(2004年)

第11章「バンドウイルカの帰還」
メンバーの6人が複合型カフェに入った場面

天才プログラマーのイズムがコンピュータをネットに接続した後で、[ak;r/58q\^hw?%s#!]という意味不明の17文字を光速で入力します。驚く他のメンバーに対して、それはネットの海を回遊するユイさんのAI(人工知能)と連絡を取るための、破るのに何週間もかかる鬼みたいなパスワードだとイズムは説明します。AIが気づいてくれるのを待たなければならないようです。

かなり怪しいですね~。

カフェのPCはすでにインターネットに接続されているので(ですよね?)、イズムが明示的にネットに接続するというのは意味不明です。とりあえず「サイト(「ユイのライフガード」?)に接続した」と好意的に解釈しておきましょう。
そう考えると、サイトにログインするためにパスワードを入力したのだと納得できるのですが、AIはサイトのサーバ上にあるのではなく、ネットを回遊しているらしい。う~む。あくまでフィクションなので、ディテールにこだわるのはやめましょう。

しかし、たとえ鬼のようでもパスワードが丸見えっていうのは、ちょっと見過ごせないですね。タイコは一度見て覚えたと言ってますしね。ソーシャルエンジニアリングでも腕が立つ(第15章)イズムが、丸見えのパスワードを平気で入力するとは思えません。

もしかすると、作者は丸見え状態でパスワードを入力するような環境でPCを使っていて、それが普通だと思っているんじゃないかと勘ぐってしまいますが、何にせよ、寄せ集めの中途半端な知識では、こんな風に苦しい場面が出てきちゃいますね。


■村上龍『悪魔のパス 天使のゴール』(2002年)

第8節「灰色のアムステルダム」
トウジからケンへのメール

(メールの一部)
それはそうと、またセリエBの選手が心臓麻痺で死んだんだよ。
サンプドリアの選手なんだけど。
得点はしてないけど、その試合では、活躍したみたいです。
ここのところ、そういった事故はなかったんで、ちょっと忘れてたんだけど、やはり恐いね。
なんか、よくわからないけど、実験ていうか、例のア****ってやつを試しているような感じがする。


(メールについての本文)
トウジは、アンギオンではなく、ア****と符丁のように書いていた。eメールのパケットはよく盗まれるらしいし、アメリカ政府がすべての電子メールを盗み見ているというニュースもあった。だが、アンギオンを製造している連中はまだわたしや冬次のことを知らないはずだから、符丁を使う必要はないのかも知れない。だが冬次はメールにアンギオンと書かなかった。

もう絶句というか、ポカーンって感じですね。
アンギオンというのはドーピング物質なんですが、仮に盗み見られるとして、放送禁止用語みたいに書けばいいってもんじゃないでしょうが。

夜羽冬次、矢崎剣介のモデルはそれぞれ中田英寿、村上龍なんですが、この二人は、メールの内容が盗み見られたときのために、メールに「チ*ポ」とか書いてたんじゃないでしょうか。『eメールの達人になる』なんて本まで出してますが、「チンポではなくチ*ポと書こう」とか教えてくれるかもしれませんね。